公務員の身分は保証されています。
給与も安定しています。
公務員としての社会的な背景から、自己破産ができないと思っている方も多いと思いますが、実は何の問題もありません。
公務員は自己破産しても懲戒処分にはならない
公務員が自己破産したとしても懲戒免職処分にはなりません。
減給や停職処分にもなりません。
自己破産する状況=借金があるということです。
借金苦の状況は、法律によって当然救済されるべきという考えなので、公務員を続けることは可能です。
つまり、自己破産をした場合には、懲戒免職処分を受けません。
これは、地方公務員や国家公務員でも同じです。
ただし、自己破産した場合は、一定の期間、「資格制限」を受けることになります。
国家公務員法
・成年被後見人又は被保佐人禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなる
までの者
・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
・人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第111条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張 する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者地方公務員法
・成年被後見人又は被保佐人
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
・人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第111条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張 する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
以上より、法律では何の問題もありません。
なぜ、公務員は自己破産できないというような風評が広がったのか
おそらく公務員は必要最低限度の生活、身分、給料が保証されているところにあります。
普通に生活するうえでは借金を背負う必要がない職業だからです。
給料は民間企業の平均ですし、懲戒処分を受けなければクビにはなりません。
ある意味守られた世界に生きている公務員に対し、救済手段なんて用意する必要がないとうのが民意ですし。
しかし、冷静に考えてみれば、ありえないことに気が付くはずです。
人生は自分ひとりではありません。
家を買うとなれば借金もするでしょう。
詐欺に騙されてしまったり、連帯保証人になったことで借金を返すことになった人も多いと聞きます。
その人たちに対し、何の救済措置もないというのはあり得ない話です。
ただし、自己破産の理由によっては懲戒処分を受ける可能性もある
当然のことながら、公務員の立場を利用して犯罪を行なった故の自己破産といったケースでは自己破産そのものではなく、その原因を鑑み懲戒処分を受けることはあると考えられます。
また、借金の返済過程で、市税の滞納があった場合は、公務員として最低限度の義務(債務の支払い)が果たせていないこととなりますので、これは処分の対象となる可能性があります。
税金は自己破産しても支払う義務がありますし、税法はすべての法律の頂点といわれるゆえんですね。
要は、自己破産の理由によっては懲戒処分の対象となるということですが、
客観的にみて仕方がない事実や普段の勤務態度が良好かどうかも判断基準になります。
公務員が自己破産した場合の退職金はどうなるのか
自己破産をいつすればいいのか。
これも重要なポイントです。
定年退職前にすれば、自己破産で借金がなくなり、そのあとに退職金がもらえるとすれば、完璧ですよね。
でも、そううまくはいかないようです。
1.退職金の受給が当分先の場合
例えば、40歳で自己破産する場合(退職金を受け取れるのは60歳)
退職金の支払い時期がまだまだ先の場合であっても、「現時点で退職したとするならば、どれぐらい退職金がもらえるか。」を考慮して、その退職金予定支払額のうち8分の1が資産に計上され、債権者に分配される。
つまり、現段階で公務員を退職したときに支払われるであろう退職金が前提になります。
定年退職時の額ではありません。
この金額を800万円とすれば、100万円が債権者に支払わなければならない金額になります。
しかし、免責というものが存在しています。
免責とは、自己破産したとしても最低限の生活費として所有することができる財産であり、自己破産の場合は99万円までと決められています。
普通預金口座に80万円の預金があり、他の口座には現金がない場合の自己財産については、先ほどの退職金見合いの自己財産100万円を預金に加えた180万円が自己財産となります。
自己財産が99万円以上ですから、退職金予想支払額の一部を分配する必要があります。
このことから退職金の算定額が低ければ低いほど得になります。
公務員の場合は退職金は勤続年数に比例し、その額も給料×箇月になりますから、勤続年数が少ないほど、得になります。
2.退職金の受給が直ぐの場合
退職金がもう直ぐ支払われる場合、具体的には退職が決定している場合や、定年退職まで間もない場合については、4分の1に増額されます。
退職金が受け取れる確率が上がりますからね。財産としてみなされる額がアップするのは当然です。
もう直ぐ支払われるという判断がどの時点でされるかは、最終的には裁判所の判断になります。
つまり、先の例と比べ退職金が満額になっているところに対し4分の1もっていかれるわけですから、単純に考えて退職金2000万円のうち500万円が債権者に支払われます。手元に残るのは1500万円です。
3.退職金をすでに受け取っている場合
すでに受け取っているわけですから、資産として評価されます。
つまり、2000万円もらっていても99万円以上ありますので、差額は返納する必要があります。
退職金を受給できることがわかりきっている公務員は、自己破産をする時期によって、自己財産として算定されますので注意してください。
このことからわかるように割り切ってしまえば、借金の支払い総額と上記の金額を見比べ、破産手続きを行うというのもありこのように思えます。
借金が500万円で破産手続きを行うような人はまずいません。返せる額ですからね。
しかし、額だけでいえば、借金1000万円なら自己破産をしたほうが得になるのです。
これは、あくまで金についてだけですので、自己破産をした場合のローンが組めない、クレジットカードをもてないといったような社会的信用を失うデメリットも考慮し慎重に行ってください。
弁護士に相談されるのが一番よいと思われます。
自己破産をするとばれるのか?
自己破産の場合、政府の広報誌(官報)に掲載されるとはいえ、一般の方が目にする機会はほとんどありません。
なので、通常であればあなたが破産しても誰も気づかないでしょう。
そして、個人民事再生に関しては、公にバレる方法はありません。担当する弁護士さんには守秘義務がありますので、安心です。
つまり、自己破産も個人再生も、基本的にはバレないと言えます!ただ、これは『基本的に!』という表現になります。つまり、バレる場合もあるのです。
ばれる場合もある?
共済組合の住宅貸付を借りている場合、裁判所から共済組合に取り立ては中止命令があります。
この時点で、共済組合はあなたが借金整理を行っていることがわかるのですが、共済組合には、業務遂行上知り得た情報を他の機関に漏洩することは禁止されています。
ほか、互助会(厚生会)の普通貸付を借りている場合も同様のようです。
以上のことから、職場にばれることは基本的にありません。
ただ、破産したこと(名前など)が裁判所の掲示板に発表されますので、気が付く人は気が付くでしょう。
しかし、普通に生活をしていて裁判所に出向くことはないですし、それを目当てにしている人なんていません。
ただ、ばれる可能性が高いとすれば、それは本人でしょう。次に、家族、友人になるかと思います。
ついうっかり口が滑ってしまったとか、信頼していたはずの友人が言ってしまったり理由が様々ですが、往々にして発信者は身近にいるものです。