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DX化で公務員の働き方は変わる?⇒仕事量は減らず不公平のままです。

国や地方自治体においてもDX化を進める動きは活発になっており、最近ではDX化に特化したデジタル採用枠をもうけて進めている官公庁も多いです。

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル技術によって生活をより良いものへと変えることを指します。民間企業だけでなく公務員にもDX化の波が押し寄せています。

少子高齢化社会において少数精鋭で効率的に働くために業務の効率化は必要不可欠であり、新型コロナの影響で在宅勤務やリモートワークの考え方が見直され、少なくともDX化によって仕事の仕方は大きく変わるでしょう。しかし、働く現役公務員の仕事量のバランスは不公平のままだと思います。不公平どころかもっと偏ると考えます。

忙しい部署はもっと忙しくなり、仕事ができる人にはもっと仕事が増えるでしょう。公務員組織で働く現役の地方公務員がDX化によって変わる働き方の未来を考察します。

現役の公務員が思う官公庁のDX化の現実

正直、官公庁のDX化は遅いです。DX化を進める専門的な職員がいないことでDX化に対応するために専門職の採用を始めている自治体も多く、公務員組織では対応が難しい場面も多くあります。

ただ、遅いながらも着実に進んでいきます。民間企業ほど早くできない理由は個人情報保護など扱っている情報が違うからです。時間はかかっていますが、少しずつ変化していることは肌感で分かっていただけるのではないでしょうか。

手段と目的が逆になる

私はDX化に賛成です。自治体がDX化を進めれば進めるほど、そこで暮らす住民の生活はより良いものになると思っているからです。

しかし、DX化が目的になってしまっていることも少なくありません。最たる例が電子化です。最近、なんでもかんでも電子化する動きがありますが、果たして業務の効率化になっているかというと疑問です。

まず文書で決裁をとり、電子申請をする、これは一例ですが意味のない電子化です。その業務を改善することで逆に手間が増えるケースです。

また、1か月に1回5分もかからない仕事を電子化することは電子化することが目的になっている典型的な例です。その作業を電子化することの時間的メリットはありません。よくあるケースでは、優先度が低い仕事は再任用職員の担当業務だったりします。電子化することでデジタル化を理解することを諦めた再雇用の職員がその業務を若手にやってもらうケースも多く目にしました。

本来の目的を見失って電子化することが目的となっているケースは本当に多いです。

官公庁のDX化が進んでも公務員の仕事量は減らない理由

公務員の仕事は公共の福祉に供することが大前提です。SDGsでも「誰一人取り残さない」という基本理念のもと17の目標が設定されていますよね。

公務員の仕事は多くの人にとって無駄だと思われることが多いですが、その無駄は誰かがやらなければならない仕事です。民間企業は利益にならない仕事はしませんしできませんから、税金を使ってその仕事をしているわけです。

公務員の業務量や人員を削減することは無駄な税金を削減できることにつながりますから、これからどんどんDX化は進んでいくでしょう。しかし公務員の仕事量は減ることはありません。それは公務員の組織だけの問題ではありません。

DX化によって公務員は逆に仕事が増える

公務員のDX化の最大のデメリットは、従来のやり方がDX化によって1つにまとまるわけではなく、従来のやり方とDX化されたやり方の2つになることです。DX化の仕組みを使用者に教える人員も必要ですから、仕事量は確実に増えます。

職員の中の能力も差が大きく、ベテラン職員はデジタル化に対応できません。というより対応しようとしない、そもそもの意識の問題もあります。結果、若手という理由だけでDX化の担当をやっている職員がほとんどです。若手職員が全て対応することになって、負担が増えます。

公務員の仕事は誰一人取り残さないことが前提です。無駄だからFaxを無くせといくら叫ぼうが、Faxでしかやり取りできない人や民間企業がいる以上、廃止はできません。これを解決するためには、DX化についてこれない人を見捨てるしかありませんが、それができれば苦労はしません。何十年もすれば、逆に従来のやり方がわからない世代が台頭してきますが、どこまでいってもおいかけっこであることは変わりありません。

業務が効率化されれば人員が減らされる

多くの自治体はこれまで公務員の人員削減に取り組んできており着実に人が減っています。特に技術職においては、今や自然災害が起きても対応できない自治体がほとんどなほどまでに(世間が求めた声なので仕方がありませんが)。

今後、公務員の人数は増えることなく、業務が効率化されればされるほど人員は削減されます。結果、現役職員の1人あたりの仕事量は減ることはありません。

デジタル化によって生まれた時間や人員を使って、定時退庁できる人が増えたり、忙しい部署に応援にいくことで残業時間が減ればいいのですが、新規採用をしないことによって現役の職員にすべてしわ寄せがきます。

業務を効率化して減らせば減らすほど職員の数も減っていくわけですから、忙しい人はずっと忙しいままです。不公平感はずっと消えないでしょう。

減った仕事を穴埋めする新しい仕事が生まれる

業務の効率化によって仕事量が減ったり、場合によっては無くなることもあるでしょう。その減った穴に新しい仕事を埋めようとするのが仕事です。職員をクビにできないなら職員を遊ばせておく必要はありませんからね。

これまでそんなことやってなかったのに、時間が生まれた瞬間に急に始めます。そして新しい仕事が増えることで、また振り出しに戻ります。これは本当に不思議ですが、組織の幹部ともなると仕事を増やすことにかけては一級品、天才が多いです。

業務量が減って削減できた人員を業務量が多い部署に増員すればいいだけ、こんなシンプルなことも何故かやろうとしません。そのため、業務量がいくら他部署で減ろうが、所属部署の業務量が減ることはありません。

昔、パソコンや携帯電話によって仕事が効率化され人の負担は減ると考えられていました。どうですか?インターネットの発達によって仕事は減りましたか?逆に増えてますよね?

実態は真逆の結果。いつでもどこでも誰でも仕事ができる環境が整っている現代では、人はどんどん忙しくなっています。

現役の公務員が思う官公庁のDX化の現実

DX化で目標とすべきものは、そこで暮らす住民の生活はより良いものにすることであって、決して業務の効率化ではありません。業務効率化は手段であって目的にしてはいけません。

業務を効率化することで仕事量を減らす⇒あまった人材を忙しい部署に配属して業務の不公平を無くす⇒職員全員が定時退庁⇒職員もプライベートを犠牲にしなくてもいいですし、残業代という無駄な税金を使わなくて良くなる

また、役所の申請手続きを簡略化⇒住民がいつでもどこでも簡単に資料請求ができる⇒無駄な待ち時間を無くすことや仕事を休んで役所に出向く必要がなくなる

このような好循環を最終目的とすべきです。

役所の業務にだけ限って言えば、正直なところDX化よりこれまで無駄だったどうでもいい仕事を減らすことでほぼ解決できます。挨拶回りをやめるだけでも、メールを送ったあとに電話する無駄な文化も無くせば電子化なんてしなくても十分効果があるでしょう。

業務を減らすのではなく、業務自体をやめてしまうのも手段です。減らすことに意識がいくから電子化を検討するのであって、そもそも業務自体がなければそのような議論になりませんからね。

公務員のDX化によってそこで暮らす住民の生活はより良いものになっていくと確信しています。しかしながら、公務員は逆に、特に若手職員の負担はどんどん重くなります。

デジタル化の時点で拒否反応を示し、理解をしようともしないベテラン職員の変わりに若手職員が頑張らないといけません。若手職員は自分で理解しそれをベテラン職員に教えなければいけない仕事が増えますが、業務自体は減っているので人員は増えず、そこに定年延長も加わり、新規採用の若手職員はますます入ってきません。現役の若手職員の負担は重くなるばかりで、仕事量の不公平はもっと偏るものになるでしょう。

ましてや少子化の現代において役所を選択してくれる人がどれだけいるでしょうか。あと数年もすれば、大手民間企業の初任給は30万円になっているでしょう。未だに初任給が20万円にいかない役所を選んでくれるはずもなく、優秀な人材がこないのですから、忙しい部署の忙しく人はずっと忙しいまま、むしろ忙しさが増すことは間違いありません。

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