なぜ?公務員試験に年齢制限はおかしい?撤廃しない理由とは

公務員試験を受験しようとした際に「年齢制限」という高いハードルがあります。

なぜ公務員には年齢制限があるのでしょうか?

その理由を解説します。

公務員試験の年齢制限は憲法違反なのか?

公務員試験に年齢制限があることは、「憲法に規定されている職業の選択の自由」を制限しているのではないか?という議論がよくなされます。

一例ですが、

  • 高卒、専門卒、大卒、社会人枠など枠組みによってそれぞれ年齢の上限が決まっている
  • 大卒の社会人は高卒枠や専門卒枠で受けることは禁止されており、年齢によって、大卒枠か社会人枠で受験しけければならない
  • 高卒の社会人も年齢によって高卒枠か社会人枠で受験できるが、専門卒枠や大卒枠では受験できない

などなど、公務員試験には特有の年齢制限があります。

では、この制限が憲法違反かどうかということですが、実はそうではありません。

公務員試験の年齢制限は職業選択の自由を制限していません。

なぜなら、公務員試験はいつでも誰でも受けることができたからです。

あなたが、18歳の高校を卒業するときだって、22歳で大学を卒業するときだって、民間企業で働いて数年経った28歳のときだって、みんな権利はあったはずです。

極端に言えば、いつでも受けられた試験を受けなかったあなたが悪いのです。

誰しも20代を経験して30代になるわけです。いつだって年齢制限未満の年齢で受験することができたわけです。

民間企業も年齢制限をしている

民間企業には特段、年齢制限はなく誰でもエントリーできます。

公務員試験は真逆です。だから公務員は・・・と言いたい気持ちは分かりますが、実態はそうではありません。

民間企業には年齢制限はないとはいえ、59歳で働きたいという人がいて採用する企業はあるでしょうか?

あと1年で60歳ですから定年ですよ?

採用コストのほうが圧倒的に高いわけですよ?

つまりは、「年齢制限」を表に出しているか裏でやっているかの違いなわけです。

雇用対策法では年齢制限禁止を義務化(年齢制限を撤廃)

厚生労働省は2007年10月に、雇用対策法が改正し、年齢制限禁止を義務化しています。

つまり、年齢制限は撤廃されているわけです。

2007年以前は雇用に関する年齢制限は「努力義務」として定められていました。

今までは、義務は義務でも「努力」義務だったわけです。

企業側からすれば、同じ能力や性格であるなら年齢が若い人を雇いたいのが心情です。

そのため、企業の中には年齢だけを見て不採用という事例が多く見受けられたのです。

しかし、バブル経済の崩壊後、リーマンショックと続き、自分のせいとは言えないような社会情勢になりました。

年齢制限があると、不況で職に就けなかった人は一生就職できない事態になります。

それはまずいです。ニートやアルバイトが増える一方では日本経済は回復しませんからね。

ということであれば、現代の公務員試験には年齢制限なんてない?と思いきや、実は、今でも公務員試験には年齢制限があることが多いのです。

なぜでしょうか?

雇用対策法では、公務員の採用試験においては年齢制限を禁止していない

公務員は法律のもとで働く職業ですから、その採用にも法的な根拠があります。

  • 雇用対策法第10条 一般的な雇用において年齢制限を設けてはいけない
  • 雇用対策法第38条第2項 第10条は国家公務員及び地方公務員については適用しない

このように、法が公務員には適用しないと規定しているのです。

公務員の年齢制限について国会で審議されたことがある

公務員の年齢制限に関しては、以前に国会で審議されたことがあるようです。

公務員年齢制限に疑問を持っていた加藤議員が「国公法第27条・地公法第13条」を取り上げて、「年齢については制限がされていないではないか!」として、公務員にのみ年齢制限が存在することに対して納得しませんでした。

公務員試験の年齢制限についての最高裁判所の判決

公務員試験において、試験募集時に年齢制限をしても問題がない理由、

それは、最高裁判所が「公務員試験において年齢制限を設けることは違法ではない」と判断を下しているからです。

(1)わが国の雇用慣行を前提とすると、一定年齢以下の若年層に優先して就業機会を与えることは、社会的に是認されていて、不合理であるということはできない

(2)わが国の雇用形態に変化の兆しがあるものの若年層への優先的な就業機会が妥当性を欠くに至っていない、2001年の雇用対策法も例外指針で長期勤続キャリア形成を図る場合を認めている

人事院による年齢制限を撤廃する方向での意見表明は本件合理性の判断を左右しないとして、年齢制限を設けることは、行政側の裁量権の範囲内という判断が示された(東京地方裁判所平成16年6月18日判決、最高裁判所平成17年4月19日判決)

これにより、公務員の年齢制限を廃止することは民意で争うことは難しくなりました。(最高裁判所の判決は絶対ですから・・・)

過去に年齢制限が撤廃された事例

過去に、文部科学省などの非常勤職員募集に年齢制限がされていました。

しかし、そのことについて「合理的な理由がない」として、「年齢制限の撤廃」や「募集期間の延長」のようなことが行われました。

しかしながら、これも非常勤職員に限っての話。正規職員ではありません。

なぜ、公務員試験には年齢制限があるのか

私は、公務員という組織に答えがあると思っています。

公務員とは各年代で業務を引き継ぎながら仕事をしていく必要があります。

民間企業とは違い、癒着を考慮して定期的に異動があるからです。

そして、広く深くの知識が求められます。

また、公務というある意味特殊な世界で働くことになり、扱う法令も多岐にわたります。

そのような中では、単純に勤続年数がものをいうのです。

政治家でもそうですが、仕事を円滑に進めていくうえで、どれほど根回しがうまいか、顔が広いかということが重要です。

そのため、単純に勤続年数がものをいいます。

勤続年数により給料も変わります。退職金も変わります。

そのような体系をとっているからこそ、年齢を制限する必要があるのです。

制限しなければ均一な組織体制をとれないことはいうまでもありません。

また、公務員試験で高齢ほど受かりにくいのは不公平だという意見も聞きますが、当たり前ではないですか?

例えば、能力は同じ人だと仮定します(これはあくまで極論です)

  • 公務員の仕事も何も分からない40歳と22歳
  • 勤続可能年数はたった1年の59歳
  • 大学卒22歳と大学を出てからニートをして一念発起した職歴ゼロの29歳

能力が同じであれば、当然、若い人を採用するはずです。

そのほうが、採用側にはメリットが多いですから。

そして、年齢の増加とともに能力の有無も求められることになります。

だから、高年齢になると、それなりの能力を期待されるわけです。その求められる能力に満たない場合は、真っ白は新人を育てて染めていったほうが効率的と判断され不採用となっているわけです。

これは公務員に限ったことではなく、民間企業でも同じです。

ある程度の年齢であれば、それに見合う技能や知識がなければ転職は難しいのです。

わざわざ高年齢の無能をとる企業はありませんよ。

利益を追求する、そういう意味では公務員よりも民間企業のほうが厳しいはずです。

そして大前提に、公務員の年齢制限は差別だとまでいう人がいますが、公務員試験を受ける側に立ったことがない人が言うセリフだとつくづく感じます。

だってそうでしょう?

もしも年齢制限がないければ、受験者は全員同じ土俵で戦うことになります。

受ける側からすれば、なんで高校を卒業していきなり全日本人と闘わなければならないのか。

なぜ大卒と同じ試験内容なのか。

そんなの勝てるわけがないんです。

一定の雇用を生み出すという点では、高卒は高卒、大卒は大卒と競争を分けている公務員試験のほうが明らかに妥当でしょう。

民間企業は年齢制限を公表していないだけで、実質、採用時点では考慮しているのです。

もちろん、法的には禁止されていますから公にはしませんしできません。

公務員試験ではそれが公表されあらかじめ用意された土俵で戦う必要があるだけです。

とはいえ、公務員試験で年齢制限を撤廃した自治体もあります。

年齢制限を拡充した自治体もあります。

つまり、自治体によって、年齢制限のレベルはさまざまなわけです。

年齢制限を自治体が行うことは違法ではないと最高裁判所の判決ででている以上、争う余地はありません。

私なら、「時代にそぐわない年齢制限をしているような自治体にはいかなくていい」という精神で勤務先を考えますね。

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