内定を辞退した自治体に入庁しておけばよかった!と後悔している人も多いのではないでしょうか。
- 今の自治体や会社が合わない
- やっぱり地元に帰りたい
- 育児や介護のために転職せざるを得ない
など内定を辞退したときと状況や価値観が変わることはおかしいことではありません。
内定を辞退した自治体を再受験する場合、不利になるのでしょうか。
公務員試験の応募要項に内定辞退者の再受験は禁止されていませんから申し込み自体は自由なわけですが、過去の内定辞退が記録されていて門前払いなどではと不安になる人も多いと思います。
結論、再受験は不利にはなりません。私の自治体でも内定辞退から再受験して入庁している職員はいます。
現役の公務員が理由を解説します。
公務員の内定辞退率は高い
公務員試験の合格後、内定を辞退する人は少なくありません。
面接では、第一志望です!と答えながら他の自治体や民間企業を併願することは就職活動の常識ですから、内定辞退は何の問題もありません。
全国の自治体でトップの内定辞退率の北海道の過去の大卒者の内定辞退率は、
- 2013年度 19%
- 2014年度 37%
- 2015年度 59%
- 2016年度 63%
と、今や約半数が内定を辞退している状況です。
埼玉県や神奈川県でも内定辞退率は40%程度と、多くの自治体で内定辞退率は高水準となっています。
現代において公務員の内定を辞退することは普通で、役所側からすればどうやって辞退率を低くするかが課題となっています。
内定を辞退した自治体を再受験しても不利にならない理由
結論、再受験は不利ではありません。
そもそも内定辞退者を絶対に入庁させまいと入念に記録をとっている役所はありません。
過去に懲戒処分を受けていた人を採用して問題になっている自治体もありますほどです。
内定者ということは能力評価は十分だったわけですから、まともな自治体であれば再受験という理由だけで不採用ということはありません。
採用面接でも、自分から言わない限り質問されないと思います。
しかし、
- 内定辞退を連絡せずにバックレるような明らかに社会人としての常識を欠いた行動をとった
- 内定辞退をした自治体を翌年受験する
といった場合は不利になる可能性があります。
内定を辞退してから数年後の再受験の場合、人事課や管理職が人事異動をしていないこと可能性が高く、個人的に記録を残している可能性があるからです。(逆にいえば、内定時は高評価であっても面接官が人事異動で変わっていれば評価はフラットになる可能性が高いため、そういった意味では不利になります。)
とはいえ、内定を辞退した理由を合理的に説明できれば不利にはなりません。
例えば、
- 両親の介護の必要がなくなった
- 結婚や子育てのため
- 大学や大学院へ進学することになった
など、明確な理由を説明できれば問題ないでしょう。
なぜ内定を辞退したのか、その問題は解決したのか、いかに面接官を納得させられるかがポイントです。
内定辞退に対して厳しく対処するというには本音であり建前でもある理由
民間企業も国や地方自治体も優秀な人材を採用したい思いは同じ。
優秀な人材は何社も内定をもらい、その中から選ぶというのは周知の事実です。
そのため、多くの企業や自治体では、内定辞退を避けるため必死です。
内定辞退者数をある程度想定して採用予定人数を決めるのも採用する側の能力ですが、想定通りにはなかなか進みません。
内定辞退については「人事院の国家公務員試験採用情報NAVI」にも記載があり(一部抜粋)、
採用内定は、1つの官庁からしか得ることができず、採用内定後に辞退することは、他の採用希望者に多大な迷惑をかけるとともに、採用事務に重大な支障を来すことになります。採用内定を応諾する場合には、その後に辞退することがないよう慎重に判断してください。
一見すると再受験をしても合格する可能性はゼロのように思えますが、実情としては内定辞退者が多くなると、
- 内定辞退率が高い水準で推移しており下げたい
- 優秀な人材が採用できない
- 採用予定人数を下回ると再び採用試験を実施しなくてはいけないためコストや仕事量が増大
といった背景がありますから、内定辞退については厳しく表現されています。
内定辞退さえなければ不採用と判断した人を採用できたのに!なんてメリットがないわけですから、他の採用希望者の不利益になるというのは建前です。
人は合理的な判断ばかりするわけではない
内定辞退をしたこととその人の能力は無関係ですから、過去に採用試験に合格している人の評価は申し分ないはずで、優秀な人材を確保したければ、内定を辞退した人を採用すれば話が早いです。
しかし、人は合理的な判断をしません。
”内定をけって迷惑をかけておきながら再受験なんて今さら何様のつもりだ!”という考え方をもっている人がいることは事実です。
機会損失にも繋がりかねない考え方ですが、精神論や感情論で判断する人は少なくありません。
そのような面接官がいた場合、再受験は不利になります。
まとめ
内定を辞退しても再受験時に不利になる可能性は低いです。
しかし、再試験時の面接官が同じ人であったり、自治体として入庁させない方針がある場合(もちろん絶対に公表されませんが)は不利になります。
そういった意味では、慣習や風習が根強い田舎の自治体よりも都市部の自治体のほうが不利に働くことはないでしょう。自治体の規模が大きければ大きいほど、採用人数も多く人事異動も早いですから、平等に評価される可能性は高まります。
再受験については、常識がない、不愉快、絶対に不合格、何をいまさら、といった感情論が散見されますが、他人の感情論で再受験しない選択をすると絶対に後悔しますよ。
どうせまた辞めるんじゃないか?という理由で面接で不合格になるなら、公務員に転職できる人はいないことになりますからね。
とにもかくにも、内定を辞退するときの連絡は丁寧にしてください。
民法上、内定辞退の連絡は入庁の2週間前まででよいとされていますが、入庁直前に内定辞退が分かっても人員補充のため再試験を実施できません。自治体のことを考えるなら、辞退することを決めたらすぐに連絡すべきです。
立つ鳥跡を濁さず、内定辞退でも退職時でも再受験する可能性が少しでもあるなら好印象であるにこしたことはありません。