同期や後輩の部下は嫌だ!早く出世したい公務員がやるべきこと

「出世=損」の考えが広まったため出世を拒否する公務員が増えています。10年前は競争率も高く出世したくてもできない人が多くいましたが、今ではワークライフバランスを重要視しプライベートを優先する人が増えたことで競争率は低下の一途をたどっています。
そんななか、何がなんでも出世したい!と思う公務員も少なくありません。
- 給料(年収)を上げたい
- 出世は能力の評価
- マネジメントをしたい
- 担当業務は作業が多くもっと権限をもって広く仕事をしたい
- 同期や後輩に先をこされたくない(上司として指示されたくない)
出世したい理由は多々あれど、出世するためには人事評価が優秀であることが必須です。担当から係長級へ昇進するために重要な要素について解説します。
公務員の出世に重要な3つの要素
公務員の出世に資格や能力は関係ない!とまでいうと語弊がありますが(もちろん資格や能力があるにこしたことはありません)、出世競争は優秀な職員同士の戦いですので正直なところ関係ありません。
- A部署で評価されているAさん
- B部署で評価されているBさん
AさんとBさんに人事評価の差がないとしても、どちらかが先に昇進するのが組織です。周りより早く出世には何が重要なのか。それは、以下の3点です。
- 昇進候補者の数を把握する(年功序列)
- 昇進しやすい部署を見つける(昇進できる枠の数)
- 評価してくれる上司を見つける(人事評価)
実力も成果も申し分ないのになんで出世できないんだ!と悩んでいる人は今置かれている状況を確かめてください。
昇進候補者の数を把握する(年功序列)
公務員は年功序列です。先に入庁した先輩が自分の部署にいてその先輩が優秀な場合、部署は先輩の昇進を優先します。能力が差が明らかであれば逆転する可能性はありますが、事務分担が同じではない以上は評価軸を同じにすることは難しく、公務員の世界において勤続年数は非常に重要な意味を持ちます。
逆転できる可能性としては、部署の配属年数です。
- 部署に配属されて1年目、勤続年数11年目のA先輩
- 部署に配属されて3年目、勤続年数10年目のB後輩
上記の状況であれば、B後輩が優先される可能性があります。まずは部署として昇進候補者をリストアップしますから、所属部署での貢献度も重要な要素です。
所属部署内で昇進候補者の数を把握し、自分が今どの順番なのかを把握しておくことが大切です。
昇進しやすい部署を見つける(昇進できる枠の数)
出世できない部署に所属していると頑張っても出世できません。部署単位で評価されていないことになるので、昇進できる枠が少ないためです。
出世できる部署を確かめる方法は簡単で、過去数年の昇任者の数と割合を確認するだけです。毎年かならず昇任者がいる部署もあれば、全くいない部署があるので明白です。
一般的には、財務、人事、企画、といった首長直轄の部署が出世しやすい部署になります。また、本庁の部署に所属している方が出先機関よりも出世しやすい傾向にあります。本庁の方が高度な業務をしているという評価が下されるためです。
- A部署 1年に2人昇進している
- B部署 1年に1人昇進している
- C部署 3年前に1人だけ昇進して以降だれも昇進していない
上記のような場合は、C部署で評価されることを目指すよりも、A部署やB部署に異動した方が昇進は早いです。注意点は倍率で、人数だけを見ればA部署の方が有利ですが、A部署に昇進候補が10人とすれば倍率5倍、B部署に昇進候補が2人とすれば倍率2倍となり、昇進しやすさが全く違います。
評価してくれる上司を見つける(人事評価)
公務員の組織においては、仕事で成果をあげるよりも、どの上司についていくか、どの山を登るかが非常に重要です。
A部署で評価されていた人がB部署へ異動した途端に全く評価されなくなった話はよく耳にします。人事異動は転職レベルに業務が変わりますから、自分の得意不得意が人事評価に影響を及ぼすことは間違いありません。しかし、評価するのは機械ではなく人ですから、態度や話し方が気に食わないだけで評価が下がることは往々にしてあります。
では、どの上司についていけばいいのか、見分け方は簡単です。
- 上司の上司は評価しているか
- 上司のもとで昇進した部下がいるか
周りから評価されていない上司はその上司の上司にも評価されていません。(評価されていない上司がなぜ昇進しているのかというと、勤続年数であったり時代であったり様々ですがそれはまた別の機会に)
上司があなたを評価して上にあげても、上司の上司からすれば信頼度がない評価になりますから、他の信頼できる部下から上がってきた人を優先しようということになることは必然です。また、過去に上司のもとで昇進した担当者がいない場合、かなり危険です。その上司は部下を評価したくない人かもしれません。
どうしても早く出世したい人がとるべき具体的な行動
どう行動すれば周りより早く昇進できるのか。
第一優先は出世部署に所属すること、これが鉄則です。出世部署=激務であることが多いですが、覚悟のうえで異動希望を出しましょう。自分のことを評価してくれる上司がいる部署へ異動できればベストです。
早く昇進するためには数年先を見据えて計画を立ててください。異動1年目は無理でも、2年後、3年後には自分が最優先されるような部署のメンバーかどうかを確かめてください。
職員から嫌われる業務もあります。業務量も多く残業の毎日を送るかもしれません。パワハラ上司に疲弊するかもしれません。飲み会に参加したり、休日の行事に参加したりとプライベートを犠牲にするかもしれません。しかし、そういった傾向のある部署ほど出世しやすいです。ストレスは相当なものになりますが、そういったハードルを超えないと誰よりも早く出世することはできません。
やりたい仕事や得意な仕事なんて後回しです。昇進するためには我慢しましょう。目的はあくまで出世です。
成績が悪いといくら出世しやすい部署を希望しても絶対に通りません。普段から評価をされたうえで、自分が出世しやすい部署に異動できるよう、上司に対しても定期的に主張しておくことが重要です。昇進ばかりを主張するといい印象を持たれませんので、悪い印象を与えずに主張することもテクニックです。
出世できる部署に異動できたのに1年で異動、なんてことも起こりえます。異動先の部署にもよりますが、出世が遅れることは確実です。少なくともあなたよりも優先される人がいたという事実にほかならないからです。上司の感情からしても、本当にあなたを評価しているなら他の人を異動させてあなたを部署として昇進させたいものです。
もし、自分のことを評価してくれない部署や上司がいる環境であれば、異動してください。どれだけ頑張ってもその上司のもとでは絶対に出世できません。
係長級に昇任するまでの昇進スピードは事務職も技術職も同じ
公務員の出世は、技術職よりも事務職が有利です。
- 日本社会全体の評価が文系>理系
- ボスト(役職の数)の差が違う
- 出世を決める部署は事務職の出世コース
上記の理由から、トップのなかのトップまで出世したいなら事務職で採用されないと難しいです。行政職とは、事務職と技術職を指します(事務職を事務屋、技術職を技術屋とよんだりします)。技術職は土木・建築・機械、農業・林業などを専門とした職種であり、労務職・技能職とは全く別であることに注意してください。
(参考)労務職・技能職とは、バスの運転手やゴミ収集作業員などを指します。役所には技能職の出世ポストはありません。
係長級にあがるまでの昇進スピードは、事務職も技術職も同じです。自治体によって様々ですが、勤続年数によって等級が上がっていきます。
- 1年目⇒1級
- 3年目⇒2級
- 10年目⇒3級
給料も事務職と技術職では同じですが、財政破綻寸前で話題となった京都市の初任給は技術職の方が事務職よりも高いというかなり珍しい自治体です。京都市は他都市と比べても管理職の割合が多く、それも財政破綻寸前の理由の一つかもしれませんが、出世しやすい自治体であることは確かです。とはいえ、技術職の主要部署のトップは事務職でありポスト数が少ないため、もしかすれば、それが理由で技術職の方が基本給が高く設定しているのかもしれません。
地方公務員の場合、係長級から出世の壁が立ちはだかることになります(国家公務員は係長までは自動なので課長補佐以上)。
公務員の出世は技術職より事務職が有利な3つの理由
係長級⇒課長級⇒局部長級と出世できる人はほんの一握りです。国家公務員(官僚)のトップである事務次官は、「事務官(事務系)」のポストであり「技官(技術系)」はなれません。国家公務員の場合、技術職ではどれだけ出世してもNo.2どまりということです。
課長級や部長級なら技術職の方が有利かも?なんてあまい話はありません。公務員は出世は事務職の方が技術職より有利です。
技術職で出世を目指すなら、採用人数が多い自治体の試験を受けるべきです。採用人数が多いということは、その数に見合ったポストの数が用意されていると同義ですから、出世できる確率が高くなります。
もっといえば、大学が理系の学科であっても、事務職として公務員採用試験を受ければ問題ありません。なぜ技術職でなくて事務職で受けてるのか理由されしっかりしていれば面接でも不利にはなりません。
1.日本社会全体の評価が文系>理系
文系、理系と一括りにすると語弊があることは承知のうえで、日本社会は文系が有利な構造になっています。※文系が技術職採用、理系が事務職で公務員試験を受けることは可能です
民間企業でも、技術者や研究者は事務職より給料が低く、海外にいけば年収は2倍にも3倍にもなるほど。中国や韓国に日本の技術者が引き抜かれているもの理解に容易いと思います。
公務員も当然、同じ縮図になります。日本は地震や台風といった自然災害によって、毎年、多くの人や財産が失われています。復興の陣頭指揮をするのは事務職です。海外の自治体に研修にいった人に聞いた話では、日本では技術系の部署のトップが事務職だというと必ず驚かれるそうです。
規模の小さい自治体は技術職の採用自体しておらず、事務職が災害復旧で工事監督をしています。
2.ボスト(役職)の数の差が違う
事務職と技術職の出世の有利不利の最大の違いは、ポスト(役職)の数です。
技術職の場合、特定の部署の異動しかありません。一方、事務職は技術職の部署にも配属されます。特定の部署の課長や部長といったポストはありますが、多くは事務職のポストとなります。
単純にポストの数が出世に影響するわけではありません。採用人数が事務職の方が圧倒的に多く倍率が異なるためです。
- 事務職は100人が採用されてポストの数は10 ⇒ 倍率10倍
- 技術職は10人が採用されてポストの数は1 ⇒ 倍率10倍
上記の場合、倍率だけみれば同じ10倍、一見すると同じ難易度のように思えますが、それは違います。採用試験の募集人員数と同じですが、ポストの数が1つしかないということは1人でも天才がいれば出世できませんし、ポストに先に座られてしまうと退職するまでポストが空きませんから順番まちが発生します。
また、技術職はほとんどが男性です。一方、事務職は半数以上が女性です。女性職員の管理職登用割合を高める施策を打ち出してはいますが、育児など出世自体を望まない女性職員は多いです。
- 男性事務職⇒ポスト数が多く、女性事務職の出世意欲が現状のままであれば出世しやすい
- 女性事務職⇒ポスト数や施策もあり、出世を望めば圧倒的に出世しやすい
- 男性技術職⇒ポスト数が少ないうえに、ほぼ男性のため競争率が高く出世しにくい
- 女性技術職⇒ポスト数はかなり少ないが、人数が少なく施策もあり出世を望めば出世しやすい
どの地方自治体も女性職員の管理職登用割合を高める施策をすすめていますから、男性職員は出世には不利な時代です。
3.出世を決める部署は事務職の出世コース
人事部は事務職の花形、出世ポストの王道です。
技術職の評価は最終的には事務職が行うことになりますから、事務職の出世ポストを技術職に渡すなんてことはしません。
部署数、ポスト数、退職者数などを把握して人事評価をする部署は事務職のテリトリーです。優秀な技術職でも事務職のポストに就くことができるのは数名です。逆に、技術職のポストに事務職が就くことは往々にしてあります。
まとめ
公務員が出世する具体的な方法について解説しました。
そこまで打算的なことは苦手、そこまでして出世したくない、と思われた方もいると思います。その通りで、出世しない人生も正解です。ただ、出世しないことと出世できないことは違います。同期や後輩が直属の上司になることもあります。その覚悟をもって出世を拒否してください。
中堅職員からベテラン職員になると出世できないカテゴリーに入ります。たとえ本人は出世を拒否していた過去があったとしても若手職員から見れば出世できなかった人のカテゴリーです。
出世は周りとの競争なので打算的にいくことは恥ずかしいことではありません。むしろ、出世しようと頑張っている人をけなす人のほうが恥ずかしいです。そうならないように言動を気をつけてください。