2017年から開始されたプレミアムフライデーとは、いったい何だったのか・・・
一時は公務員にだけ得な制度だと批判されたこともありましたが、
私の勤務する役所では、プレミアムフライデーの「プ」の字もありません。
よもや、自治体組織として何の通知もありませんし、推奨もされていません。
というより、役所内で誰も話題に出しません。
ニュースなどでプレミアムフライデーが報道されているのをみて、
あ、そんなのあったな~程度です。
公務員の世界でもそんな立ち位置のプレミアムフライデーですが、
2022年現在の状況は一体どうなっているのでしょうか。
プレミアムフライデー(通称:プレ金)とは?
プレミアムフライデーとは、2017年2月からスタートしている
「月末の金曜日に、日常よりも少し豊かな時間を過ごす」
こともを目的に考えられたライフスタイルの変革を目指す取組です。
通称「プレ金」とよばれています。
事業の詳細は国(経済産業省)のHP「プレミアムフライデー ~月末金曜、豊かに過ごそう~」に記載されています。
要は、
毎月1回(月末の金曜日)は定時より早く仕事を終わって遊ぼうよ!
ということです。
定時退庁が17時30分のところを15時にするので、
浮いた2時間30分で街へ出かけてお買い物をしてお金を街に落としてください
というイメージです。
あくまでプレミアムフライデーとはこのような取り組みを指すものなので、
月末の金曜日や15時といった日時に限らず、独自に取り組みを実施している企業もあります。
この制度に合わせ、民間企業がお得なクーポンなどを発行したりして、個人消費につなげる取り組みを実施しています。
お得なクーポンなどは「プレミアムフライデー推進協議会事務局」から検索できます。
2020年・2021年のプレミアムフライデーはいつ?
月末の金曜日という前提で2020年のプレミアムフライデーの月日を調査しました。
- 2020年1月31日
- 2020年2月28日
- 2020年3月27日
- 2020年4月24日
- 2020年5月29日
- 2020年6月26日
- 2020年7月31日
- 2020年8月28日
- 2020年9月25日
- 2020年10月30日
- 2020年11月27日
- 2020年12月25日
月末の金曜日という前提で2021年のプレミアムフライデーの月日を調査しました。
- 2021年1月29日
- 2021年2月26日
- 2021年3月26日
- 2021年4月30日
- 2021年5月28日
- 2021年6月25日
- 2021年7月30日
- 2021年8月27日
- 2021年9月24日
- 2021年10月29日
- 2021年11月26日
- 2021年12月31日
国家・地方公務員にプレミアムフライデーは存在しない
プレミアムフライデーは、
全国的・継続的に展開するため官民が連携して取り組むものとされています。
世耕弘成 経済産業⼤⾂も積極的な姿勢をとっています。
百貨店のプレミアムサマーバザールを⾒て回り、今回の豪⾬災害被災地の特産品を購⼊しようと思います。職員の時間意識を⾼め、⽣産性向上とワークライフバランス充実の両⽅に意欲的にチャレンジします︕
ほか、大企業の社長も前向きに取り組む姿勢をアピールされています。
とはいえ、これは単なるアピールにすぎません。
プレミアムフライデーの実施率
2017年2月~2019年1月までの全17回の調査で、企業の実施率の平均値を発表。
・大企業 15%
・中小・零細企業 9.1%
という結果でした。
認知率は90%以上ともいわれているので、その差は歴然です。
さらに、こと役所に限っては、導入率は0%だといっても過言ではありません。
そもそも、公務員にプレミアムフライデーは不可能なんです。
国家・地方公務員にプレミアムフライデーが浸透しない3つの理由
なぜ役所にプレミアムフライデーが浸透しないのか、
その理由は3つあります。
住民の理解を得ることは不可能
公務員がいっせいにプレミアムフライデーを利用して早退したら、行政はストップしてしまいます。
「プレミアムフライデーなので、住民票の発行はできません!」
なんて、住民の理解を得られるはずがありません。
そんなことを言おうものなら、公務員のくせに!と批判殺到でしょう。
私も同感です。
つまり、行政組織である以上、業務に対応する人員は一定確保する必要があります。
まだ、民間企業の導入率が100%であれば理解を得られるかもしれませんが、
サラリーマンがプレミアムフライデーで役所へ手続きをしにくるかもしれませんので難しいでしょう。
有給休暇を取得する必要がある
そもそも、公務員の労働時間は決まっています。
そのため、プレミアムフライデーで早退しようとすれば、基本的には有給休暇を取得しなければいけません。
自治体によってはフレックスタイム制を導入していますが、
プレミアムフライデーのために早退する時間をどこかでカバーしなければいけません。
つまり、実質的には時間休を取得する必要があります。
そうなれば、わざわざプレミアムフライデーのために休暇を取得する意味はどこにあるのでしょうか。
自分の好きなときに休めたほうがいいに決まっています。
ましてや、誰が有給休暇をとってまで、アフター5の飲み会などに付き合うでしょうか。
もちろん、多忙すぎて、そんな月末の一番忙しいときに休みなんて取れないという部署もあります。
公務員組織自体の雰囲気が推進していない
根本的に、府省庁や地方自治体が官民連携と言いながらあまり積極的ではないと感じます。
国も、2020年現在も「推進」にとどまっています。
プレミアムフライデーを打ち出したときは、
大企業と公務員にだけ許された特権だ!
公務員だけ得をするな!サボるな!
との声もありましたが、全くそんなことはありませんので安心してください。
公務員の世界で、プレミアムフライデーは誰一人として意識していないほど形骸化しています。
国からの要請に対し、基本的には「右向け右、左向け左」の地方自治体にもかかわらず、
プレミアムフライデーについては、本当に1㎜もふれません。
本当に、何の要請も通知も一切ありません。
プレミアムフライデーの取り組み自体は失敗ではない
個人的には、プレミアムフライデーの取り組み自体には賛成です。
日本国民全員が一丸となれば、
- 労働時間を少なくできる可能性を秘めている
- 個人消費が見込まれ経済が循環する
ことはメリットです。
一方、
- プレミアムフライデーの受け皿となる職業の人からすれば当然休めるわけもない
- 時給制で働いている人からすれば半強制的に給料が減る
- 公務員組織だけでなく、民間企業のなかでも早退できる人とできない人で差別化される
などデメリットもあります。
これらは、単純に労働時間を減らしたり、代替したりすることで解決する問題ではないため、
全員が全員というのは難しい問題です。
しかし、どんどん新しい手を打たなければ、日本経済は発展しませんし、
日本の労働者の労働条件(状況)も変わりません。
形骸化しているという点においては失敗だと批判されるのも否めませんが、
個人的には、こういった制度を導入すること自体は失敗だったとは思いません。