地方自治体と地方公共団体の違いは分かりますか?普通地方公共団体と特別地方公共団体との違いは?基礎自治体とは何を指すのでしょうか?
本記事では、公務員の種類の定義を解説します。
地方公共団体と地方自治体との違い
「地方公共団体」と「地方自治体」は同じ意味で使われることが多いですが厳密には違いがあります。正確には「地方公共団体」が正しく、一般的な言い方が地方自治体となります。
なぜなら、地方自治法に「地方自治体」という名称は1語も登場しないからです。
戦後、「地方自治法」が日本国憲法とともに制定されました。地方自治法は、国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保や健全な発達を保障しています。
おそらく、地方自治体とは「地方自治法に規定する地方公共団体」の定義が簡略化されていってできた造語に近いものと考えられます。
普通地方公共団体と特別地方公共団体の違い
地方公共団体は、都道府県市町村を統括する行政機関のことですが、「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」をあわせたものと地方自治法で規定されています。
- 普通地方公共団体 都道府県及び市町村
- 特別地方公共団体 特別区、地方公共団体の組合及び財産区
東京都は普通地方公共団体ですが、東京23区は特別地方公共団体となります。区という位置づけですが、市と同等の扱いになります。
よく、市区町村と表現されることもありますが、特別区を含めた意味と含めない意味であり、法の定義ではありません。
また、普通地方公共団体のうち、市町村は更に細かくなり、
- 指定都市 人口50万以上の市のうちから政令で指定、政令指定都市ともよばれる
- 中核市 人口20万以上の市の申出に基づき政令で指定
- 施行時特例市 特例市制度(人口20万以上の市の申出に基づき政令で指定)の廃止の際、現に特例市である市
- その他の市 人口5万以上ほか
と細分化されています。
詳細は、総務省HP「地方公共団体の区分 地方公共団体の種類について」をご確認ください。
広域地方公共団体と基礎地方公共団体の違い
ニュース等でも基礎自治体や広域自治体と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
「地方自治法」では、
- 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
- 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
と定義されています。
地方公共団体と地方自治体と異なる点は、国が市町村と区を「基礎自治体」、都道府県を「広域自治体」としてることです。
つまり、
- 基礎自治体 市町村と特別区
- 広域自治体 都道府県
という意味になります。
地方自治体とは呼ばず地方自治体と呼ぶが、基礎自治体と広域自治体とは言う、というややこしい関係性になっているのが実情です。
地方公共団体の種類別の数
地方公共団体の内訳は、総務省HP「広域行政・市町村合併」によると、平成30年度の調査時点で、
- 都道府県 47
- 市 792
- 町 743
- 村 183
- 特別区 23
- 合計1,794
となります。
市町村は小計1,718ですが、北方領土を含めると1,724になりますので、合計では1,800となります。平成11年には3,232あった市町村も平成の大合併によって約半数まで数を減らしている状況です。
ちなみに、財産区は全国に3,982団体存在しています。
財産区とは、市町村合併の際、財産をもっていた町村に対して例外的な権利を認めたものです。財産区の管理者はあくまで市町村長ですが、特別地方公共団体としての顔も持ち合わせています。
財産区をわかりやすく説明すると、合併前は自分たちの村で裕福にやっていたのに、合併後は新しい行政機関に財産をもっていかれたのではあまりに不公平ですよね?自分たちの財産は財産で管理する、そうじゃないと合併しない!ということでお互いに譲り合った結果生まれたものと思ってください。
財産区は超絶ややこしい存在です。財産区を完璧に説明できる人は現役の公務員でもそういないと思います。需要があれば別記事で解説します。