【公務員の育児休業・休暇】期間中の給料やボーナスの支給額の計算方法を解説
公務員は最長で3年間の育児休業を取得することができます。民間企業は最大で2年間の会社が多いなか、公務員の福利厚生が手厚いとされる理由ともなる制度となっています。
公務員が育児休業をとる期間中は、
- 基本給、勤勉手当・期末手当(いわゆるボーナス)
- 地域手当、扶養手当
- 通勤手当
などは支給されませんが、給与に代わる「育児休業手当金」が支給されます。ただ、満額保障されるわけではなく、支給期間も原則1年間となっています。
育児休暇と育児休業の違い
育児休暇は育児参加のための短期の特別休暇にあたり、夏季休暇や祭事休暇と同じ枠組みです。
自治体によりますが、配偶者の出産前後(産後8週間以内など)に5日間程度付与されます。
休業ではなく休暇ですので、通常の勤務と同じく100%給与が支給されます。ボーナスや昇給へのマイナス影響はまったくありません。
育児休業中の育児休業手当金の計算方法
国家・地方公務員の育児休業は法律で規定されています。
- 国家公務員「国家公務員の育児休業等に関する法律」
- 地方公務員「地方公務員の育児休業等に関する法律」
公務員は雇用保険に加入できません。そのため、公務員が育児休暇を取得した場合は、給与の代わりに共済組合(社会保険組合)から手当金が支給されます。これを「育児休業手当金」といいます。
(参考)民間企業に勤めているサラリーマンは雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
勤務先からではなく共済組合から支払われることになります。育児休業中は、給与と育児休業手当金を同時に貰うことができません。しかし、月給に代わる程度のお金は貰うことができます。
育児休業手当金の支給額
育児休業手当金の支給額ですが、
- 育児休業開始から約半年(180日)間は、標準報酬日額の2/3(67%)
- 育児休業開始から約半年(180日)後は、標準報酬日額の1/2(50%)
と規定されています。
- 標準報酬日額とは、標準報酬月額の22分の1の額のこと
- 標準報酬月額とは、支給開始開始日以前の連続した12か月間の平均報酬金額のこと
標準報酬月額は月給ではなく通勤手当や住居手当などすべてを含んだ月収をイメージしてもらえれば十分です。育休をとる前の期間で標準報酬日額を決めますから、基本給は同じでも、残業が多い人ほど育児休業手当は多く貰うことになります(その分の税金は増えますが)。なお、育児休業手当金は非課税です。要は手取り額です。
計算例①)標準報酬月額50万円の場合
50万円×67%×(1/22)×22日=約33.5万円となります。
しかし、実は貰える額の上限値は決まっています。
- 180日目までは、月299,691円が上限額
- 181日目以降は、月223,650円が上限額
そのため、月収50万円の人は、この上限額が採用されることになり、約30万円の支給になります。支給上限から逆算すると上限額のボーダーラインは月収45万円ですから、それ以上の給料を貰っている人は収入が減ることになります。
とはいえ、月収45万円は年収にして約750万円です。子育てをする年齢を35歳程度とすれば公務員全体の上位1%もいないと思います。出世しなければほぼ最大の給与になりますから、心配する必要はありません。
計算例②)標準報酬月額30万円の場合
もう少し一般的な額、月収30万円(年収500万円)の人が12か月間育児休暇を取得した場合に支給される育児休業手当金の額を計算してみます。
(30万円×67%×1/22×22日/月×6か月)+(30万円×50%×22日/月×6か月)=約210万円
少し物足りない、少ないと感じた方も多いのではないでしょうか。実は育児休業手当金は非課税です。要は満額手取りになりますので、給料だけで比べるとそこまで差は大きくありません。
月収30万円の人の年収は約500万円です。約3割が課税され残り約7割が手取りとなりますので、500×0.7=350万円。育児休業をした場合との差は140万円と考えると少し大きいように思えますが、ボーナスの支給がないことを考えればそこまでの差はありません。
育児休業手当金の支給日
1ヶ月毎に支払いがある自治体と2ヶ月分をまとめて支給する自治体があります。
育児休業手当金の支給期間
公務員の育児休業手当金が貰える期間は、原則1年間ですが、支給期間延長できるケースもあります。
- 原則、子供が1歳に達する日まで
- 配偶者が育児休業をしている場合は、1歳2か月まで
- 保育所に入所できない場合などは、1歳6か月まで
- 1歳6か月の時点で特段の事由がある場合は、2歳まで
このように基準が定められています。原則1年ですが、それぞれの事情を加味し最大で+1年、計2年間の支給が受けられます。
なお、子が1歳(1歳6か月)時点で下記の①と②のいずれかの事情がある場合等は1歳6か月(2歳)までと定められています。
- 育児休業の対象となる子の1歳の誕生日の前日までに保育所若しくは認定こども園又は家庭的保育事業等による保育の利用を希望し、申込みを行っているが1歳以降の期間について当面その実施が行われない場合。
⇒つまり、1歳までに保育園に申し込み、1歳までに入園希望だが、1歳以降に入園できないときが対象※1歳以降の入園希望を出していた場合は対象ではありません。 - 1歳以降、子を養育する予定であった配偶者が、死亡した場合、又は負傷、疾病、離婚などの事情により子を養育することが困難になった場合。
どちらも証明書などが必要ですので、ハードルはそれなりに高いものになります。
あえて申込倍率が高いところに(落選しやすい条件で)申し込みをおこなうことで、落選すれば上記①の条件を満たしますから+6か月延長できるというテクニックがあります。不正ではないですが問題視されています。
ただし、上記のテクニックにはデメリットがあります。保育園は0歳から預けられないと、途中の入園は相当厳しくなります。0歳の子が1年経てば1歳、1歳の1枠減りますよね?保育園はエスカレーター式ですから、誰かが退園するか保育園自体の枠が広がるかしないと席が空かないんです。入園したい歳の枠が都合よく空いているかといわれれば難しい問題で、人気の保育園はほぼ無理ですし自宅から遠い保育園になる可能性も高いです。
2歳以降の保育を考えたときに、もし入園できないとそこからは無給での保育となりますから、積極的にはすすめられるものではありません。
また、妻と夫の二人とも育児休業をした場合は2か月だけ延長されますが、まだまだ男性公務員の育休取得は進んでいないようです。公務員が育児休業を取得できるのは最大3年間でした。つまり、原則2年目以降は手当が支給されません。2年目以降は、仕事復帰か無給で育休の選択をしなくてはいけません。
わかりやすくすれば、公務員の育児休業は、最大3年間とってもいいけど、2年目以降は無支給なので貯金などで頑張って生活してね、という制度になります。そのため、多くの職員は育休を取りたくても1年間で復帰することが多いわけです。
健康保険や年金はどうなる?
育児休暇中は、健康保険や年金などの社会保険料は免除されます。※所得税や住民税などは、前年の所得に対して支払う税金のため、育休期間中でも変わらず支払いが発生します。
なお、育休休業手当金は非課税のため所得税はかかりません。
- 短期掛金:健康保険の保険料に相当する掛金
- 長期掛金:厚生年金保険に相当する掛金
- 介護掛金:介護保険料に相当する掛金
健康保険は使えます。年金も加入期間として加算されます。つまり、育児休業期間中においてのデメリットは一切ありません。
育児休業中のボーナス支給について
育児休業を取得している間は給料は支給されず、共済組合から手当金が支給されます。では、ボーナスはどうなのでしょうか。公務員のボーナスとは、厳密には「勤勉手当」と「期末手当」を足したものをいいます。
ボーナスの支給時期に休んでいるとボーナスはもらえないと思ってしまいますが、厳密には違います。いつから育児休業をするのか、いつから復帰するのかによってボーナス支給額は異なります。
まず、ボーナス支給の基準日は決まっています。
- 6月1日
- 12月1日
基準日というのは、この日に在職しているかどうかを判断する日のこと。基準日前の6か月間に勤務している日が1日でもあるとボーナスの一部が支給されます。裏を返せばこの日に勤務していないとボーナス支給はありません。
ボーナスの査定期間は、
- 12月2日~6月1日
- 6月2日~12月1日
となっていますから、
- 6月2日以降に復帰 ⇒ 12月2日~6月1日の間に勤務した実績がない ⇒ 6月のボーナスは支給されません
- 6月1日に復帰 ⇒ 12月2日~6月1日の間に1日だけ勤務した実績がある ⇒ 6月のボーナスの数%が支給されます
つまり、たった1日の差でボーナスが支給されるかどうかが決まります。数%としたのは、その期間の勤務日数によって支給月数が変動するためです。
下記の表は勤勉手当の支給表です。

※自治体によっては制度が異なる可能性があります。
幅はおおむね15日ですから、14日前(後)に復帰するのと1日前(後)に復帰するのとでは支給割合は同じになります。
なお、上記基準日の途中で育児休暇を取得した場合、満額のボーナスから育児休暇として休んだ期間を減額して支給されます。例えば、6月1日から9月1日までの3か月勤務して育児休業に入った場合、期間率は50/100(50%)ですからボーナスは50%貰えます。
細かいところですが、大きな金額になるので注意したいところです。規則を知ることでちょっとした財テクになりますから、現役の公務員の方は勤務する自治体の制度をよく調べてください。
