公務員のSNS利用は仕事中や収入を得ることは当然に法により禁止されていますが、プライベートの利用については特段制限はありません。しかし、公務員はプライベートでもSNSの使用方法には注意を払ったほうがいいです。信用失墜行為とみなされれば懲戒処分の対象となるからです。
最近では、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」や各地方自治体でもSNS利用のガイドラインが作成されるなど国や地方自治体も職員に注意喚起していますが、SNSの投稿によって懲戒処分される事例が後を絶ちません。
仕事と関係ない、どうせ特定できない、と思っていてもバレます。
公務員がSNS投稿で注意すべきこと
職務でのSNS利用は禁止されていませんが、職務によらないSNSの投稿は絶対にダメです。合間のちょっとした休憩時間や会議の移動時間など関係なく、あくまで勤務時間中の投稿は内容がどのようなものであれNGです。一発アウトで懲戒処分の対象です。
また、プライベートでは禁止されていませんが、職務でしか知り得ない情報や特定の市民を批判するような投稿は懲戒処分の対象となるので注意が必要です。
当然ですが、SNSで利益収入を得ることは副業にあたりますので、懲戒処分の対象となります。
公務員がSNS投稿によって懲戒処分された事例を解説
SNS投稿によって懲戒処分された事例を紹介します。プライベートでも
「国家公務員が職務上知ることのできた情報をSNS上に公開することに関する質問に対する答弁書」によれば、一般に、職員が職務上知り得た情報をSNSに公開した場合、当該職務上知り得た情報が国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」に該当するときは、同項の規定に違反するおそれがあるとし、「秘密」に該当するかどうかは事案に即して個別具体的に判断すべきものとしています。※「秘密」とは一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの
つまりは、ケースバイケースで懲戒処分などは判断するということです。
市民をやゆするような投稿
- 2023年3月
- 秋田県北秋田市の市民生活部の男性職員(40代)
- 戒告処分(当時の上司の部長など3人は厳重注意の処分)
- 2021年12月頃、「医療が受けられないことを行政のせいにする暇があったら仕事をして納税したほうがいい」といった市民をやゆするような内容をツイッターに投稿
- 市民からの情報提供で書き込みが発覚
この投稿だけでは特定されない気もしますが、本人を特定できる要素があったんでしょう。本人は「SNS上でのやりとりがエスカレートしてしまった」と事実を認めているようです。
不適切な投稿
- 2023年8月7日
- 徳島県教育委員会の市町村立中学校・教諭等・30代
- 戒告
- 不適切な投稿をSNSに行った
詳細な投稿内容まで特定できませんでしたが、信用失墜行為として懲戒処分されています。
病気休暇中に投稿
そもそもSNS投稿以前に問題がある事例です。
- 2023年7月25日
- 大阪府四條畷市の市民課の女性職員(26)
- 停職2カ月
- 2022年12月~2023年1月にロリータファッションやコスプレなどで複数のイベントに参加した様子や自身の入れ墨や顔写真、「忘年会に行って二日酔い」などとツイッターに投稿
- 「SNSで市職員がイベントに参加した様子をアップしている」などと匿名の通報で発覚
このケースでは医師の診断書を提出の上で2022年11月から現在まで病気休暇などを取得していたようで、休職中(病気療養中で回復に努める義務がある)での行為が信用失墜行為にあたると判断されての懲戒処分となったようです。なお、本人も事実を認めています。
病気の理由が分かりませんが、行動ができているということは身体というより心の病気であった可能性が高く、行き過ぎた行動だと判断されたのでしょう。休職中だからといって外出が禁止されているわけではありません。
>>「公務員は休職中に旅行したら懲戒処分です【休職期間の過ごし方は重要】」
ただ、度を超えるとアウトということです。
停職期間中に投稿
停職期間中でのSNS投稿で処分が重たくなったものです。
- 2016年5月2日
- 岐阜県池田町の住民課の女性主事(30)
- 懲戒免職
- 停職処分中に旅行の写真をSNSに複数回投稿
この女性主事は勤務時間外に名古屋市で接客の仕事をしており、約300万円の報酬を得たとして、2015年11月、停職6カ月の懲戒処分を受けていました。この停職処分直後に、自身のフェイスブックに旅行先で食べたカニの写真を投稿。
それに対し、住民から町に「停職中なのに不謹慎」と批判が寄せられ、上司が「停職中は投稿しないように」と注意。しかしその後3月にも、旅行先の奈良県で食事した時の様子をフェイスブックに投稿。
停職中だとはいえ、プライベートな行為が禁止されているわけではありません。あくまで停職処分は懲罰として職務に従事させず、その間の給与を支給しないという制裁にとどまるからです。国や自治体が職員に対して、勤務時間外のプライベート上の行為を禁止する法的な権限があるとは言えません。停職中にSNS投稿をしないようにと言われたからといって、指示にしたがわなくなって、懲戒免職処分は少し重たいという印象です。
ただ、正直、ここまでやるのは常識の外、常軌を逸していますから本人も退職するつもりだったのかもしれませんね。
まとめ
「現役の公務員はプライベートにまで言動制限があるの?」にも解説していますが、公務員は他の職業よりも普段からの言動に気を付けて生活する必要があります。それはSNSの利用でも同様です。
言いたいことがあるにせよ、嫌いな上司、先輩、同僚がいても、絶対に特定されないような内容での投稿は避けてください。カッとなっての投稿は危険です。知事、市長、議員という立場にある人もSNSに不適切な投稿をして謝罪していますからね。
今のところ、自分の勤務する自治体を批判して懲戒処分された事例はないようですが、いち個人を特定して誹謗中傷したと判断されるような内容だと懲戒処分される可能性もありますので、言い過ぎには注意してください。
それだとSNSの良さが失われる側面もありますが、公務員という職業である以上、一定の責任を伴うものです。