公務員の副業は法律で禁止されていますが、ポイ活(ポイント活動)は副業にあたるのでしょうか。
結論からいえば、「ホワイトよりのグレー」となります。
ポイントをためること自体は問題ありません。
なぜなら、クレジットカードで支払ったときの代金に対するポイント付与で何かしらの処罰を受けた人はいないからです。
しかしながら、ポイントは、ポイントを使用した時点で「所得」として扱われます。
税法上の「所得」と、国・地方公務員法上の副業禁止をどう解釈するかは意見が分かれるところです。
ポイントサイトのように、何らかの役務を提供して得られるポイントは「役務提供の対価」と定義されていますから、いくら稼いでも副業にはあたらないとするのは行き過ぎた判断だと思います。
つまり、
- ポイントをためる⇒いくらためても使わなければ問題ない、完全なホワイト
- ためたポイントを使う⇒所得として扱うため、一定額を超えた場合は課税対象となるが、ポイントという概念自体が国・地方公務員法上の副業規定に違反するかはグレー
となります。
当然、年間20万円以上の雑所得は確定申告が必要ですから、確定申告をしていないことで懲戒処分される可能性はあります。
とはいえ、月1万円程度であれば、確定申告の必要がないためバレることはありません。
バレたとしても、懲戒処分の対象となるかは別の話で、ポイントを不正に取得したといったことがない限りは懲戒免職処分まではされません。
詳細を解説します。
公務員がポイ活すること自体は副業にはあたらない
公務員がポイ活をすること自体は違法ではありません。
公務員は国・地方公務員法によって副業を禁止されていますが、モノを買ってポイントをもらうことは、何も問題ありません。
100円の買い物をして1%還元、つまり1円のポイント還元を受けたとして何かしらの処分を受けた人は、日本中探してもいないはずです。
国が推奨しているマイナポイントも同様で、基本的にポイ活は副業には該当しません。
しかし、注意点があります。
ポイントは所得として扱われますから、確定申告が必要となる場合があります。
一般的なポイント還元は「一時所得」
商品等の購入で獲得できるポイントは、販売元からの「贈与」にあたります。
税法上、ポイントは「一時所得」として扱われ、賞金や賞品と同じ扱いとなります。
ただし、利用先の店舗から付与されるポイントは課税対象外です。
例えば、パン屋さんでクレジットカードをつかってパンを買ったとき、
・クレジットカードの購入代金にかかるポイント還元⇒課税対象
・パン屋さん独自のポイント還元⇒課税対象外
となります。
ポイントサイトで稼いだポイントは「雑所得」
ポイントサイトとは、アンケートに答えたり、サービスを申し込むとったことでポイントが貰えるサイトのことです。
10分程度の育児に関するアンケートに答えたら100ポイント貰えるイメージで、そこで得た100ポイントを100円としてモノが買える仕組みです。
クレジットカードの使用で発生するポイントとは異なり、ポイントサイトで得たポイントは「雑所得」扱いとなります。
ポイントサイトのように、何らかの役務を提供して得られるポイントは、「役務提供の対価」であるという根拠です。
ポイ活で確定申告が必要となるパターン
ポイ活で獲得したポイントは、貯めている限り課税対象とはなりません。
ポイントを使ったときに、所得として課税対象となります。
使用したときすべてが対象となるため、現金化はもちろんのこと、商品券や物品に交換した分も所得として扱います。
一時所得と雑所得の具体的な課税対象額について解説します。
※公務員やサラリーマンのような、給与所得者を前提とします
ケース①一時所得が年間50万円以上の場合
一時所得には、特別控除額が50万円設定されているため、50万円までは税金がかかりません。
つまり、一時所得が年間50万円を超えた場合、確定申告が必要です。
ほかの一時所得(競馬などの払戻金、生命保険の一時金)と合計した金額であることに注意が必要です。
書籍代やPC代の一部などの経費を控除しての対象額になります。
1%還元のクレジットカードで年間5,000万円以上の買い物をしなければいけませんから、基本的に確定申告が必要となる人は少ないはずです。
ケース②雑所得が年間20万円以上の場合
雑所得は年間20万円を超えると確定申告が必要です。
一時所得と同様に必要経費を差し引いて考えます。
ケース③ほかの理由で確定申告をする場合
一時所得で50万円以下でも、雑所得で20万円以下でも、ほかの理由で確定申告をする場合は、確定申告が必要です。
- 医療費控除
- 住宅ローン控除
- 給与だけで年間収入が2,000万円以上
特別職以外の公務員は、年収2,000万円以上は不可能ですから、医療費がかかったとき、住宅を購入したときは注意と覚えておきましょう。
注意点
ポイントを使用したときに課税されます。
年間20万円分のポイントを1年で使えば確定申は不要ですが、ポイントを1年間貯めて40万円分使った場合は課税対象となるので、注意が必要です。
失効期間があることからも、ポイントは1円からでもすぐに使ったほうがお得です。
公務員がポイ活で懲戒処分された事例
令和3年3月30日、大阪市健康局保健所管理課の59歳男性課長が勤務中にポイ活をしていたとして、停職3か月の懲戒処分となっています。
- 2017年10月~2020年7月、職場のパソコンからポイントが貯まるサイトに計約2,000時間アクセス
- サイトで広告を見たり、クイズに答えたりして約1万8,000ポイント(1ポイント約0.5円の還元率のため約9,000円)
- 大阪市の調査について、ポイントを還元していないと虚偽報告
このように、仕事中に業務と関係のないサイトを閲覧していることは記録に残りますから、知識の疎いベテラン職員ほどやってしまっている典型的な事例です。
>>>「勤務時間中にネットサーフィンをしている公務員へ、バレてますよ」
このコロナ禍で保健所の課長ですから、1日3時間のアクセスはおそらくサイトを閲覧していた時間でポイントを稼いでいた時間ではないしょう。
単純に割戻せば、時給4.5円・・・
勤務中にポイ活を行っていた理由を「家庭内の事情でストレスがたまっていた」と説明していることからも、副業で稼ぐという目的ではなかったように思われますが、業務をしていなかった点で懲戒処分は当然の判断だと思います。
まとめ
焦点は「ポイント」の概念、定義であり、法的に明確に整備されていないのが実情です。
そういった意味では、ブログやアフィリエイトと同じですが、ポイントは現金で受け取るわけではありませんから、少しホワイトよりになります。
公務員がポイ活をしていて、懲戒処分される可能性があるものは、
- 年間で20万円以上稼いだ(確定申告が必要なのにしていなかった)
- ポイ活を仕事中にやっていた
の2点です。
つまり、現実的に公務員がポイ活をするうえで100%懲戒処分を受けないようにする方法は、雑所得として年間20万円以下にすることです。
20万円以下であれば確定申告は不要ですから、バレる可能性は0%です。
>>>「公務員は株式投資や副業で稼いでも確定申告したらバレて懲戒処分されるの?」
仮にバレたとしても、国・地方公務員法に規定する副業禁止規定には該当しないと考えられますが、解釈の仕方によっては処分される可能性もあります。
今や、ポイ活は珍しいことではありません。
ポイントをすべてマイルに変えて、海外旅行へポイントだけでいっている人もいるくらいですからね。
ただ、月に1万円でも公務員は嫉妬をかう職業ですから、黙ってこそっとやることをオススメします。