公務員は法律で”原則”副業が禁止されています。
しかし、株式投資についてはその原則論からのがれ、禁止されていません。
>>>「公務員の副業禁止理由は法律で規定!罰則や処分はある?」
なのに、株式投資が原因で懲戒処分された事例が後をたちません。
なぜ、バレたのか
なぜ、懲戒処分されたのか
わかりやすく解説します。
株式投資がバレて懲戒処分された事例
とにもかくにも、まず、実際に懲戒処分された事例をみてください。
懲戒処分の定義については以下の記事をご覧ください
>>>「公務員の副業がばれるとどうなる?懲戒処分された最新事例を紹介」
国税調査官・停職6カ月
- 2011年7月
- 仙台国税局(岩手県内の税務署)の50代の上席国税調査官(男性職員)
- 停職6カ月の懲戒処分⇒依願退職
- 2007年5月から2010年10月にかけて、勤務時間内に携帯電話で計331回の株取引を行った。
- 株取引の損失で生じた借入金の返済に充てるため、同僚や部下4~5人から計700万~800万円程度の借金をしていた。金を貸していた部下が今年初めごろ、勤務先の税務署長に相談して発覚。
国税調査官・停職6カ月
- 2011年6月
- 名古屋国税局(三重県内の税務署に勤める)50代の上席国税調査官
- 停職3カ月の懲戒処分
- 2007年6月から今年1月、勤務中にトイレで席を離れた際などに携帯電話で証券会社のサイトにアクセスし、1日平均7、8回、計5810回の株取引をしたとみられる。
- 多額の株取引をしているとの情報があり、1月の内部調査で発覚。
調査官は相続税や贈与税などに関する調査事務をしており、同局は「職員の立場で知り得た情報を使った取引はない」、「取引をした勤務時間約70時間分の給与は返納させる」としています。
警察庁のキャリア職員・停職1カ月
- 平成25年10月
- 警察庁のキャリア職員
- 停職1カ月の懲戒処分
- 平成22年3月から3年にわたり、職場のパソコンなどを使って、勤務中に約3900回の株取引。個人的な知り合いらから合わせて約800万円を借りたこともあった。
公安調査庁公安調査事務所長・停職1カ月
- 平成26年12月
- 公安調査庁の公安調査事務所長
- 停職1カ月の懲戒処分⇒同日付で辞職
- 勤務時間中に所長室で職場のパソコンや私物のスマホで約300回の株取引をしていた。
- 組織内で広まった情報をもとに公安庁が内部調査を行い、発覚
公安調査事務所長・停職1カ月
- 2014年12月
- 神戸公安調査事務所長(54)
- 停職1カ月の懲戒処分⇒同日付で辞職
- 公安庁によると、同事務所長は昨年1月から今月まで、所長室で公務用パソコンや私物のスマートフォンで勤務時間中に約300回にわたり株取引を行い、国家公務員法(職務専念義務、信用失墜行為の禁止)に違反した。
- 同調査局内で先月に広まった情報をもとに公安庁で内部調査していた。
税務署国税徴収官・減給10分の1(3カ月)
- 平成30年4月
- 東京都内の税務署に勤める国税徴収官
- 減給10分の1(3カ月)の懲戒処分
- 平成25年1月から平成29年8月までに、勤務時間中に計1314回、スマートフォンで証券会社のサイトにアクセスし株取引。
未公開の情報を使ったインサイダー取引は確認されず、税務申告も適切に行われていたことで多少の情状酌量の余地があった模様です。
税務署国税徴収官・減給10分の1(3カ月)
- 平成30年6月
- 千葉県内の税務署で資産課税部門に所属する男性国税調査官
- 減給10分の1(3カ月)の懲戒処分
- 平成25年1月~29年7月までに、勤務時間中(庁舎内のトイレや出張中の電車内)にスマートフォンから証券会社のサイトにアクセス、株取引や外国為替証拠金取引(FX)を計2,291回していた。
- インサイダー取引はなかった。
株式投資で懲戒処分された原因と解決策
株式投資がバレて懲戒処分された事例をまとめると、ある共通点が見つかります。
それは、勤務時間内に取引を行ったという点です。
国家公務員法や地方公務員法において、勤務時間中は職務専念義務を規定しており、法律違反なわけです。
つまり、勤務中に株取引をしなければ懲戒処分の対象ではありません。
事例がないから問題がないのではなく、法的に問題ありません。
株の取引自体は国家・地方公務員法に抵触する行為ではないからです。
勤務時間中に株取引をしてしまう理由
なぜ、懲戒処分の事例のように勤務時間中に株式投資をしてしまうのかというと、株取引ができる時間に関係があります。
株式市場の立会時間は「9時~11時30分」及び「12時30分~15時」の平日と規定されています。
そのため、一般的な公務員が勤務時間外で平日に株取引をしようと思うと、
お昼休みにあたる「12時~12時30分」のたった30分間しかありません。
そのため、事例では、勤務時間中に取引を行ってしまったのです。
携帯電話で株式投資ができる時代になったことも大きいでしょう。
ほんどの事例が借金までして株取引を行っていることから、
中毒性(いわゆるギャンブル中毒)も影響していることは確実です。
借金をして、停職処分を受けて公務員を退職した後の人生はさすがに目をつむるものがありますね(自業自得なわけですが・・・)。
>>>「公務員が懲戒免職処分を受けたその後の人生。次の再就職先は?」
株式投資がバレた理由
バレる理由は基本的に内部通報です。
勤務時間中にやっているということは、外部の人間が知る由もないこと。
(本人がプライベートで公言していれば話は別ですが)
事例のように職場の公用パソコンでアクセスするなんて、
私は勤務時間中に株取引をしていますと周りに宣言しているようなものです。
長時間離席(トイレが長い)は何度も続くようであれば怪しまれますし、
そもそも職務専念義務違反ですから、内部通報されて調査が入るのも説明がつきます。
まとめ
公務員は法律で勤務時間中の株取引は禁止されています。
勤務時間外であれば、株式投資を行うことは合法です。
バレても勤務時間外であれば、公務員が株式投資をしていること自体は法律違反ではありません。
公務員が株式投資をする場合は勤務時間外に行うことだけを守っていれば、懲戒処分されることはありません。