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なぜダメ?公務員の副業が解禁されない理由は「無能」であってほしいから

公務員の副業は絶対に解禁されません。

理由はいたってシンプル、公務員に副業をされると困る人が大勢いるからです。

その典型が「公務員は民間企業では通用しない無能」という謎理論。

民間企業で働いた経験もありますが、人それぞれに得意・不得意があって、通用する・しないの議論ではありません。要は、適材適所です。とはいえ何社も転職した経験はありませんからその企業だけで語るなと言われればそれまでかもしれませんが、民間企業と公務員を複数回経験している人は日本にどれくらいいるのでしょうか。

謎理論の矛盾を証明するための有効な手段の1つに「副業で成果をあげる(報酬を得る)」があります。しかし、公務員は国家・地方公務員法で副業を禁止されていますから、副業で報酬を得ることは不可能です。そうなると、民間企業へ転職、独立起業しか選択肢はなくなるため、公務員を辞める以外に矛盾を証明することができません。

しかし、公務員を辞めたら辞めたで、「公務員すら通用しなかった無能」という謎のレッテルを貼られます。キリがありません。

つまり、深層心理に「公務員=無能」であってほしい理由をもっています。

だからこそ「公務員に副業をされると自分が困る」、公務員に「無能であってほしい」と考える謎の勢力が存在します。

※公務員に無能はいないと言っているわけではありません。また、サラリーマンの方が無能だと言いたいわけではありません。

公務員に副業をされると困る3つの理由

公務員の副業解禁は労働市場全体にとってはメリットです。労働市場全体からすれば、超少子高齢化が進む日本は官民問わず定年を60歳から65歳まで延長させ、70歳まで雇用する時代に突入していますから、労働人口の確保は国の成長には欠かせないものだからです。

しかし、サラリーマンにとっては何もメリットがありません。

公務員が副業をすることで、

  1. 無能だと叩けなくなる
  2. 労働人口を奪われる
  3. 自分たちの給料が下がる

といった可能性があるためです。

理由①:無能だと叩けなくなる

私は「公務員は国民のサンドバッグ」だと思っています。公務員の仕事の性質上、彼方立てれば此方が立ちません。何をしようと何もしまいと、必ず批判されるのが公務員の仕事だからです。

では、役所(公務員)という叩き所が無くなったら、国民のストレスはどこに向かうのでしょう?私の経験上、自分の待遇が悪くなる下手したらクビになるレベルの苦情や文句を言うのは飲み会だけで、勤め先の企業の社長に直談判したなんて話は聞いたことがありません。

公務員を叩く口実の1つに「公務員の給料は税金が原資」があります。納税者は公務員を養っている立場だという理屈です。しかし、副業の報酬は税金ではなくなりますから、叩くことが限定されてしまいます。

副業が解禁されても本業の給与の原資は税金ですから「あいつは副業をして本業を疎かにしている、俺たちの税金を何だと思っているんだ!」という批判は可能です。しかし、公務員は民間企業で使えない無能だとは叩けないことになります。

理由②:公務員の労働人口300万人超が職を奪う

令和元年時点の日本の公務員(一般行政職のほか教職員や警察官などを含む)のおよその数は、

  • 国家公務員   58万人
  • 地方公務員 274万人
    計 332万人

となっています。>>>「公務員数の状況(総務省)」

日本の労働力人口(15 歳以上人口のうち就業者と完全失業者を合わせた人口)は2020 年平均で6,868 万人ですから、労働人口全体に占める公務員の割合は約4.7%になります。国家・地方公務員法を適用する会計年度職員や看護師などの準公務員を入れれば、4.7%以上になることは確実です。

もちろん、公務員の副業が解禁されたからといって全員が副業をするわけではありませんし、副業人材として全員が採用されるわけではありませんが、仮に公務員の1%が副業をしたとすれば32万人もの労働人口になります。

サラリーマンからすれば単純にライバルが増えることになります。

理由③:本業の給料をカットされる

公務員の副業が解禁されると、「本業の給料」+「副業の給料」とはならない可能性が高いです。公務員の給与が上がることは、国民やメディアからは恰好のネタです。副業で稼ぐことが前提となれば、本業の給与をカットされることはかなり現実的な話です。

影響は公務員だけではありません。民間企業へ波及する可能性も十分に考えられます。

公務員の給与は民間企業のサラリーマンの給与の平均で計算されています。しかし、公務員の給与を基準に給料を決めている民間企業は多いです。(余談ですが、とある民間企業の採用面接にいったとき「公務員よりも給与は高く設定している」と言われたこともあります)

公務員の給料が下がれば国内総生産が落ち込み経済が・・・といった議論をするつもりはなく、公務員の給料をベースに給料を決めている民間企業からすれば、従業員の給料をカットする良い口実になるということ、つまりは、給料がカットされる可能性は高いということです。

公務員の副業解禁に対する公務員の本音

何も困るのはサラリーマンだけではありません。現役の公務員も国・地方自治体組織も困ります。

まず、行政の組織からすれば、副業で活躍され公務員を退職されては困ります。副業で稼ぐ公務員が本業で優秀かの議論もありますが、(あくまで建前としては)組織としては副業で得た知識や技能を本業に活かしてほしいから解禁するわけです。結果、離職率が上がり優秀な人材が流出してしまっては元も子もありません。そういった意味では、職員は無能であってほしいわけです。

また、公務員という世界でしか息ができない職員からすれば、無能でありたいと思うことはおかしなことでもありません。副業の成果は職務と関係ないわけにはいきません。副業で得た技能や知識が本業に活かされる場面もでてくるでしょうから、人事評価に影響を及ぼすとなると無能な上司や同僚はたまったものじゃありません。

まとめ

公務員の副業が解禁されない理由は、国家・地方公務員法に副業禁止の規定があるためです。個人情報保護、機密情報の漏洩、本業への影響などを懸念されることを理由に法律を変える動きはないでしょう。

公務員が動かないなら動かないとする民間企業も多く、その意味では、官民して副業解禁しない動きを作っている気がしてなりません。

年功序列でヒエラルキーを形成してきた役所や企業は、上司より副業で稼ぐ部下の方が給料が高いことはあってはなりません。副業さえ解禁されなければ副業で稼げない自分の存在を合法的に肯定することができますから、その方が都合がいい人が多いのは事実です。

とはいえ、副業解禁の本質は「本業の給料が少ない」にあり、色々な経験をして本業に還元したいと思う人は少数派ではないでしょうか。副業を解禁する変わりに本業の給料を下げることは本末転倒、ベースアップが図られない副業解禁は無意味です。

一方、公務員との兼業、副業人材の採用を進める自治体は多くなっています。

公務員が民間のノウハウをもってこれないなら、ノウハウをもっている民間のサラリーマンを副業人材として採用するやり方で、いわゆる民間人材を役所に活かすというやつですね。

これは現役の公務員のモチベーションを下げる効果的な方法と知られ、叩き上げの幹部が意見を言っても通らない案件が民間オブザーバーが言えばすぐ通ったりすることもあるそうです。個人的には、この方法をとるなら公務員の副業を解禁したほうがコスパは良いと思いますね。

1 COMMENT

経営者

副業を考える暇があったらもっとITを導入して作業効率化を図ってください。会社経営をしていますが、作業が止まるときは行政待ちがほとんどです。

サラリーマンならあまり感じないかもしれませんが会社経営をすると行政の非効率さが突出しています。

やるべきことをしっかりやって「もうやることないよ」になってから副業をやってください。

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