【公務員の早期退職制度】辞めるタイミングを間違えると退職金を大損します
公務員を退職するベストなタイミングないつか知っている人はどれほどいるでしょうか。勢いで公務員を辞める前に、少し立ち止まってください。
とくに勤続年数が20年以上40歳代の公務員は要注意です。なぜなら、退職金を大損する可能性があるからです。
国家公務員の「早期退職募集制度」
公務員も民間企業も誰でも一度雇ってしまえば簡単に何の条件もなくクビにはできません。必ず正当な理由が必要です。そのため、民間企業では早期退職募集制度があり、例えば、
- 再就職先を支援する
- 早期退職者には通常の退職金に上乗せして支給する
など制度化し退職を促しています。定年まで働いたほうがトータルの収入は良くなりますが、能力がある人は転職したほうが次の会社の給与が元の会社と同等であれば退職金の上乗せ分が得になるというイメージです。
実は、公務員にも同様の制度があります。それが、「早期退職募集制度」です。
45歳以上(定年が60歳の場合)の職員を対象に、退職金を上乗せして支給する制度で、平成25年11月1日から本制度に基づく退職(応募認定退職)が可能となっています。
制度の概要は、(詳細:内閣官房の概要>早期退職募集制度)
- 自ら早期退職を応募⇒上司が認定すれば退職可能
- 支給率は退職者の勤続年数に応じ定年退職と同率
- 定年前早期退職特例措置による退職時の棒級月額の割増し
勤続20年以上で、定年前6月を超え15年以内の退職者に対し、定年前1年につき3%(定年前1年以内の者は2%)割増し(最大45%)
ポイントは、
- 自主退職なのに定年退職と同じ支給率となる
- 勤続20年以上かつ15年以内の退職であれば、最大45%加算される
の2点です。公務員の退職金について詳細を解説します。
公務員の早期退職募集制度で応募認定退職したときの退職金の算出方法
退職金は以下の計算式できまり、国家公務員も地方公務員も共通です。また、自主退職でも定年退職でも応募認定退職でも計算方法は同じです。
退職手当額=退職時の俸給月額×支給率[勤続年数・退職理由別]×調整率+調整額(職責に応じた加算額)
「退職手当の計算例(人事院)」をふまえ解説します。
自主退職なのに定年退職と同じ支給率となる
早期退職募集制度で公務員を辞める際は、自主退職表ではなく定年退職表が適用されます。自主退職とみなされず定年退職とみなされ退職金が支給されます。
自主退職と定年退職では支給額が全然違います。自ら退職する人には厳しいのが公務員の世界です。「国家公務員退職手当早見表(H30.1.1以降)」から勤続年数に伴う昇給を前提にすると、
勤続年数10年で自主退職すると、退職金は退職時の月額給料×5.022月分となります。月額給料を30万円とすると5.0月分ですから、約150万円の支給となります。
勤続年数20年になると、自己都合の退職でも19.6695月分が支給されます。退職時の月額給料を40万円とすると、19.6月分ですから、約800万円の支給となります。
勤続年数30年になると、自己都合の退職でも34.7355月分が支給されます。退職時の月額給料を45万円とすると、34.7月分ですから、約1,575万円の支給となります。
まとめると、
- 勤続年数10年、退職時の月給30万円 ⇒ 自主退職した際の退職金は約150万円
- 勤続年数20年、退職時の月給40万円 ⇒ 自主退職した際の退職金は約780万円
- 勤続年数30年、退職時の月給45万円 ⇒ 自主退職した際の退職金は約1,560万円
となります。自主退職であっても勤続年数が長くなればなるほど、退職金の支給月数は多く貰えるわけですね。
同様に定年退職した場合で退職金を計算すると、支給月数はそれぞれ、8.3月、24.5月、40.8月となりますから、
- 勤続年数10年、退職時の月給30万円 ⇒ 定年退職した際の退職金は約250万円
- 勤続年数20年、退職時の月給40万円 ⇒ 定年退職した際の退職金は約980万円
- 勤続年数30年、退職時の月給45万円 ⇒ 定年退職した際の退職金は約1,830万円
となります。勤続年数が短いと自主退職は定年退職と比べ約半分ほどの退職金になります。
最大月数になるには、定年退職は勤続年数35年以上、自主退職は勤続年数43年以上が必要
退職金の支給月数は最大で47.709月と決まっています。最大月数を貰おうと思うと、
- 定年退職は勤続年数35年以上
- 自主退職は勤続年数43年以上
が条件になります。
実は、退職金だけをみれば、22歳の新卒枠で公務員になる必要はありません。逆算すれば、25歳までに公務員になれば退職金の支給月数は22歳で公務員になった人と同じです。このことからも、自主退職に対し公務員は厳しいことがいえます。
調整率
応募認定退職の場合、勤続20年以上かつ15年以内の退職であれば、最大45%加算されます。
調整額は、「定年退職60歳までの残り年数×3%(最大45%)」
例えば、50歳で応募認定退職する場合、(60-50)×3%=30%が退職金に上乗せされます。
早期退職募集制度を利用した場合の退職金の額
22歳の大卒で入庁し、満45歳で応募認定退職したとします。
早期退職募集制度を利用すると、定年退職とみなされるため、勤続23年分の30.50865月が支給されます。さらに定年60歳まで15年ありますので15年×3%=45%の加算があります。退職時の給与月額を40万円とすると、
40万円×30.5月×1.45(調整率45%)=約1,770万円の退職金になります。
次に、応募認定退職ではなく自主退職の場合、比較のためあえて同じ勤続23年分で計算すると、24.6915月になり、40万円×24.7月=約990万円の退職金となります。
比較のために同条件の45歳としましたが、誰しも45歳であれば自主退職は選ばす応募認定退職を選ぶと思います。なので、44歳で自主退職と想定すると、23.0175月になり、40万円×23月=約920万円の退職金となります。
まとめると、
- 大卒22歳で入庁し、45歳(勤続年数満23年)で早期退職募集制度を利用した場合の退職金は「約1,770万円」
- 大卒22歳で入庁し、44歳(勤続年数満22年)で自主退職した場合の退職金は「約920万円」
このように退職時期がたった1年違うだけで約850万円も退職金に差がでます。
地方公務員の場合は、各自治体に確認する必要がある
地方公務員の場合は、国家公務員の制度に必ず準じる必要はありません。国にならって早期退職応募制度を整備している地方自治体もあれば制度自体がない地方自治体も多いです。地方自治体によって応募できる職種や年齢が違っていたりしますし、歳年で制度も変わっていきますので各自治体に制度を確認する必要があります。
しかしながら、退職金の最大支給月数など計算方法は国に準じていますので、退職金の試算方法には変わりません。
まとめ
早期退職を考えている公務員は、たった1年で退職金に数百万円の差がでますので、早期退職募集制度を一度検討してみてください。
注意点は、年齢とお金のバランスです。30歳で退職しようと考えている人がお金のために45歳まで粘る必要はないと思います。ただ、40歳以上で早期退職を考えている人は、この制度を利用しない手はないと思います。
