【定期更新】株の運用実績 2021~

ラスパイレス指数の問題点。国が高く地方が低い理由を解説

国家公務員と地方公務員の給与を比較する指標にラスパイレス指数があります。

令和2年4月1日時点のラスパイレス指数をみると、主な地方自治体の約半数が国よりも給与水準が高いとことがわかります。

しかし、これには”裏”があります。

実は、国家公務員のラスパイレス指数の算定根拠と地方公務員の算定根拠は違っているんです。

もし、同じ評価手法にすれば、給与水準が国より高い地方自治体は0になるかもしれません。

ラスパイレス指数の問題点について解説します。

ラスパイレス指数とは公務員の給与比較に使う指標

国家公務員と地方公務員の給与差を比較する指標に「ラスパイレス指数」があります。

「ラスパイレス指数の定義:国家公務員行(一)の俸給月額を100とした場合の地方公務員一般行政職の給与水準」

要は、一般的な国家公務員を基準にして、地方公務員の給与水準の高い低いを比較しているものになります。

国家公務員の給与を100として、

  • 100より高い⇒国家公務員よりも地方公務員のほうが給与水準が高い
  • 100より低い⇒国家公務員よりも地方公務員のほうが給与水準が低い

となります。

ラスパイレス指数のランキングは、地方自治体ごとに公表されています。

(参考)「地方公務員の給与水準(総務省)」

例えば、令和2年4月1日時点のラスパイレス指数が100以上の自治体の割合は、

  • 都道府県:21/47
  • 政令指定都市:14/20
  • 中核市:29/60

となり、主要な地方自治体の約半数が国家公務員よりも給与水準が高いという結果になっています

ラスパイレス指数の計算方法

ラスパイレス指数の算定方法についても総務省が公表しています。

算出方法

職員構成を学歴別、経験年数別に区分し、地方公共団体の職員構成が国の職員構成と同一と仮定して算出するものであり、地方公共団体の仮定給料総額(地方公共団体の学歴別、経験年数別の平均給料月額に国の職員数を乗じて得た総和)を国の実俸給総額で除して得る加重平均

(参考)「ラスパイレス指数の算定方法(総務省)」

ラスパイレス指数の用途

国からすれば、地方のほうが給与水準が高いことは望ましいことではありません。

法的には平等であっても、結局のところは主従関係にあることは否めないからです。

つまり、ラスパイレス指数が100以上の自治体に対して、給与水準を下げるように勧告してきます。

顕著な例が、東日本大震災のときの給与カットです。

東日本大震災が起きたとき、国家公務員は2年間の給与カットを実施しました。

給与カットにより一時的に低下した国の給与水準を反映した平成24年4月1日時点のラスパイレス指数を100としたため、給与カットを実施していない多くの地方自治体は国よりも高い数値(全国平均で7%上回った)となりました。

国は平均で7.8%の給与を削減するように地方自治体に求め、その額に相当する地方交付税を削減することを決定。

地方交付税とは国から自由に使っていいよ!とされている補助金のようなもので、削減されると人件費の予算が足りなくなるわけです。

もちろん、地方公務員の給与は各地方自治体が条例として議会の承認を得て自主的に決定するものですから、国の強制的な削減強要は地方自治の本旨を揺るがすと解釈できます。

しかし、結果的には、全国的に地方公務員の給与カットが実施されました。

ラスパイレス指数の問題点

国よりも地方自治体のほうが給与水準が高いという事実に違和感を覚える人も多いかもしれません。

社会的な問題によって国が給与カットすれば、地方も合わせるのが筋、なぜ地方は反発するのかと。

実は、地方自治体が反発しているのはそのポイントではなく、ラスパイレス指数の算出根拠です。

国家公務員のラスパイレス指数の算定根拠と地方公務員の算定根拠は違う

結論としては、

  • 地方公務員⇒上から下まですべての職員が対象。局長や部長といったトップからヒラまでを平均
  • 国家公務員⇒一定以上の幹部は除外して算定。本省課長級以下から担当者までを平均

つまり、

国は給与が高い人を除外することでラスパイレス指数を算出し、意図的に給与水準を低く見せているわけです。

ラスパイレス指数の定義は「国家公務員行(一)の俸給月額を100とした場合の地方公務員一般行政職の給与水準」でした。

国家公務員行(一)の適用者とは、「本省課長級」までです。

課長級より上位の事務次官、局長、審議官など「本省次長以上」の幹部職員は「指定職俸給表」というより高い給与水準の俸給表が適用されるにもかかわらず比較の対象とされません。

本省課長級であれば年収は余裕で1,000万円を超えます。事務次官級であれば余裕で2,000万円を超えます。

さらに、同じ本省課長から本省次長級の給与水準が設定されている「専門スタッフ職俸給表」に該当する職員も除外されています。

「指定職俸給表」と「専門スタッフ職俸給表」の適用者を合わせると、約1,000人にもなります。

また、早期勧奨退職(いわゆる「天下り」)により、高い所得水準を維持、上昇させている幹部職員や特殊法人等への現役出向の職員の給与が比較対象からは除外されています。

このような背景があるにもかかわらず、国が半強制的に給与カットを強要してくることに対して地方は反発しているわけですね。

せめて、同じ手法を用いて、同じ土俵で評価してくれよと。

もちろん、事務次官級ともなれば本当に一握りのキャリアしかなれません。

そこまでのぼり詰めるレベルの人たちの労働時間やレベルは相当なものでしょう。

だからといって、都合の悪いことを除外して、素知らぬ顔で地方に強制していい理由にはなりません。

まとめ

国と地方自治体ではラスパイレス指数の算出根拠が異なるため、ラスパイレス指数だけをみて給与の高い低いを判断することは間違いです。

ラスパイレス指数の矛盾点からも説明した通り、国は指数を上げる(平均年収を上げる)はずの職員を除外して計算しているわけですから、含めれば相当な額になるでしょう。

裏を返せば、それだけ国と地方の給与水準は差があるということです。

【公務員の年収】最新ランキングをあてにしてはいけない理由」でも解説していますが、パッと見の数値で判断しないように気をつけてください。

一時の年収で高い低いの競争をしても仕方がありません。

生涯年収でみるという視点も大切です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)