公務員の出世は、技術職よりも事務職が有利です。
なぜなら、
- 日本社会全体の評価が文系>理系
- ボスト(役職の数)の差が違う
- 出世を決める部署は事務職の出世コース
だからです。
もし、あなたがトップまで出世したいなら、事務職で採用されないと難しいです。
例えば、国家公務員(官僚)のトップである事務次官は、ほとんどの省庁で「事務官」(事務系)のポストとなっているため「技官」(技術系)は就けません。
実は、地方公務員も同じです。
現役の地方公務員が解説します。
係長級までの昇進スピードは事務職も技術職も同じ
一般的に行政職とは、事務職と技術職を指します。事務職を事務屋、技術職を技術屋とよんだりします。
技術職は土木・建築・機械、農業・林業などを専門とした職種であり、技能職とは全く別であることに注意してください。
(参考)技能職とは、バスの運転手やゴミ収集作業員などを指します。役所には技能職の出世ポストはありません。
課長級以上に出世や部長に出世するのは行政職になります。
入庁後の係長級までの昇進スピードは、事務職も技術職も同じです。
自治体によって様々ですが、
- 1年目⇒1級
- 3年目⇒2級
- 10年目⇒3級
といった見事な年功序列で勤続年数によって等級が上がっていきます。
もちろん、給料も同じです。
しかし、地方公務員の場合、係長級から出世の壁が立ちはだかることになります(国家公務員は係長までは自動なので課長補佐以上)。
公務員の出世は技術職より事務職が有利な3つの理由
係長級⇒課長級⇒部長級⇒局長級と出世できる人はほんの一握りです。
局長級まで出世するためには同期のなかでトップ層にいなくては話にもなりません。
しかし、トップにいたからといって出世できるとは限らないのが公務員の世界です。
国家公務員(官僚)のトップである事務次官は、「事務官」(事務系)のポストであり「技官」(技術系)はなれません。
つまり、国家公務員の場合、技術職ではどれだけ頑張ってもNo.2どまりということです。
ただし、これらのポストは東大卒が当たり前の世界であり、多くの現役公務員が思う出世はもう少し下の課長や部長といったポストではないでしょうか。
課長級や部長級なら技術職の方が有利かも?なんてあまい話はありません。
公務員は出世は事務職の方が技術職より有利です。
その理由を解説します。
1.日本社会全体の評価が文系>理系
文系、理系と一括りにすると語弊があることは承知のうえで、日本社会は文系が有利な構造になっています。
※文系が技術職採用、理系が事務職採用はどちらも可能ですので、あくまで解説のための表現です
民間企業でも、技術者や研究者は事務職より給料が低く、海外にいけば年収は2倍にも3倍にもなるほど。
中国や韓国に日本の技術者が引き抜かれている理由は間違いなく給料でしょう。
公務員も当然、同じ縮図になります。
日本は地震や台風といった自然災害によって、毎年、多くの人や財産が失われています。
復興の陣頭指揮をするのは事務職です。
災害復旧?何それ?という事務職がトップです。
海外の自治体に研修にいった人に聞いた話では、日本では技術系の部署のトップが事務職だというと必ず驚かれるそうです。
2.ボスト(役職)の数の差が違う
事務職と技術職の出世の有利不利の最大の違いは、ポスト(役職)の数です。
技術職の場合、特定の部署の異動しかありません。一方、事務職は技術職の部署にも配属されます。
特定の部署の課長や部長といったポストはあるのですが、それ以外はすべて事務職のポストとなります。
ただ、単純にポストの数が出世に影響するわけではありません。
なぜなら、そもそも採用人数が事務職の方が圧倒的に多いからです。
つまり、
- 事務職は100人が採用されてポストの数は10⇒倍率10倍
- 技術職は10人が採用されてポストの数は1⇒倍率10倍
となっているパターンがあります。
この場合、倍率だけみれば同じ10倍、一見すると同じ難易度のように思えますが、それは違います。
ポストの数が1つということは、1人でも天才がいれば出世できません。
また、そのポストに先に座られてしまうと、その人が退職するまでポストが空きませんから順番まちが発生します。
実際はポストの数は事務職のほうが圧倒的に多いため、出世倍率は低くなっています。
また、技術職はほとんどが男性です。
一方、事務職は半数以上が女性です。
女性職員の管理職登用割合を高める施策を打ち出してはいますが、まだまだ出世自体を望まない女性職員は多いため、
- 男性事務職⇒ポスト数が多く、女性事務職の出世意欲が現状のままであれば出世しやすい
- 女性事務職⇒ポスト数や施策もあり、出世を望めば出世しやすい
- 男性技術職⇒ポスト数が少ないうえに、ほぼ男性のため競争率が高く出世しにくい
- 女性技術職⇒ポスト数はかなり少ないが、そもそもの人数がかなり少ないため、施策もあり出世を望めば確率は高い
となり、女性職員の管理職登用割合を高める施策をすすめるほど技術職でも特に男性は出世が難しくなると考えられます。
3.出世を決める部署は事務職の出世コース
人事課長や人事部長や事務職の花形、出世ポストです。
技術職の評価は最終的には事務職が行うことになりますから、わざわざ自分たちの出世ポストを譲るなんてことはしません。
部署数、ポスト数、退職者数などを把握して人事評価をする部署は事務職のテリトリーです。
いくら技術職が頑張って評価されようと、事務職のポストに就くことはできません。
といいながら、技術職のポストに事務職が就くことは往々にしてあります。
まとめ
公務員の出世について、技術職よりも事務職の方が有利であることを解説しました。
もちろん、これはある一定規模以上の自治体に関係することで、規模の小さい自治体ですと、そもそも技術職採用自体をおこなっておらず、事務職が災害復旧で工事監督をしたりします。
ちなみに、財政破綻寸前で話題となった京都市の初任給は技術職の方が事務職よりも高いというかなり珍しい自治体です。京都市は他都市と比べても管理職の割合が多く、それも財政破綻寸前の理由の一つかもしれませんが、出世しやすい自治体であることは確かです。とはいえ、技術職の主要部署のトップは事務職でありポスト数が少ないため、もしかすれば、それが理由で技術職の方が基本給が高く設定しているのかもしれません。
近年、出世意欲がない若手職員が増えてきているという報道もありますが、技術職には当てはまらない気がします。技術職の場合はポストが少ないですから、優秀と言われる人たちが皆、順番待ちになってしまっている印象です。
技術職で出世を目指すなら、採用人数が多い自治体の試験を受けるべきです。採用人数が多いということは、その数に見合ったポストの数が用意されていると同義ですから、出世できる確率が高くなります。
もっといえば、大学が理系の学科であっても、事務職として公務員採用試験を受ければ問題ありません。なぜ技術職でなくて事務職で受けてるのか理由されしっかりしていれば面接でも不利にはなりません。むしろ有利かもしれません。昔から、文系に理系は無理でも、理系に文系はできるといいますから。
京都市は技術職の冷遇が酷いですねえ
建設局長が事務職なのは不当、おかしいと京都市の人事課にメールを送りまくったり、5chに書きまくったら、2021年度から京都市建設局長は土木職となりました
都市計画局長も何故かずーっと事務職ですよね
しかし、2022年度からは、国交省キャリア事務官の京都市副市長が都市計画局長ポストを事務取扱するようになりました
ホント、京都市は、神戸市や大阪市と異なり技術職の冷遇が酷いんですよ
京都市は、神戸市や大阪市と異なり、プロパー技術職の副市長は歴代でも皆無だし、公営企業管理者上下水道局長も事務職という最悪の自治体です