公務員は最長で3年間の育児休暇を取得することができます。
民間企業に勤めるサラリーマンは最大で2年間ですので、
かなり有利な制度となっています。
公務員が育児休暇をとる期間中は、
- 給料
- 通勤手当
- 扶養手当
などが支給されません。
しかし、給料に代わる「育児休業手当金」が支給されます。
ただ、満額保障されるわけではなく、支給期間も原則1年間となっています。
育児休業中の給料支給について
公務員の育児休業は法律で規定されています。
- 国家公務員「国家公務員の育児休業等に関する法律」
- 地方公務員「地方公務員の育児休業等に関する法律」
公務員は雇用保険に加入できません。
そのため、公務員が育児休暇を取得した場合は、
給与の代わりに共済組合(社会保険組合)から手当金が支給されます。
これを「育児休業手当金」といいます。
(参考)民間企業に勤めている人は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
勤務先からではなく共済組合から支払われることになります。
つまり、育児休業中は、給与と育児休業手当金を同時に貰うことができません。
しかし、月給に代わる程度のお金は貰うことができます。
育児休業手当金の支給額
気になる支給額ですが、
- 育児休業開始から約半年(180日)間は、標準報酬日額の2/3(67%)
- 育児休業開始から約半年(180日)後は、標準報酬日額の1/2(50%)
と定められています。
- 標準報酬日額とは、標準報酬月額の22分の1の額のこと
- 標準報酬月額とは、支給開始開始日以前の連続した12か月間の平均報酬金額のこと
例1)月収50万円の場合
50万円×67%×(1/22)×22日=約33.5万円となります
想像以上に多く貰えた・・・と、そんなうまい話はありません。
実は、貰える額の上限値は決まっています。
- 180日目までは、月299,691円が上限額
- 181日目以降は、月223,650円が上限額
そのため、月収50万円の人は、この上限額が採用されることになります。
上限額のボーダーラインは月収45万円ですから、それ以上の人は収入が減ることになります。
しかし、月収45万円は年収にして約750万円
これは公務員の人生においてピーク(おおよそ55歳)の給与になりますから、心配する必要はありません。
例2)月収30万円の場合
少し一般的な額で計算したいと思います。
〇月収30万円の人が12か月間育児休暇を取得した場合に支給される育児休業手当金の額※厳密には上記の1/22が係数としてかかります
(30万円×67%×6か月)+(30万円×50%×6か月)=約210万円
育児休業手当金は非課税ですので、満額手取りになります。
〇月収30万円の人の年収(ボーナスを含む)
(30万円×12か月)+(30万円×4.5か月)=約500万円
ここから約3割が課税され、残りの約7割が手取りとなりますので、500×0.7=350万円
育児休業をした場合との差は140万円と考えると少し大きいように思えますが、
ボーナスの支給がほとんどないことを考えればそこまでの差はありません。
なお、育休をとる前の期間で標準報酬日額を決めますから、
同じ基本給でも、残業が多い人ほど育児休業手当は多く貰うことになります(もちろん、税金は増えますが)。
>>>「【公務員の節約術】社会保険料の負担を軽くして手取り額を増やす方法」
育児休業手当金の支給日
1ヶ月毎に支払いがある自治体と2ヶ月分をまとめて支給する自治体があります。
育児休業手当金の支給期間
公務員の育児休業手当金が貰える期間は、原則1年間ですすが、支給期間延長できるケースもあります。
- 原則、子供が1歳に達する日まで
- 配偶者が育児休業をしている場合は、1歳2か月まで
- 保育所に入所できない場合などは、1歳6か月まで
- 1歳6か月の時点で特段の事由がある場合は、2歳まで
このように基準が定められています。
原則1年ですが、それぞれの事情を加味し、最大で+1年、計2年間の支給が受けられます。
なお、子が1歳(1歳6か月)時点で下記の1.と2.のいずれかの事情がある場合等は1歳6か月(2歳)までと定められています。
- 育児休業の対象となる子の1歳の誕生日の前日までに保育所若しくは認定こども園又は家庭的保育事業等による保育の利用を希望し、申込みを行っているが1歳以降の期間について当面その実施が行われない場合。
⇒つまり、1歳までに保育園に申し込み、1歳までに入園希望だが、1歳以降に入園できないときが対象ということです。
※1歳以降の入園希望を出していた場合は対象ではありません。 - 1歳以降、子を養育する予定であった配偶者が、死亡した場合、又は負傷、疾病、離婚などの事情により子を養育することが困難になった場合。
どちらも証明書などが必要ですので、ハードルはそれなりに高いものになります。
(あまり大声ではいえませんが)あえて申込倍率が高いところに(落選しやすい条件で)申し込みをおこなうことで、落選すれば1.の条件を満たしますから+6か月延長できるというテクニックもあります。
ただ、保育園は0歳から預けられないと、入園は厳しくなります。
0歳の子が1年経てば1歳であって、1枠減りますよね?
保育園はエスカレーター式ですから、誰かが退園するか保育園自体の枠が広がるかしないと、入園したい歳の枠が都合よく空いているかといわれれば難しい問題です。
2歳以降の保育を考えたときに、もし入園できないとそこからは無給での保育となりますから、積極的にはすすめられるものではありません。
また、妻と夫の二人とも育児休業をした場合は2か月だけ延長されますが、
まだまだ男性公務員の育休取得は進んでいないようです。
>>>「男性公務員が育児休暇をとれない理由は昇給と出世スピードが原因」
公務員が育児休暇を取得できるのは最大3年間でした。
つまり、原則2年目以降は手当が支給されません。
2年目以降は、仕事復帰か無給で育休の選択をしなくてはいけません。
わかりやすくすれば、公務員の育児休業・休暇取得は、
最大3年間とってもいいけど、2年目以降は無支給なので貯金などで頑張って生活してね
という制度になります。
そのため、多くの職員は1年間で復帰することが多いわけです。
健康保険や年金はどうなる?
育児休暇中は、健康保険や年金などの社会保険料は免除されます。
- 短期掛金:健康保険の保険料に相当する掛金
- 長期掛金:厚生年金保険に相当する掛金
- 介護掛金:介護保険料に相当する掛金
健康保険は使えます。
年金も加入期間として加算されます。
つまり、育児休業期間中においてのデメリットは一切ありません。
育児休業中のボーナス支給について
公務員のボーナスとは、厳密には「勤勉手当」と「期末手当」を足したものをいいます。
育児休暇を取得している間は給料はでず、共済組合から手当金が支給されます。
では、ボーナスはどうなのでしょうか。
一見すると、ボーナスの支給時期に休んでいるとボーナスはもらえないと思ってしまいますが、実は違います。
まず、ボーナス支給の基準日は決まっています。
- 6月1日
- 12月1日
基準日というのは、この日に在職しているかどうかを判断する日のこと。
>>>「【最新】公務員の夏・冬ボーナス平均支給額と支給日について」
基準日前の6か月間に勤務している日が1日でもあるとボーナスの一部が支給されます。
ボーナスの査定期間は、
- 12月2日~6月1日
- 6月2日~12月1日
となっていますから、
- 6月2日以降に復帰⇒12月2日~6月1日の間に勤務した実績がない⇒6月のボーナスは支給されません
- 6月1日に復帰⇒12月2日~6月1日の間に1日だけ勤務した実績がある⇒6月のボーナスの数%が支給されます
つまり、たった1日の差でボーナスが支給されるかどうかが決まります。
数%としたのは、その期間の勤務日数によって支給月数が変動するためです。
例)勤勉手当
上表が一般的な支給割合を示したものです。※自治体によっては制度が異なる可能性があります。
幅はおおむね15日ですから、14日前(後)に復帰するのと1日前(後)に復帰するのとでは支給割合は同じになります。
なお、上記基準日の途中で育児休暇を取得した場合、満額のボーナスから育児休暇として休んだ期間を減額して支給されます。
ただし、ボーナスの計算期間に育休を1か月以上取っていなければ、ボーナスは減りません。
つまり、5月2日から育児休暇をとり6月1日に復帰した場合、6月1日時点で1か月以上とならないので満額ボーナスが貰えるということです。
細かいところですが、大きな金額になるので注意したいところです。
規則を知ることでちょっとした財テクになりますから、現役の公務員の方は勤務する自治体の制度をよく調べてください。
『6月1日に職場復帰するとボーナスは0に対し、6月2日に職場復帰するとボーナスが一部貰えます。』
ここの意味がよく理解できないです。
何月分のボーナスですか?
遅く復帰すると貰えるのですか?
詳しく説明いただけますでしょうか?
ご意見ありがとうございます。
修正および補足いたしました。
理解できました!
ありがとうございます。
育休手当ての延長って、最大1歳半から2歳までになったのは民間だけですか?
ご意見ありがとうございます。
申し訳ございません。私の知識不足です。
正しくは、おっしゃられている通り、最大で2歳までとなります。
記事につきましては、加筆・修正させていただきました。
5月2日に産後休暇が終わり、翌日から育休を使って6月1日にだけ有給使うことは今年の10月以降の改正により可能なんでしょうか?
育児休業中の有給休暇取得はできません。