2024年4月8日、徳島県は林業振興課の40代男性係長を公文書の偽造および不適切な会計処理をしたとして懲戒免職処分としました。
職員は、観光政策課に在籍していた2017~2019年度、藍染めをPRする県の「阿波藍魅力発信事業」計14件について、委託契約を結ばないまま県内のイベント会社1社に業務実施させ、経費の一部を該当年度に支払わず、翌年、支払えなかった経費を、同社との別の事業に付け替えた文書を偽造して清算。計1,480万円について不適切な会計処理を行ったものです。
また、「阿波おどり空港における阿波藍魅力発信事業」については、2017年に藍染め製品や藍染め衣装を着用したマネキンを約1か月間、阿波おどり空港で展示していたが、上司に無断で委託業者に等身大人形マネキンの代わりに成人用玩具(ラブドール)を購入を購入させ、契約上その事実を隠蔽して、県に損害を与えたとして、2024年1月、住民監査請求の結果、地方自治法違反・地方財政法違反と認定されています。
監査結果は、「見積書に『マネキン・什器レンタル』名目で本件人形の購入費用が盛り込まれている契約は、裁量権を逸脱又は濫用したというべき」などとして、地方財政法などに違反すると判断しました。成人用玩具の価格39.3万円から、レンタルのマネキン人形だった場合の1.25万円を引いた額は県の損害にあたり、徳島県知事に対して事業に関わった職員の責任の程度に応じた賠償を検討するよう、結論付けました。
結果、職員は懲戒免職処分となり、徳島県は「公務員にふさわしくない」として費用の9割を職員に請求するとしています。
職員は、「「リアルな人形を使用した展示が主流になっている」といった記事をインターネットで見つけて着想を得、委託業者と一緒に大阪のショールームを訪れて業者が購入した」、「不適切な処理、1つ1つは覚えていないが、事業者からメールをいただいていて、残っているならそうなんでしょう」、「業務が多忙だったというのは言い訳にはなるが、別事業での支払いや契約手続きの遡り、ラブドールの使用など、職員として不適切な処理を深く反省している。県の信用を失墜したことを申し訳なく、深く反省しています」と認めているとのことです。
なお、男性職員の当時の上司(経済産業部 課長級)だった徳島県名古屋事務所長(男性(49))については、「令和元年度に、部下職員を指導する立場にありながら、未払金についての部下職員からの相談に対し、他団体を通じて支払うなど、公文書偽造・作成にあたる不適正な事務処理を行った。」として令和6年4月8日付で停職1か月の懲戒処分となっています。
業務量が捌ききれずに予算の都合もあり課全体で何とかしようとした結果、見つかってしまった事例です。職員も人ですから、追い込まれた状況で不正行為をしてしまうケースは他の自治体でもよくあります。
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参考:【知事部局における懲戒処分の実施について(徳島県HP)2024年4月8日】
処分年月日:令和6年4月8日
処分内容:懲戒免職
所属部局:農林水産部林業振興課
職位:係長級
年齢:46歳
性別:男性
名前:美馬達也
処分事由:平成29年度から令和元年度に実施した委託事業において、業務委託に関する契約事務手続を行わないまま委託業者に業務を実施させた。また、経費の一部について、別の業務に含めるなど、公文書偽造・作成にあたる不適正な事務処理を行った。加えて、平成29年度に実施した県事業に関する住民監査請求が行われ、地方自治法等の規定に違反すると認定された。