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【公務員終了のお知らせ】個人のミスは連帯責任!給与カットの時代へ

公務員終了のお知らせです。将来は真っ暗です。

自分とは全く関係のない職員のミスの損失を補填するために、自分の給料をカットされる時代に突入しました。

過去、個人のミスを国や自治体組織が、部下のミスを上司が、個人のミスを個人が責任をとってきた事例は多くありました。しかし、自分と全く関係のない人のミスの尻拭いを減給処分というかたちで責任をとることになったケースが生まれました。

この事例が定着し、公務員組織の常識となれば、公務員は終了です。

前代未聞!地方公務員が連帯責任で減給処分された事例を解説

茨城県常陸太田市は、個人のミスで生じた約4億円の一部損失を市職員全員の給与カットで補填する前代未聞の責任の取り方を示しました。

事の発端は2022年4月、住宅団地のマンホールから汚水があふれ出ました。6月には区画整理事業の土地でも同様の事態が発生します。原因を調べると、下水道設計のミスであったことが発覚します。

下水道工事発注の際、汚水の量を誤って算出したため、想定よりも小さいマンホールとなってしまったため汚水があふれてしまったわけです。このミスによる設計の見直しや改修に約4億円かかるとのこと。

問題は、ここから。

これまでであれば、なぜこのような失敗が生まれたのか原因を究明し失敗を繰り返さないように対策方法を考案したうえで、必要であれば市長の減給や幹部や当人の懲戒処分となることが一般的でした。しかし、下水道という自治体組織の一部の部署のミスを職員全員の給与カットで穴埋めする動きになります。

市が全職員の給与減額の条例案を議会に提出

市は「改修費用全額を税金で負担することは市民の理解を得られない」として、全職員の給与を減額し、改修費用の一部に充てるとする方針を決め、議案として提出します。

月給と期末・勤勉手当について2023年1月から2024年3月まで1年3か月間、市長ら特別職は5%、一般職員は1~2%減額するというものです。

茨城県常陸太田市の職員数は563人、全員の給与をカット、前代未聞です。これについて職員労働組合も合意したというから驚きです。事実、全日本自治団体労働組合によると、個人や組織のミスで発生した費用を全職員で負担するのは異例とのこと。

しかし、どんな議案であれ、市長が議会に提出しても議会が承認しなければ実行に移されることはありません。

市議会は賛成多数で可決

2022年12月15日、全職員の給与を減額する改正条例案を賛成多数で可決します。これによって、個人のミスを連帯責任で周りの職員が穴埋めをする前例のない措置が確定します。

同日、市議会は市議17人の議員報酬を2%カットする改正条例案も可決します。市職員、市議会ともに自ら給与カットを選択した異例の結末となりました。

職員の給与カット額

では、実際のところ、給与カットはどれくらいになるのでしょうか。

  • ミスをしてしまった担当職員や特別職への減給や自主返納分 約580万円。
  • 職員減給の条例改正で捻出される分 約6,000万円
  • 市議会の議員報酬を2%減額する措置分 約255万円

総額は、約6,835万円になります。

茨城県常陸太田市の職員で見ると、

  • 新卒職員の月給与 182,200円 ⇒   1,822円カット
  • 課長級の月給与 約380,000円 ⇒   7,600円カット
  • 市長の月給与   885,000円 ⇒ 44,250円カット

となっています。

年収ベースだと、新規採用職員で約30,000円の給与カットになっています。

公務員が連帯責任で減給されたことに対しては賛否両論!当の市長の意見は?

主な意見をまとめてみました。

まずは、賛成派の意見です。

  • 気の毒だけど仕方がない。それをしなかったら、市民が承知しない部分もあるんじゃないか。

  • 市民に負担にならないような対応を迅速に決定したってだけでかなり評価できる。

  • 給与の減額がたったの2%で済むというのは、やはり「地方公務員は恵まれている」と批判されて当然です。民間企業で4億円もの穴を空けたら、減給どころか諭旨解雇に追い込まれますよ。

一般的な民間企業であれば、業務で発生した損失を、いち個人に負わせる事は無いと思いますが、公務員に対しては厳しい目が向けられている現実が伺えます。

次に、反対派の意見です。

  • これはおかしい。無関係な係の人は納得できないし可哀想でしょ。どんな決議(笑)。市会議員もよく採決できたな

  • 誰の失敗か明らかなのに、全員で連帯責任だと言って給料減らされたら組織全体のモチベーション下がるし悪しき前例になる

  • 仕事に失敗はつきものなのに、失敗したら給料減らすぞっていうのは、隠蔽につながる可能性があるから、対応としては非常に良くないと思う

  • 連帯責任がどれだけ組織の信頼関係を壊し隠蔽体質を作るか、普通に学校生活を送っていたなら誰でも知っている

  • あーあ。悪例作っちゃったね。職員の士気は下がり、行政サービスも低下。有能な職員は減り、来年以降、志望者が減るかもね

私も反対派です。

なぜミスが発生したのか、具体的にどういった設計ミスだったのかまでは明らかになっていないので、100%擁護するつもりはありません。1人のミスなのか部署全体のミスなのかも明らかになっていませんし。しかし、この措置が前提となると、公務員の仕事なんてできません。

反対派の意見はその通りで、組織として正しい方向に向かう対応ではないと私も思います。

当の常陸太田市・宮田達夫市長は、

  • 議会が条例の趣旨を理解してくれ、市民への説明責任もついたかなと思う

  • 個人云々(うんぬん)よりも、組織全体の話なんだろうと。税金を払って頂く方々に対する説明責任ということで、職員の給与の一部を充てて、返済をしていこうと

  • 職員の意識が低下しないような方策をということで。研修とか、モチベーションアップするための職員提案の採用とか、コミュニケーションの強化とか。そういうところでカバーしていきたい

と述べています。

自分と無関係の部署のミスの補填のために自分の給料がカットされることに対して、研修やコミュニケーションの強化で解決できると思っていることに驚きです。説明責任を果たすべきは市長であって、全職員の給与カットをすることがどう説明責任なのか理解に苦しむところです。

まとめ

常陸太田市の2022年度の一般会計予算は247億7000万円。自治体の財政力を示す「財視力指数」は茨城県32市の中で31位。このような財政状況の中での4億円のミスを見過ごせなかったということは理解できます。

しかし、職員の給与を減額するための法的根拠がない合理的な理由がないなかでこのような措置を強行されることは疑問です。職員のトップは市長であり、職員のミスは市長のミスです。説明責任というより市長自身のミスではないとする思惑が伺えてなりません。

このような処分が下されたとあっては、現場の職員のモチベーションなんてあったものではないでしょうし、ミスをしてしまった職員の精神的なフォローも気になります。村八分、針のむしろ、想像するだけでも苦しくなります。

本件については、公務員への風当たりが非常に強いこのご時世でも、反対派の意見が多かったように思います。それだけ前代未聞の事態ということでしょう。個人的には、責任のない職員が法的根拠のない減給条例だとして裁判所に訴えたらどうなるのか更なる展開が気になるところです。

最悪なケースは本件が前例となり、全国の標準になってしまうことです。自分と無関係なミスで給与カットが当たり前の組織に誰が働こうと考えるでしょうか。人材の低下、流出は当たり前に、組織として機能しなくなる危うさまで見え隠れする本件の対応は公務員の将来を暗くさせたことは間違いありません。

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