公務員の勤務自治体を特定せよ!知らないとヤバい身バレSNS投稿に注意喚起
「匿名アカウントだから大丈夫」「顔を出していないからバレない」、そう思っていませんか?実は、SNSの投稿内容や写真から公務員の勤務自治体が特定されるケースが増えています。公務員にとって身バレは、服務規律違反・懲戒処分・信用失墜につながる重大なリスクです。
この記事では、公務員がSNSで勤務地を特定される典型パターンと、安全に運用するための対策を詳しく解説します。
公務員がSNSで身バレするとなぜ危険なのか
公務員には「発言の自由」に制限があります。国家・地方公務員法では、
- 守秘義務
 - 品位保持義務
 - 政治的中立義務
 
が定められています。つまり、「どこの自治体で働く誰か」が分かると、その発言は“公的立場での発言”と受け取られかねません。
そして、一度でもバレてしまえば拡散は止められません。SNS投稿はスクリーンショットや引用拡散によって、削除しても完全には消えません(=いわゆる「デジタルタトゥー」)。「匿名」でも断片的な情報が積み重なれば、勤務先まで特定される可能性があります。
実際にSNS投稿が理由で懲戒処分された事例が増えてきてます。

公務員の勤務地が特定されるSNS投稿3パターン
自分で「○○市で働いている地方公務員です」など情報を発信すると特定されやすくなります。しかし、この情報だけで特定は不可能です。例えば、東京都庁で勤務していますと投稿しても都庁職員約17万人のうち1人を特定することはできません。
では、なぜ特定されるケースがあるのか。それは、
- 本人が特定されないと思っているものが実は特定に値する情報だった
 - 過去の投稿情報を掛け合わせると浮かび上がる
 - その人しか知り得ない情報
 
大きく分けると上記の3パターンです。
身バレパターン①本人が特定されないと思っているものが実は特定に値する情報だった
実は地方自治体ごとに勤務ルールは異なります。どこも同じだから特定されないと思っていると、それは〇〇市だけと特定されることになるので注意が必要です。例えば、
- 部署名
 - 役職名
 - 異動日、内示日
 - 特別休暇(夏季休暇など)の付与日数と種類
 - 年次休暇の付与日数
 - ボーナスの支給
 - 地域手当の%
 - 家賃補助額
 - 窓口開庁時間
 - 一般廃棄物の分別方法
 - 選挙日、選挙事務
 - 食堂など庁舎内施設
 - 福利厚生の種類
 
全く同じ地方自治体は存在しません。各自治体で何かしら違いがあります。少しマニアックなところですと、都道府県や部局課の順ですが国や政令市は局部課の順ですし、入札予定価格の事前公表や議会の議決が必要な金額なども違いがあります。
例えば、青森県弘前市のりんご課、兵庫県丹波市の恐竜課、これらは全国でも唯一の課名ですので一発で特定されます。また、埼玉県さいたま市は5月1日がさいたま市民の日ですので、今日は子どもが学校休みだ~といった投稿をすればバレます。

身バレパターン②過去の投稿情報を掛け合わせると浮かび上がる
自治体ごとに違いがある内容を投稿してもそれだけで特定はできません。有給休暇を付与するタイミングが年単位なのか年度単位なのかが分かっても1人だけを特定することは不可能です。
ただ、過去の投稿内容を掛け合わせると精度が非常に高くなります。例えば、
- 5月1日の選挙開票事務が終わった
 - 課長補佐に昇進した
 - 地域手当がある自治体で働いている
 
このような投稿から「5月1日に選挙があった、地域手当がある、課長補佐という役職がある、基礎自治体に勤務している人物」と、かなり絞ることができます。
身バレパターン③その人しか知り得ない情報
投稿を掛け合わせても決定打までにはなりません。部署名まで特定できたとしても、特定の1人を絞るには情報が足りません。
最後の最後に決定的なものは、その人しか知り得ない情報を投稿したかどうかです。例えば、写真や動画から撮影者が特定されるケース、反射した画像を拡大した際に名札の名前が見えるなどした場合です。
また、出来事の発信は要注意です。市民や議員とのやり取りに腹がって投稿してしまった場合、全く同じタイミングで全く同じやりとりをした人は相当限定されますので注意が必要です。公務員の政治的中立義務に関わる発言や、行政施策への意見表明は「個人の感想」でも職務発言とみなされるおそれがあります。
特定されなければ懲戒処分の対象ではない
裏を返せば、あなただと特定されなければ何も問題ありません。日本の法律は疑わしきは罰せずです。疑わしいだけでは懲戒処分の対象にはなりません。グレーである以上、職員のことを陥れようと”なりすまし行為”をしている可能性も否定できないからです。
公務員として情報発信する際には、時にはフェイク情報を交えるなど、SNSの投稿前に「この内容、同僚や市民が見ても問題ないか?」を念入りに確認してください。あなたのことを見ているのは市民や同僚だけではありません。家族や友人も見ています。公務員という立場を妬む人や嫉む人は多いですから、プライベートの情報発信も十分に注意してください。
