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なぜ…公務員の副業禁止はおかしい?理由を徹底解説します。

公務員の副業禁止は「法律」によって規定されています。

なぜでしょうか?

根拠である法律の規定について正確に理解している現役の公務員は意外と少ないように感じます。法律を正しく理解すれば、公務員は全て副業禁止ではなく、

  • 任命権者の許可を得れば副業してOK
  • 人事院規則に規定する範囲であればOK

という条件付きなわけです。

公務員は副業が制限されている職業であり、「原則」副業禁止だという法律の解釈を解説します。

※法律の条文は長く、まどろっこしく、ややこしい言い方をしています。そのため、本記事では、必要最低限の条項をピックアップして解説します。

公務員の本質については、「日本国憲法」に規定されています

まず、公務員の本質について、大前提をおさえておきましょう。

日本国憲法第十五条の規定によると、

〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

公務員である以上、個人的な利益や特定の個人の利益のためではなく、国民全体の奉仕者であることが規定されています。

解釈の問題ですが、公務員が国民全体の奉仕者として、職務の公正や中立性を要求されており、特定の業種に利益を与えていると疑われるのは大きなマイナスです。公務員は国民に対し義務の履行を求める立場として、信頼を失うわけにはいきませんから、法令によって細部まで定めているわけです。

その法令が、国家公務員は国家公務員法、地方公務員は地方公務員法になるわけです。

国家公務員が原則、副業を禁止されている理由は「国家公務員法」に規定されているからです

国家公務員の副業禁止については、

  • 国家公務員法第103条「私企業からの隔離」
  • 国家公務員法第104条「他の事業又は事務の関与制限」

の規定によります。

(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
○2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
○3 営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
○4 人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
○5 前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して三月以内に、人事院に審査請求をすることができる。
○6 第九十条第三項並びに第九十一条第二項及び第三項の規定は前項の審査請求のあつた場合について、第九十二条の二の規定は第四項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。
○7 第五項の審査請求をしなかつた職員及び人事院が同項の審査請求について調査した結果、通知の内容が正当であると裁決された職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。

(他の事業又は事務の関与制限)
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

要約すると、

  • 営利目的の会社で働いたらダメ
  • その他の団体の役員になったらダメ
  • 自分で営利目的の会社を運営してはダメ
  • 報酬を得て事業や事務をしてはダメ

つまり、公務員である以上、公務以外で報酬を得てはダメだということです。

ただし、これらの禁止事項も「トップの許可を得れば副業可能」と規定されています。これが、冒頭で正確に記載した「原則」副業禁止という理由の1つになります。

しかし、上司の許可を得れば副業ができるとのことですが、国家公務員の場合、その上司のトップは内閣総理大臣です。内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可が必要、または」ではないということは両方の許可が必要だということです。

会社でいう社長クラスの承諾が必要なので、そのハードルは相当の高さであることが予想されます。

国家公務員は「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」が国家公務員法で規定されています

では、なぜ国家公務員法第103条、同法104条の規定により副業が原則禁止されているかというと、国家公務員法では、公務員としての大前提が既に規定されているのです。

それが規定されているのが、

  • 国家公務員法第99条「信用失墜行為の禁止」
  • 国家公務員法第100条「秘密を守る義務」
  • 国家公務員法第101条「職務に専念する義務」

になります。

(信用失墜行為の禁止)
第九十九条 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

(秘密を守る義務)
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
○2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
○3 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
○4 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
○5 前項の規定は、第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。

(職務に専念する義務)
第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
○2 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

なぜ、このような規定があるかといいますと、仮に副業をしていたとすれば、

  • 世間的にイメージの良くない他の仕事をすれば、社会的な信用を損なう
  • 本業で知り得た情報・秘密を流出すれば、第三者の不利益となる
  • 他の仕事をすることで、本業に支障が出る

という可能性があります。

当たり前と言われれば当たり前なのかもしれません。

  • 公務員が夜のお店で働いていたら?
  • 裏でこそっと業務で知りえた個人情報を話していたら?
  • 副業をすることでの就業時間に寝不足で効率が低下したら?

こんな公務員がいれば、世間の批判の的ですし、国民からすれば嫌ですよね?こんな公務員。なにせ、公務員の給料は税金ですから。

誤解のないように伝えると、この3つの法律規定は副業に限ったことではありません。

副業をせずとも情報漏洩をしてはいけませんし、仕事中にサボっていてはいけません。副業をしたから情報が漏洩するわけではないですし、副業をしたから本業務がおろそかになることに関係性はありません。

あくまで、そうなる「確率が少しでも上がる」「可能性が少しでも増える」という背景を基に副業禁止の理由に引用されることが多いです。

要は、あなたがしたい副業があっても、その行為自体が公務員として

  • 信用を失墜させる可能性があるよね?
  • 情報を漏洩させる可能性があるよね?
  • 業務を疎かにする可能性があるよね?

だから、その可能性がある副業はダメですという理屈です。

地方公務員が原則、副業を禁止されている理由は「地方公務員法」に規定されているからです

国家公務員では国家公務員法によって副業禁止が規定されていましたが、地方公務員も同様に地方公務員法で規定されています。

法律の条項は異なりますが、規定している内容は同じです。

地方公務員の副業禁止理由は、地方公務員法第38条第1項の規定によります。

(営利企業等の従事制限)

第三八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

この条文は、国家公務員法で規定している内容と同じです。簡単にまとめる(再掲)と、

  • 営利目的の会社で働いたらダメ
  • その他の団体の役員になったらダメ
  • 自分で営利目的の会社を運営してはダメ
  • 報酬を得て事業や事務をしてはダメ

これらの禁止事項も「任命権者の許可を得れば副業可能」と規定されています。これが、冒頭で正確に記載した「原則」副業禁止という言葉の1つ目の根拠になります。

しかし、任命権者の許可を得れば副業ができるとのことですが、地方公務員の場合、その上司のトップは都道府県市町村の長です。市役所では市長ですし、県庁では県知事ですね。

国家公務員よりも若干ですが許可を得るハードルが下がっているような気がしますが、東京都庁の許可を得ることを考えてみてください。これも会社でいう社長クラスの承諾が必要なので、ハードルはすごく高いです。

地方公務員は「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」が地方公務員法で規定されています

国家公務員と同様に、地方公務員は地方公務員法に規定されています。

それが規定されているのが、

  • 地方公務員法第33条「信用失墜行為の禁止」
  • 地方公務員法第34条「秘密を守る義務」
  • 地方公務員法第35条「職務に専念する義務」

になります。

(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

内容の解説は国家公務員と同じなので詳細は省略します。

公務員が副業可能な範囲は、人事院規則14-8に規定されている

これまでに説明したように、国家であれ地方であれ公務員は徹底的に「営利」に携わることを法律によって禁止されています。

  • 民間企業で働く
  • 財団法人で役員になる
  • 起業する

といった行為は法律に違反するということになるので、営利目的ではない無償での活動も法的にはアウトです。

もちろん、地域のボランティア活動は何の問題もありません。あくまで、民間企業に従事したり役員名簿に名を連ねたりして報酬を得ることがアウトということですね。

 

では、これらの可能性がないと判断される場合、公務員も副業は可能ということになりますよね。

 

具体的に何が副業禁止に該当するのでしょうか。先に「任命権者の許可を得れば副業してOK」と説明しましたが、任命権者も判断基準が必要です。

任命権者の好みで副業を認める認めないの判断はできません。

これが制限範囲の問題で、これらを規定しているのが「人事院規則」と呼ばれるものです。

「人事院規則14-8」は、公務員が取り組むことができる副業の範囲を規定しています。

  • 規定範囲を超えた場合、自営業とみなし任命権者(内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長)の許可が必要となります。
  • 規定範囲に満たない場合、副業してもいいということです。

「人事院規則14-8で規定する範囲内であればトップの許可を得なくても副業可能」。これが、冒頭で正確に記載した「原則」副業禁止という言葉の2つの目の根拠になります。

また、国家公務員法や地方公務員法で規定する用語の定義(解説)が記載されています。

法律で大枠を規定して、人事院規則で補足しているイメージですね。法律で「その他の団体の役員」と規定されていても、実際問題として何が該当するかがわかっていないとダメですからね。

「公務員が副業可能な範囲、例外を紹介(近日、公開予定です)」

民間企業に勤める会社員と公務員の副業禁止の考え方の違い

公務員は法律で副業を禁止していますが、民間企業に勤める会社員は、法的な拘束はありません。サラリーマンは就業規則に定められている通りですが、法律ではないので、厳密には副業は違法ではありません。

公務員が民間企業に勤め報酬を得たり、自営業を営めば、そこに「癒着」が生まれます。公正な判断が可能な状態ではなくなります。

民間企業の不正を防ぐ公務員がその民間企業に勤めていた場合、果たして不正は明らかになるのでしょうか。

当然、このようなことがあれば、その公務員は懲戒処分、場合によっては懲戒免職(民間企業でいうクビ)となるでしょう。これが、「平等」を生業にする公務員と「不平等」を生業にする会社員の大きな違いです。

 

最近では副業を可能とし、兼業OKの会社も増えてはきています。公務員も自治体によっては副業の条件が緩和されてきています。

とはいえ、企業の就業規則は公務員の法律と同じような効力があります。まだまだ公務員と同様に副業を禁止としている会社も多いので、会社に黙って副業で副収入を得ていた場合、クビの可能性もありますので注意が必要です。

 

公務員は、副業を法律で禁止されていますが、すべて禁止されているわけではありません。

実は、副業してもOKなものが「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)」で規定されているんです。

人事院規則を詳しく見ていけば、何がよくて何がダメなのか、どこまでが許可の範囲なのか分かりますので、副業禁止の例外を解説します。

公務員の副業許可基準

「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)」は、公務員が取り組むことができる副業の範囲を規定しています。

  • 規定範囲を超えた場合、自営業とみなし任命権者(内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長)の許可が必要
  • 規定範囲に満たない場合、副業してもOK

その人事院規則をまとめたものが、以下の表です。

表「自営業とみなし任命権者(内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長)の許可が必要な範囲」

不動産
戸建て:5棟以上の賃貸
マンション:10室以上の部屋の賃貸
10件以上の土地の賃貸
劇場、映画館、ゴルフ練習場等の不動産賃貸
旅館、ホテル等の建物の賃貸
駐車台数10台以上の建築物である駐車場または機械設備がある駐車場の賃貸
賃貸収入が年間500万円以上の不動産または駐車場の賃貸
農業
大規模:兼業不可
※小規模:兼業可(第2種兼業農家)
太陽光発電 10kW以上

 

つまり、この表の範囲に該当しないものは、上司の許可なく副業してもOKだということです。※農業の小規模は兼業OKなことだけ注意してください。

「自営=副業」という図式なので、許可をとってくださいということです。

意外に範囲が広いと感じた方も多いのではないでしょうか。

自宅の屋根についている太陽光発電装置(ソーラーパネル)を副業だ!公務員を辞めろ!なんて言われた日には、全国の公務員がクビになってしまいますよね。

また、親の相続で家を継いだ場合も、不動産収入を得たから公務員を辞めろ!または不動産を手放せなんて選択を迫られることは普通に考えればありえませんよね。

 

※注意

 

上記の条件は、公務員の大前提である副業禁止の法律に規定していないものに限ります。「なぜ公務員は副業禁止を法律で規定されているのか理由を解説します」で説明している通り、上記表に該当しないからといってコンビニエンスストアでアルバイトすることは違法ですので注意してください。

 

当然のことながら、仮に「自営=副業」だと判断されても、任命権者(上司)の許可を得られれば問題はありません。

例えば、親の相続でマンション(10室)を経営することになったとしましょう。

この場合、10室だからといって、許可が下りないわけではありません。なぜなら、相続は本人の不可抗力によるところもあり、一概にボーダーライン以上だからという判断ができず、グレーだからです。

仮に、許可が下りないのであれば、1室を売却するという手段もあるでしょう。

なお、これらの許可を得るためには、

  • 特別な利害関係又はその発生のおそれがない
  • 職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかである
  • その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じない

の前提条件は満たす必要があります。当然ですね。

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用

ここからは、先ほどの表「自営業とみなし任命権者(内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長)の許可が必要な範囲」を作成する根拠であり、「なぜ公務員は副業禁止を法律で規定されているのか理由を解説します」では詳細に説明しきれなかった用語の定義を解説します。

※用語の定義は必要なく、許可の要否について知りたい方は先の表にまとめている通りです。ここからは、より詳しく知りたいという方だけ、強調部分に注目してご覧ください。

 

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
(昭和31年8月23日職職―599)
(人事院事務総長発)

最終改正:平成26年9月30日職審―295

第1項関係
1 「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」とは、商業、工業、金融業等利潤を得てこれを構成員に配分することを主目的とする企業体をいう。会社法(平成17年法律第86号)上の会社のほか、法律によって設立される法人等で、主として営利活動を営むものがこれに該当する。
2 「役員」とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、業務を執行する社員、理事、監事、支配人、発起人及び清算人をいう。
3 「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。
4 前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。
一 農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等 大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合
二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
(1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
(2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
ロ 駐車台数が10台以上であること。
(3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
(4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合
三 太陽光電気(太陽光発電設備を用いて太陽光を変換して得られる電気をいう。以下同じ。)の販売 販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット以上である場合
5 「人事院が定める場合」は、次に掲げる場合とする。
一 不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
二 太陽光電気の販売に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1)職員の官職と承認に係る太陽光電気の販売との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2)太陽光発電設備の維持管理等の太陽光電気の販売に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3)その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと
三 不動産又は駐車場の賃貸及び太陽光電気の販売以外の事業に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と当該事業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと
(2) 職員以外の者を当該事業の業務の遂行のための責任者としていること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
(3) 当該事業が相続、遺贈等により家業を継承したものであること。
(4) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと
6 前項の「特別な利害関係」とは、補助金等の割当、交付等を行う場合、物件の使用、権利の設定等について許可、認可、免許等を行う場合、生産方式、規格、経理等に対する検査、監査等を行う場合、国税の査定、徴収を行う場合等監督関係若しくは権限行使の関係又は工事契約、物品購入契約等の契約関係をいう。
7 自営の承認を受けた職員が昇任、転任、配置換、併任等により官職に異動を生じた場合(異動前後の自営の承認権者が同一である場合であつて、当該承認権者が異動後の官職と承認に係る自営との間においても特別の利害関係又はその発生のおそれがないと認めるときを除く。)又は承認に係る自営の内容に変更があつた場合には、当該官職の異動又は自営の内容の変更の後1月以内に改めて承認を受けなければならない。
第2項関係
この規則により承認しまたは許可する権限は、任命権とは異なるものであるから、本項の規定により権限を再委任する場合には、任命権の委任と必ずしも一致させる必要はない。
第3項関係
この項の規定による報告は、毎年1月末日までに、前年に与えた承認について、次に掲げる事項を記載して行うものとする。
一 承認を与えた職員の氏名、所属、官職、適用俸給表及び職務の級
二 承認を与えた年月日
三 承認を与えた事業に係る次の事項
(1) 不動産等賃貸の場合
イ 賃貸する不動産等の種類、件数及び規模の内訳
ロ 賃貸する不動産等の種類ごとの賃貸料収入の予定年額
ハ 賃貸する不動産等の管理の方法
(2) 太陽光電気の販売の場合
イ 販売に係る太陽光発電設備の定格出力
ロ 収入の予定年額
ハ 販売に係る管理の方法
(3)不動産等賃貸及び太陽光電気の販売以外の事業の場合
イ 事業の名称、内容及び所在地
ロ 事業の業務の遂行の方法
ハ 事業の継承の事由
ニ 収入の予定年額
第7項関係
自営の承認を申請する場合には、不動産又は駐車場の賃貸に係る自営にあつては別紙第1の様式による自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)、太陽光電気の販売に係る自営にあつては別紙第2の様式による自営兼業承認申請書(太陽光電気の販売関係)、不動産又は駐車場の賃貸及び太陽光電気の販売以外の事業に係る自営にあつては別紙第3の様式による自営兼業承認申請書(不動産等賃貸及び太陽光電気の販売以外の事業関係)を承認権者に提出するものとする。この場合において、当該自営兼業承認申請書には、それぞれ次に掲げる資料を添付するものとする。
一 自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)の場合
(1) 不動産登記簿の謄本、不動産の図面等賃貸する不動産等の状況を明らかにする書面
(2) 賃貸契約書の写し等賃貸料収入額を明らかにする書面
(3) 不動産管理会社に管理業務を委託する契約書の写し等不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務の方法を明らかにする書面
(4) 事業主の名義が兼業しようとする職員の名義以外の名義である場合においては、当該事業主の氏名及び当該職員との続柄並びに当該職員の当該事業への関与の度合
(5) 職員の人事記録の写し
(6) その他参考となる資料
二 自営兼業承認申請書(太陽光電気の販売関係)の場合
(1)太陽光発電設備の仕様書の写し等太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備の定格出力を明らかにする書面
(2)太陽光電気の販売契約書の写し等太陽光電気の販売の内容を明らかにする書面
(3)事業者に管理業務を委託する契約書の写し等太陽光電気の販売に係る管理業務の方法を明らかにする書面
(4)事業主の名義が兼業しようとする職員の名義以外の名義である場合においては、当該事業主の氏名及び当該職員との続柄並びに当該職員の当該事業への関与の度合
(5)職員の人事記録の写し
(6)その他参考となる資料
三 自営兼業承認申請書(不動産等賃貸及び太陽光電気の販売以外の事業関係)の場合
(1) 職員が当該事業を継承したことを明らかにする書面
(2) 事業報告書、組織図、事業場の見取り図等当該事業の概要を明らかにする書面
(3) 職員以外の者を当該事業の業務の遂行のための責任者としていることなど職員の職務の遂行に影響がないことを明らかにする調書
(4) 事業主の名義が兼業しようとする職員の名義以外の名義である場合においては、当該事業主の氏名及び当該職員との続柄並びに当該職員の当該事業への関与の度合
(5) 職員の人事記録の写し
(6) その他参考となる資料

 

 

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