公務員は副業禁止でも、家族名義ならバレないから大丈夫!
という意見が散見されますが、鵜吞みにするのは、かなり危険です。
確かに、副業をバレにくくするための一つの有効な手段ではあります。
実際に家族名義で副業をしている公務員もいることでしょう。
しかし、副業がバレたときのリスクを正しく理解している人はどれほどいるでしょうか。
今回は、家族名義で副業を行うリスクについて解説します。
家族名義にすれば、バレる可能性はかなり低い
確かに、公務員が家族名義で副業をしていた場合、職場にバレることはまずありません。
家族名義での副業ということは、
実質的にはあなたが副業をしているが、家族名義の事業を無報酬で手伝っているだけで、あなた自身は無報酬
だということです。
副業に従事しても、本人が報酬を得なければ、国家・地方公務員法に違反しない可能性が高いです(厳密には報酬の有無の要素が大きいだけで無報酬だからいいというものではありません)。
>>>「公務員の副業禁止理由は法律で規定!罰則や処分はある?」
だからといって、リスクを度外視して、盲目でやっていいものでもないと考えています。
家族がいつまでも協力してくるとは限らない
家族は、いつまでもあなたの味方ではありません。
家族だって、それぞれの家庭があり、それぞれ問題を抱えているわけです。
副業を開始したタイミングでは協力的であっても、事情が変わるかもしれません。
もしかすれば、、、
- 副業で稼いだ副収入の半額をよこせ!
- 確定申告をしているのは私だから収入はすべて私のものだ!
- 副業をしていたことを職場にばらすぞ!
なんてことを言われる可能性もゼロとは言えません。
私の家族に限ってそんなことあり得ない!と思うかもしれませんが、
その家族が、あなたの知らないところで詐欺で騙されて借金を背負っているかもしれません。
家族とはいえ、お金が絡むと関係性は破綻します。
もともと仲のよい家族が、遺産相続などでドロドロになるパターンは非常に多いです。
(ちなみに、遺産相続は億単位ではもめないそうですよ。1,000万円程度の相続が一番もめるらしいです)
家族であっても借金の保証人には絶対になるな、と言われる所以でもありますね。
家族名義で副業をするということは、その家族に副収入の権限を握られているともいえますから、おすすめできません。
家族が口外してしまった日にはまわりまわってバレることになりますので、リスクはあります。
必ずバレないような言動を徹底すべきですが、家族とはいえ他人ですから、すべて制限することは非常に難しいでしょう。
そうなっても、なんで言ったんだ!なんて、協力してくれた家族には口が裂けても言えませんからね。
税務調査が入れば職場にバレる
税務調査が個人に入る確率についてはかなり低いです。
確定申告の金額にもよりますが、副業で月1万円稼ぐ程度であれば、まずありません。
しかし、いざ税務調査が入った場合、職場にバレる可能性が非常に高くなります。
家族名義であれば家族のところに調査が入りますから、なんでバレるの?と思いますよね。
所得税法には「実質所得者課税の原則」があるからです。
所得税法第12条(実質所得者課税の原則)
資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。
要は、家族名義であっても、家族が実質的に副業をしていないと判断されれば、あなたが実質的に収益を得ていたものとして修正申告を求められます。
法的には、あなたが確定申告をしなければいけないからです。
修正申告すれば、所得税額が変更⇒住民税額も変更、となり、職場に通知が届きます。
つまり、隠れて副業をしていたことがバレます。
家族は名義をあなたに貸しているだけで何も知らないということになれば、確定申告の内容については、あなた自身が説明しなければなりませんよね。
例えば、名義を90歳のおじいちゃんにしていた場合、パソコンで~という説明には少し無茶がありますよね。
わざわざ税務調査にきた税務署が、申告している家族が申告内容を説明できないのに”はい、そうですか、分かりました”と認めてはくれません。
税務調査にくるということは、それなりの証拠があってくるわけですからね。
要は、副業の「名義貸し」は脱税行為とみなされますから、職場にバレるだけでなく、何らかの懲戒処分が科される可能性は非常に高いです。
相続税や贈与税でバレる可能性もある
また、相続税や贈与税で税務調査が入る可能性も捨てきれません。
家族名義で得た収入は、その家族の口座に入るわけです。
その口座からあなたの口座へ金額がうつるわけですから、調べられれば一発でバレます。
家族名義で副業ができない場合
家族名義といっても、
- 夫、妻
- 両親
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 子供
- 親戚
など、家族という広義を辿っていけば、名義を借りようと思えばいくらでも借りられます。
しかし、家族が公務員であったり、副業が禁止されている民間企業に勤めている場合はダメです。
責任がそのまま相手にいくだけですから、本末転倒です。
夫婦仲も良い時期はいいですが、今や3人に1人が離婚する時代です。
いつ、もめる要素になってもおかしくはありません。
また、子供や超高齢の祖父母が高額の収入を得ていることには誰でも違和感がありますから、税務調査が入る可能性が高いです。
そもそも、子どもの名義を勝手に使うのは、倫理的な問題もありますし。
親戚や兄弟姉妹は、それぞれの家庭をもっているため、後でもめる可能性も高いわけです。
広がれば広がるほど、関係性は薄くなり、リスクも高くなります。
そう考えると、結局のところ、仕事を引退した両親ぐらいしか適任者はいません。
自分の責任は自分で完結すべき
副業を家族名義でするリスクと正しく向き合うべきです。
税務調査にしても、家族との関係がお金によって崩れることほど悲しいことはありません。
仕事柄、そういった場面に出くわすことも少なくはありませんし、関係が破綻してしまった家族もいます。
自分の責任を家族に負ってもらうのは気持ちがいいものではありませんし、リスクでしかありません。
「自分のケツは自分でふく」
副業をするうえで絶対に守るべきは、自分で許容できるリスクに抑えることです。