公務員試験において、コネ採用は間違いなくあります
というより、すべての採用採用において、コネ採用はあります
別に公務員試験に限った話ではありません
だからといって、あなたは公務員になることをあきらめますか?
そんな必要は、全くありません
コネ採用(縁故採用)自体は悪いことではない
まず、コネ採用とは何でしょうか?
「コネ採用=悪」であり、やってはいけない違法な行為だと思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません
コネ採用自体は別に問題ないからです
例えば、あなたが採用する側の人間だとしてください
採用人数は1人、採用方法は自由だとします
真正面から平等に採用する試験をしますか?
確かに、自由競争のほうがいい人材に巡り合う可能性は高いでしょう。
しかし、採用した人が
- すぐに辞めるかもしれません
- SNSで炎上して会社のイメージを損なうかもしれません
- 試験の結果は優秀でも、仕事となると使えないかもしれません
これが、100人の採用枠で1人ならいいですが、採用できるのは1人です
採用は慎重にならざるを得ません
では、いっそのこと、縁故採用してみてはどうでしょうか
よく知っている人やその人の知り合いであれば、どこのだれかを採用するよりは上記のリスクを減らすことができます
採用に必要な人的・金的コストを削減出来るメリットもあります
1人の採用に対し、コストをかけることはリスクでもありますからね
そのため、実際、コネ採用はひろくおこなわれています
おそらく、みなさんがイメージするコネ採用とは、
いわゆる権力者(政治家、事業家、地主)や親戚・親兄弟などの親族が勤務している場合のことを指すのではないでしょうか
しかし、コネ採用の中には、大学教授の紹介(教授の研究室やゼミ生)もあり、
特に理系(技術者)分野では広く行われています
大学によっては企業と共同研修していたりしますからね
大学からしても研究費を出してもらっているので、変な学生を推薦できませんし、
企業からしても研究成果が貰えないと開発ができません
これらは、持ちつ持たれつの関係であり、どちらかが崩れれば終わりです
もっと大きな話をすれば、コネ採用は人質みたいなものです(掘り下げると話がそれるのでまたの機会にしますが)
とはいえ、コネ採用自体は悪いことではないですが、
公務員試験においては「公平」が重視されるべき、というイメージがありますし、
個人的にも公務員試験においては好ましいものとは思っていません
しかし、全くないとも言い切れない理由があります
公務員試験にコネ採用(縁故採用)がないとはいえない理由
採用においては、以下の規定があります
〇国家公務員法第27条・第33条、地方公務員法第13条・第15条、外務公務員法第3条、裁判所職員臨時措置法
一般職公務員・外務職員・裁判所職員の採用について「社会的身分や門地」による差別によって「能力の実証」等に反して縁故採用することを禁止
〇自衛隊法第35条
自衛隊員の採用について「能力の実証」等に反して縁故採用することを禁止
逆に言えば、「能力の実証」があれば縁故採用も問題ないとも解せます
また、
〇地方公務員法第17条の2
(採用の方法)
第十七条の二 人事委員会を置く地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、人事委員会規則(競争試験等を行う公平委員会を置く地方公共団体においては、公平委員会規則。以下この節において同じ。)で定める場合には、選考(競争試験以外の能力の実証に基づく試験をいう。以下同じ。)によることを妨げない。
上記の規定から、単純に言えば、自治体の規模によって競争試験か選考かが決まります
ここでいう競争試験とは、筆記試験や面接試験などを行う一般的な公務員試験のことです
つまり、
- 人事委員会を置いている地方自治体=都道府県や政令指定都市など大きな自治体⇒競争試験→コネ採用を禁止していないが抑制している
- 人事委員会を置いていない=市区町村など小さな自治体⇒選考→コネ採用することは差し支えない
ということになります。
このことから、公務員試験において縁故採用することは、法的に問題ありません
強いて言えば、規模が大きい(つまりは採用人数が多い)自治体を受けるべきです
コネが影響する割合が違いますから
事実、2019年に起こった福岡県みやこ町の職員採用試験をめぐって町議らが逮捕された贈収賄事件があります
町の採用試験を息子が受験した原口国文(67)、幸恵(61)両容疑者=贈賄容疑で逮捕=に便宜を図るため、最終面接を担当した副町長の三隅忠容疑者(62)=地方公務員法違反容疑で書類送検、現在は辞職=に働きかけて面接での質問内容を漏洩(ろうえい)させ、見返りに国文、幸恵両容疑者と、土木建設会社長福森猛容疑者(73)=贈賄容疑で逮捕=の3人から現金数百万円を受け取った疑いがある。
福森容疑者は上田容疑者の長年の支持者。捜査関係者によると、最終面接の約1週間前、国文容疑者と福森容疑者は上田容疑者宅を訪ね、現金200万円が入った菓子折りの袋を渡して「お力添えをお願いします」と依頼した。
上田容疑者はその後、面接を担当する三隅容疑者から想定質問を聞き出して3人に伝え、面接ではその質問がやりとりされたとみられる。息子は合格した。
厳密には、コネではなく贈収賄だが、公務員採用試験の公正性を大きく揺るがせる事件です
公務員試験は、近年、筆記重視から人物重視に変わってきています
公務員の人気は景気と反比例しますから、景気がいいと人気がなくなります
そのため、ひろく採用するためには筆記試験の比重を少なくすることが重要でした
また、頭がいいことと仕事ができることは違います
公務員の仕事は事務作業だけではありません
住民との折衝も多くあります
そのため、学歴が高くても意味がないことが多く、
学歴重視ではダメだ、という動きが加速しています(とはいえ、キャリア官僚はほとんどが東大卒ですが・・・)
これは民間企業での採用により近くなったものですが、
公務員試験の最大のネックであった筆記試験の重要度が低くなったことは、逆に、
ブラックボックスになっているという側面があります
筆記試験を重視する時代は、いくらコネがあろうと、筆記試験を通過してくれないとコネを使えません
今や筆記試験はマークシートで、自治体も委託しています
また、不合格の場合は成績開示も可能です
SNSも発達しており、第三者との情報がすぐに共有できます
要は、筆記試験において、コネ採用を行うことは難しくなっています
つまり、昔は、少なくとも筆記試験を通過できる学力がないとコネであっても採用されることが難しかったわけです
だだ、今は人物重視、面接試験に重きが置かれています
面接試験は採点方法はブラックボックス
点数もブラックボックスです
成績開示をしたところで、誰と比べられるわけでもありません
面接重視になることによってコネかどうかの判別が難しくなっています
結局のところ、コネかどうかを判断できないんですよ
どれだけ仕事ができない人であっても、採用試験のときは優秀だったかもしれません
これが、公務員試験にはコネ採用がないとはいえない最大の理由です
法律でコネ採用(縁故採用)が禁止されている職業
コネ採用においては、法律で禁止されている職業もあります
といっても、親族に関する規定のみです
〇地方自治法第169条・第198条の2
地方自治体の監査委員及び会計管理者に首長、副首長、監査委員と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者を起用することを禁止
〇国会議員秘書給与法第20条の2
国会議員公設秘書に当該国会議員の配偶者を起用することを禁止
上記以外の公務員では現職公務員の親族の採用そのものを禁止しているわけではありません
公務員試験にコネ採用(縁故採用)があっても心配することは何もない
そもそも、コネ採用かどうかは絶対に分かりません
- 優秀な職員の子が採用された⇒当たり前
- 優秀でない職員の子が採用された⇒コネ採用
この図式がまずおかしいわけです
気持ちは分かりますが、採用された人の能力を無視しているわけです
また、仕事ができない職員に対してコネを疑いたくなる気持ちもわかります
しかし、採用試験においては優秀だったかもしれません
面接で準備していたことが完全にハマったかもしれません
もしかすれば、そういうあなたもコネ採用かもしれませんよ
採用する権限者と出身地が同じかも・・・
同じ学校で育った人って親近感がわかないですか?
でも、そんなことあなたにはわからないですよね
あたな自身も知らない間にコネ採用の枠となっているかもしれませんよ
結局、コネ採用かどうかはブラックボックスですから、気にしても仕方がありません
コネを作る方法もありますが、意味をなしません
むしろ、今の時代は逆効果かもしれません
そんな暇があるなら、勉強してください、面接対策をしてください