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公務員の人事異動は本当に運!決め方と発表時期を解説

jitchan

公務員の人事異動は「運」です。人事は上から決まりますから、特に係長級以下の若手職員は自分の意向を聞いてもらえることもありません。管理職の命じるがままの異動となります。拒否することはできません。

公務員である以上、部署異動は避けて通れません。平均3年、早ければ1年、長くて5年で異動になります。

  • どの部署にいくのか
  • 同僚は誰なのか
  • 上司(部下)は誰なのか

すべて運なわけですが、事前に何も知らされないまま内示は突然発表されます。中には人事異動が気にくわないからといって所属や人事課に直談判する人もいますが、内示が変わることはありません。

公務員のにおける人事異動の決め方、発表時期、運の要素について解説します。

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公務員の人事異動の決め方

公務員の人事は役職が上の職員から決まります。地方自治体によって名称や階級が異なるため、一般的な県を基準にしますと、決める順序は、

  1. 知事が、副知事、部長級・局長級を決める
  2. 部長級・局長級が課長級を決める
  3. 課長級以上で係長級以下を決める

一般職のトップとなる部長級や局長級は、特別職(知事など選挙で選ばれた人、副知事は知事が議会の承認を得て任命)が決めています。

上から退職者がでれば、下が昇格してそのポストに着く。退職人数を加味して新規採用職員の採用人数は決まります。

人事異動(案)に対して、上が下に口出しはできても、下が上に口出しはできません。課長が決めた人事異動(案)を部長が変更することはできても、係長が変更することはできません。

その人事異動(案)は、「人事課」が決定しますから、人事部長や人事課長などのポストは絶大な権力をほこることになります。とはいえ、職員が300人程度の小規模な自治体ならまだしも、1万人、2万人の職員がいる都道府県や政令指定都市のような自治体で人事課長1人がすべての人事を決められるわけがありません。

実際に決めているのは、各部署のトップ(主に課長級)になります。実際のところ、どうなっているのか具体的に解説します。

人事異動のテーブルにあげる

所属長(部署のトップで部課長級)が部署として異動させてもよい職員をリストにあげます。これを異動のテーブルに上げるといいますが、このテーブルにあげないで異動することはありません。所属長の独断と偏見で決めるわけではなく、当然に所属長の上司の承認を得ることになります。

所属長が「絶対に異動させないと決めた職員」が異動することはありません。所属長がテーブルにあげるかどうかの権限をもっているわけですから、所属長が「君が異動するなんて聞いてなかったよ~」と言っていたらそれは100%嘘です。

極端な話、部署の担当者全員が異動した場合、翌年度から大変なことになることは明らかです。所属長まで出世している人が、自分で自分の首を絞めるようなバカなことは絶対にしません。

人事異動にも順番があり、

  • 部署へ配属された2年目と5年目では、5年目を優先
  • 昇進・昇格した職員は優先
  • 災害派遣、外郭団体や上下位機関への出向組は優先
  • 問題を起こした職員は半強制

など、職員の能力や部署内での役割に応じてテーブルにあげます。ほかにも、定年退職まで残り1年の職員を異動させることは不合理であり異動先の部署もメリットがありませんから残留確定です。

1年での異動は評価が分かれる

部署の改編などが理由でない1年での異動は、新規採用職員を含め相当優秀か全く仕事ができないかのどちらかです。0か100かの評価を受けています。

異動後の配属部署の役割でどちらの評価を受けているのか分かります。

引き抜き

仕事ができる職員とできない職員の噂はすぐにまわります。他の部署のできる職員がテーブルにあがっていた場合、指名して自分の部署に異動させる場合があります。

噂ではなくても、昔の職場で一緒だった仕事ができる部下がいれば、自分の異動先へ引き抜くことはよくある話です。所属長からしても、仕事ができる元部下ほど扱いやすい職員はいませんから。

一緒に仕事はしていなくても、飲み会などで認識してもらうことで異動に有利になる場合があります。

指名

逆に、自分の部下を指定の部署へ異動させろと圧力をかけるのも所属長の仕事です。自分自身の評価にかかわるという理由もありますが、仕事ができる人ほど出世街道を歩ませたいというのが本音です。

異動希望を聞いてもらった数少ない職員は、人事課長に感謝するのではなく所属長に感謝しなければなりません。人気部署であれば、要望ポスト1人に対し希望者10人なんてザラです。

トレード

人事異動は等価交換が原則です。偏ってしまうと部署が機能しない悪循環がうまれ、所属長自身も責任が増えつらい立場になります。だからといって自分たちだけ良い思いをする異動計画は許してもらえません。

  • できる職員をだすかわりに、できる職員をくれ
  • できない職員を受け入れるかわりに、できない職員を受け入れてくれ
  • できる職員をくれ、そのかわりできない職員も引き受ける

このように他の部署の所属長と交渉するわけです。

ルート

「ここの部署の課長はあそこの部長へ昇進する」といった出世ルートによくみられる暗黙の人事が存在します。また、出先から本庁へ、本庁から出先へ、といった固定ルートもあります。

玉突きのように人事がローテします。出世できるポストは決まっているのでそこを狙う人も多いです。

個人的な事情を配慮

以下のような明確な理由がある場合、人事異動には一定の配慮がなされます。

  • 介護をしている
  • 育児をしている
  • 身体が不自由である
  • 病気療養中である

親の介護や子の育児がある職員に対して、残業が当たり前の部署や通勤時間が片道2時間もかかるような部署への異動は一定の配慮があります。足が不自由で車いすを利用する職員を地域の行事や現場作業が前提の部署に配属させることはありません。車の運転免許証をもっていない職員に対して、自家用車がないと通勤できないような遠隔地の異動も行われません。

100%ではありません。しかし、社会的な背景もあり、近年はとくに介護と育児を理由にした勤務地配慮は年々希望通りになっている傾向にあります。

職場内で結婚していたり付き合っていたりする場合、同じような部局には配属しません。もし部署内で発生した場合、どちらかを異動させます。同じ部署もそれはそれで気まずいでしょうし、本人たちもわかって付き合ってるわけですから、異動について不平不満は聞いたことはありません。

また、職員同士の関係性や職員本人の素質も考慮されます。人事課としても人事案に文句を言うような人はマークしています。

公務員の人事異動の発表(内示)時期

人事異動の発表がいつあるかは自治体によって異なります。多くの地方自治体では、4月1日付で異動となりますが、年度途中で異動することもあります。(国は7月1日付けなど比較的バラバラです)

3月31日に発表したのでは引継ぎなど新体制に向けた準備ができませんから、前もって「誰が」「どこに」異動するのかを発表しておく必要があります。これを「内示」といいます。内示は一般的に、4月1日の7日~14日前までに発表されます。

内示日を事前に情報提供する自治体もあれば、職員専用端末からしか見れないホームページに何の通知もなしに発表される自治体もあるようです。私の勤める自治体では、内示日に所属長から直接伝えられます。それまでに事前に教えてもらうことはありません。

内示日ほど役所が盛り上がる日もありません。誰が出世した、誰が左遷された、誰が~という話はベテラン職員は好きですからね。

なお、公務員の場合は地域新聞に人事異動情報が掲載されます。幹部の人事異動は政治が絡みますから、地域新聞だと管理職以上の異動は実名公表されます。

人事異動に不服!拒否したら懲戒免職処分?

公務員は人事異動に不服申し立てすることはできます。しかし、あくまで意見が言える、理由を聞けるだけで、結局は人事異動に従う必要があります。

転勤を伴う異動も往々にしてありますが拒否できません。正当な理由なく拒否を認めたら誰も嫌な仕事をしてくれないですし、いつまでたっても人事が決まりませんからね。

内示を拒否した場合、職務命令違反となります。懲戒処分の対象となり、最悪は懲戒免職処分となる可能性もあります。

地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

自己都合の理由で拒否すると、今後はさらに悪い人事異動になる可能性も考慮しなくてはなりません。

ただ、介護や育児などの理由があれば別です。自宅からあまりに遠い職場ですと保育園に預けたり迎えにいったりすることも難しいことになりますから、考慮される可能性は高いです。

異動希望は聞いてもらえるのか

異動希望が通る可能性はかなり低いです。介護、育児など特別配慮する必要がある職員でも、全員の希望を叶えることはできません。

そもそも、全員の希望を聞いたのでは、誰も嫌なつらい仕事はしてくれません。収税、用地、生活保護など、肉体的にも精神的にもつらいことが分かっている部署に希望する職員は一握りです。若手職員ほど後回しになりますから、まず無理だと思ってください。

もし、できるかぎり希望を叶えたいのであれば、今の所属部署のトップと、行きたい先の部署のトップと仲良くなることをおすすめします。部署のトップ同士に顔を知られているメリットは大きいです。

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こむいん
こむいん
現役の地方公務員
とある地方自治体の行政職として10年以上働いています。FIREを目指して活動中。
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