公務員で出世を拒否する人が増えています。「出世=損」という考え方が広まったためです
ひと昔前までは出世したい人が多く競争率も高かったことで、出世したくてもできない人が多くいました。しかし、現代では、ワークライフバランスを重要視し、仕事に重きを置かない思考をもつ若者が増えたことで、競争率は低下の一途をたどっています。
そんな中、どうしても、何がなんでも出世したい!という公務員も少なくありません。
プライベートを重要視する人からすれば出世はデメリットしかありませんが、公務員が出世をすると権力や給料アップといった大きなメリットが存在することも事実だからです。公務員は年功序列ですから、給料アップのためには出世以外に道はありません。
少なくも私の勤める自治体では競争率は高く、係長級へ上がれる門はかなり狭くなっています。もう何人もの優秀な人材が昇進できずにいます。
出世したい理由としては、私の能力の評価でもある!担当の業務は作業ばかりでもっとマネジメントをしたい!といったプラスの理由から、なんであんな奴が私より先に出世するんだ!同期の上司に指示されたくない!といったマイナスの理由もあるでしょう。
本記事は、あくまで日々の業務評価は優秀であることが前提で、優秀な人同士で戦ったときに、自分が勝つ方法の解説です。
※担当から係長級への昇進という趣旨です。
公務員の出世に重要な3つの要素
公務員の出世に資格や能力は関係ない!とまで言うと語弊がありますが、(当然、資格や能力があるにこしたことはありませんが)優秀な人同士で戦ったときは正直なところ関係ありません。
- A部署で最大評価されているAさん
- B部署で最大評価されているBさん
AさんとBさんに人事評価の差はありません。差はないにもかかわらず、どちらかが先に昇進するのが組織です。
では、周りよりも早く出世には何が重要なのか。それは、以下の3点です。
- 昇進候補者の数を把握する(年功序列)
- 昇進しやすい部署を見つける(昇進できる枠の数)
- 評価してくれる上司を見つける(人事評価)
実力も成果も申し分ないのになんで出世できないんだ!と悩んでいる人は今置かれている状況を確かめてください。
昇進候補者の数を把握する(年功序列)
公務員は年功序列です。
先に入庁した先輩が自分の部署にいる場合、その先輩が昇進したいと言っているなら頑張っても無駄です。どうあがいても先輩が優先されます。
能力があまりに違う場合は逆転する可能性がありますが、与えられる業務が同じではない以上、その評価軸を同じにすることは難しく、公務員の世界において勤続年数は非常に重要な意味を持ちます。
逆転できる可能性があるとすれば、部署での配属年数です。
- 部署に配属されて1年目の勤続年数10年目のA先輩
- 部署に配属されて5年目の勤続年数9年目のB後輩
上記のような状況であれば、B後輩が優先される可能性があります。あくまで部署として昇進候補者をリストアップしますから、所属部署での貢献度も重要な要素です。とはいえ、これだけでも五分五分、それほどまでに勤続年数がモノを言うのが公務員の出世の世界です。
昇進しやすい部署を見つける(昇進できる枠の数)
出世できない部署に所属していては、どれだけ頑張っても出世できません。また、出世できる難易度も高くなります。
出世できる部署を確かめる方法は簡単です。あなたの勤め先の過去数年の昇任者の数、割合を確かめてみてください。毎年、必ず昇任者を出している部署もあれば、全く出していない部署があると思います。
一般的には、財務、人事、企画、のような部署が出世しやすい部署になります。大きな括りでいえば、本庁と出先です。基本的に本庁の部署に所属している方が出世しやすい傾向にあります。本庁の方が高度な業務をしているという謎の評価が下されるからです。
例えば、
- A部署 1年に2人昇進している
- B部署 1年に1人昇進している
- C部署 3年前に1人だけ昇進して以降だれも昇進していない
であれば、C部署で評価されることを目指すよりも、A部署やB部署に異動した方が昇進は早いことは明白です。
気を付けなければいけないことは、A部署とB部署の差です。人数でいえばA部署ですが、A部署に昇進候補が10人とすれば5倍、B部署に昇進候補が2人とすれば2倍と倍率は全く違いますからね。
評価してくれる上司を見つける(人事評価)
人事評価を受ける上で上司との関係性は非常に重要です。
A部署で評価されていた人がB部署へ異動した途端に全く評価されなくなったなんてよく聞く話です。もちろん、人事異動は転職レベルに業務が変わりますから、自分の得意不得意も影響を及ぼすことは間違いありません。しかし、評価するのは機械ではなく人ですから、態度や話し方が気に食わないだけで評価が下がることは往々にしてあります。
公務員の組織においては、どれだけ仕事で成果をあげるよりも、どの上司についていくか、どの山を登るかが非常に重要です。
では、どの上司についていけばいいのか、見分け方は簡単です。
- 上司の上司は評価しているか
- 上司のもとで昇進した部下がいるか
評価されていない上司がなぜ昇進しているのかというと、勤続年数であったり時代であったり要素は様々ですが、その議論は一旦おいておいて、周りから評価されていない上司は当然、その上司の上司にも評価されていません。
つまり、上司がどれだけあなたを評価して上にあげても、上司の上司からすれば信頼度がない評価になりますから、他の信頼できる部下から上がってきた人を優先しようということになることは必然です。
また、過去に上司のもとで昇進した担当者がいない場合、かなり危険です。その上司は部下を評価したくない人かもしれません。
力をもっている上司と仲良くなれば、希望の部署に異動させてもらえる可能性も高くなります。
どうしても早く出世したい人がとるべき具体的な行動
具体的にどう行動すれば周りより早く昇進しやすいのか。
まず昇進しやすい部署の中で昇進候補者の数を把握します。自分が異動するタイミングと候補者が異動するタイミングを見極めて異動希望を出しましょう。評価してくれる上司がいる部署へ異動できればベストですが、第一優先は出世部署に異動すること、これが鉄則です。
人事異動において、徹底的に昇進を意識した異動希望を出すしかありません。つまりは、昇進するためには先を見据えて部署異動することが重要になってきます。異動1年目は無理でも、2年後、3年後には自分が最優先されるような部署のメンバーがベストです。
みんなから嫌われる業務もあるかもしれません、業務量も多く残業の毎日を送るかもしれません、パワハラ上司に疲弊するかもしれません。飲み会に参加したり、休日の行事に参加したりとプライベートを犠牲にするかもしれません。しかし、そういった傾向のある部署ほど出世しやすいのです。ストレスは相当なものになりますが、そういったハードルを超えないと誰よりも早く出世することはできません。
やりたい仕事や得意な仕事なんて当然後回しです。昇進するためには我慢しましょう。目的はあくまで出世です。
当然のことながら、普段の成績が悪いといくら出世しやすい部署を希望しても絶対に希望は通りません。普段から評価をされたうえで、自分が出世しやすい部署に異動できるよう、普段から上司に対してそこの部署に異動できるよう主張しておくことが重要です。
あまり昇進ばかりを主張すると良い印象を持たれませんので、悪い印象を与えずに、遠回しで主張することが重要です。
せっかく出世できる部署に異動できたのに1年で異動なんてことも起きる可能性があります。その場合、出世が遅れることは確実です。少なくともあなたよりも優先される人がいたという事実にほかならないからです。あなたを評価しているなら、他の人を異動させて、あなたを部署として昇進させるでしょうからね。
もし、自分のことを評価してくれない部署や上司がいる環境であれば、とっとと異動することをおすすめします。どれだけ頑張ってもその上司のもとでは絶対に出世できません。
出身大学など学歴も重要ですが、入庁してからの評価はまた違ったものになります。しかし、昇任者が一定の大学以外はいない場合、その組織で昇任は諦めたほうが良いかもしれません。
そこまで打算的なことは苦手、そこまでして出世したくない、と思われた方もいると思います。その通りで、出世しない人生も正解です。