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公務員の人事評価制度は意味がない?給与(ボーナスや昇給)に反映されても年間10万円という現実

国家公務員に人事評価制度が導入されたのは平成21年(2009年)、

地方公務員は、平成24年度時点で約35%で人事評価制度を採用していいます。

現役の地方公務員として勤務している身として感じることは、

人事評価制度ほど無意味なものはありません。

なぜなら、頑張って最高の評価を貰っても、年間で10万円程度しか年収に差がでないからです。

※国や地方自治体で人事評価の方法は異なりますので、あくまで標準的な例になります。

公務員の人事評価制度の概要

国家公務員の人事評価制度については、内閣人事局HP「国家公務員の人事評価」に詳しく記載されていますが、簡単にまとめます。

人事評価は、基本的に年1回実施されます。

公務員の人事評価は「能力評価」と「業績評価」に分かれて評価されます。

  • 能力評価とは、個人の能力や技能ではなく、その業務を遂行するにあたり発揮した力を評価するもの
  • 業績評価とは、年間目標を定め、その目標に対しての達成度を評価するもの

それぞれの評価は5段階(s,a,b,c,d)で実施⇒総合的に判断して、上から順にS,A,B,C,Dとなります。

要は、英語がペラペラであろうがなかろうが、プログラミングができようができまいが、あくまで業務遂行にあたって発揮した能力そのものを評価するということです。

この5段階評価のどれにあたるかで、給与が上がったり下がったりするわけですが、例えば、

  • 評価S:ボーナス20%アップ+昇給8/4
  • 評価A:ボーナス10%アップ+昇給6/4
  • 評価B:ボーナス5%ダウン+昇給4/4
  • 評価C:ボーナス20%ダウン+昇給2/4
  • 評価D:ボーナス50%ダウン+昇給0/4

こんなイメージです。

正直、ボーナスはその年だけのものなので、あまりうまみはありません。

ポイントは、昇給です。

公務員の基本給は、標準で年4号給あがることになっています。

1号給がだいたい1,500円程度ですから、公務員は普通に働いてさえいれば月に6,000円程度昇給することになります。

もちろん、年齢を重ねるにつれその昇給幅はせまくなり、50歳を超えると1,000円程度昇給、55歳からだと昇給なしというのが標準です。

この昇給は退職するまで影響することになりますからかなり大きく、極端にいえば、

  • 勤務12年間すべて評価B
  • 勤務6年間すべて評価S

の人とで、同じ基本給、ひいては年収になるということです。

こうみれば、公務員でも年功序列を覆せますし、若手職員のモチベーションも上がり、勤務意欲もあがりそうに見えますよね?

ただ、現実はそう簡単ではありません。

人事評価の事例

例えば、

  • 能力評価:a、業績評価:b⇒総合評価:B
  • 能力評価:b、業績評価:b⇒総合評価:B
  • 能力評価:a、業績評価:a⇒総合評価:A
  • 能力評価:s、業績評価:a⇒総合評価:A
  • 能力評価:a、業績評価:s⇒総合評価:S

といったように決定されます。

  • S:上位5%しかいない超エリート、昇格には必須
  • A:Sを除く上位15%のエリート
  • B:S,A,C,D以外の職員、ほとんどの公務員がここに該当
  • C:懲戒処分された職員
  • D:懲戒処分され、かつ誰から見てもヤバい職員

というイメージです。

ポイント2つ。

  • 普通に仕事をしていても、ボーナスはカットされる
  • 能力評価と業績評価については絶対評価だが、総合評価は相対評価

だということです。

職員のほとんどは、総合評価Bに該当します。

国の指針にも「基本的にはBとする」と規定されており、私の自治体でもBが標準です。

CやDは何かしらの問題を起こした職員ですから、割合的には、ほとんどいません。

SとAのボーナスアップ分の予算を確保しなければいけませんから、必然的にBをダウンさせるしかないため、標準でもボーナスが減る制度になっています。

また、総合評価は「相対評価」です。

事例のように、一方にaがっても総合評価でAがつくとは限りません。

1部署において何人でもaをつけることは可能ですが、総合評価でSをつけられる人数は決まっています。

そもそも全員にSをつけていては、評価制度の意味をなしませんよね。

裏を返せば、仕事ができなくても、仕事ができない人の集まりのなかで成果をあげれば評価されるということですが、その逆もしかり。

いくら自分が仕事ができようが、できる人に囲まれてはできない人と同じ評価を受けることになります。

公務員の人事評価制度の導入率

国家公務員の人事評価制度が開始され、その影響は徐々に地方公務員にもひろがり、

地方公共団体における人事評価制度の導入等について「地方公務員法等の一部を改正する法律に関する説明会」(H26.6.9)」によると、

地方自治体では平成24年度時点で約35%が導入しています。

内訳では大きく差があり、

  • 都道府県 約79%
  • 政令指定都市 約95%
  • 市区町村 約33%

となっており、自治体の規模が大きいほど導入されているようです。

地方公務員法の一部改正(平成26年5月公布、平成28年4月施行)により「能力及び実績に基づく人事管理の徹底」が規定され、「能力本位の任用制度の確立」、「人事評価制度の導入」、「分限理由の明確化」が求められることになりましたので、現在ではほとんどの自治体で導入されているはずですが、データは公表されていないようです。

なお、人事評価制度といっても、国と地方では異なりますし、地方自治体でも違います。

例えば、

  • 人事評価制度で上がるのは、基本給とボーナス
  • 人事評価制度で上がるのは、ボーナスのみ
  • 人事評価制度では標準の評価を受ければ、ボーナスはカットされない

と評価を給与に反映する方法が違います。

給与(ボーナスや昇給)に反映されても年間10万円程度

さきほどの例のように、昇給して基本給が上がる制度をとっている自治体は頑張りようがあります。

基本給が上がるということは、生涯年収に大きく影響するためです。

ただ、金額にしてみれば、給与に反映される額はしれています。

仮に一番上のS評価を貰ったとして、

基本給で年5万円+ボーナスで年10万円=約15万円が多く貰えることになります。

ただ、この15万円という額は残業時間でいえば100時間と同じです。

月に8時間の残業で、S評価者とB評価者が同じ年収になるということです。

このように、公務員の世界は、仕事ができない人ほど年収が高くなります。

なぜなら、評価されている人よりも仕事ができない人が残業したほうが残業代が貰える得だともいえるからです。

悲しいことに、係長や課長に昇格しようとすれば、最低でA評価を貰い、昇格する前年はS評価が必要です。

毎年Aでは、まず昇格できません。

出世したい人ほど、人事評価のジレンマに苦しめられることになります。

まとめ

公務員の人事評価はブラックボックスです。

正直なところ、何が評価されて、何が評価されていないのかは分かりません。

もちろん、評価が不服として、不服申し立てを行うことは可能です。

ただ、制度としては可能ですが、やっている人は聞いたことがありません。

いくら評価が不当だと思っても、それを覆せるほどの成果を証明できないからです。

営業職のように、何件契約したなど数字で具体的に示せるものがあればいいわけですが、

公務員の仕事は自分で選ぶものは少なく、割り当てられた仕事を淡々とそつなくこなすものです。

であれば、標準的な評価であるBに該当する人の給与カットには疑問です。

しかし、そうでもしないと公務員の人事評価は何も変わらないままで、頑張っても評価されないという現実が変わろうとしていることはいいことだと思います。

個人的には、まず、生活残業をしているような単価だけが高くて何もしない職員の残業申請を認めない方向にかじをきるべきだとは思いますが。

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