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なぜ公務員の人気が低下?不人気な職種になった理由を現役職員が解説

jitchan

公務員はクビにもならず安定して給与が貰える。コロナ禍の影響は民間企業の業績悪化を如実にし、サラリーマンは不安定という現実を再認識をした人は多いと思います。結果、公務員人気は高まるものだと思われましたが、むしろ逆。公務員試験の倍率は年々低下し、公務員離れが加速しています。教職員や技術職は顕著で募集人員を確保できていない自治体も多いです。

なぜ公務員の人気が低迷しているのか、10年以上公務員として働いている私が現実を伝えたいと思います。

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国家公務員試験の申込者数が4年連続で低下

2024年度の国家公務員一般職(大卒程度)試験の申込者は24,240人、合格者数は7,557人、申込倍率は3.2倍となり、過去最低を記録しています(合格者に占める女性の割合は43%で過去最高)。

申込者数にいたっては2020年度28,521人(2019年度比4.6%減)から4,000人以上も減っています(2023年度比7.9%減)。現行試験が始まった2012年度以降で最も少ない人数です。とくに技術職は9試験区分のうち5つで合格者が採用予定人数に届いていません(2023年度は3つ)。

一般職(大卒程度)の数値ではありますが、総合職(大学院修了・大卒程度)や専門職(大卒程度も同じ傾向です。国家公務員の人気は年々落ちています。過去最高は1996年の国家公務員採用試験の総合職の申し込み者数で45,254人なので20年間で半減したともいえます。

国家公務員の5.5%が「数年以内に辞めたい」と思っている

2020年6月20日に公表された「国家公務員の働き方の改善状況に関するアンケート」の調査結果によると、回答者の5.5%が「数年以内に辞めたい」と考えているようです。

5.5%と聞くとあまり多くはないように思えますが、数年以内に辞職の意向がある(すでに辞める準備中+1年以内に辞めたい+3年程度のうちに辞めたい)職員は30歳未満が最も高く、男女を合わせると13.1%にもなります。

全体の59.3%が「定年まで継続して勤めたい」と答えており、裏を返せば約4割の職員が定年までは勤めたくないと思っていることになります。

公務員になった若手職員ほど退職したいと考えている傾向がみえ、国家公務員試験の申込者数が過去最低の記録を更新し続けているのも納得です。

国家公務員を辞めたい理由

2020年6月20日に内閣人事局が公表した「国家公務員の働き方の改善状況に関するアンケート」の調査結果で分かった国家公務員を退職したい主な理由は下記のとおりです。

  • 長時間労働で仕事と家庭の両立が難しい
  • もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい

とくに仕事と家庭の両立については、引っ越し費用や子どもの就学・受験、赴任後の経済負担の大きさなどを理由に、キャリア(職業上の経験)としての転勤を「経験したくない」と答えた職員は63.5%にものぼっています。

働き方にも不満はあるようで、

  • 非効率・不要な業務が多い
  • 国会を含む予定外の仕事が突発的に発生する

公務員の働き方改革が進んでいないことが明らかになっています。

アンケート調査は2019年11~12月、各府省などに勤務する約3割の職員を無作為抽出して行い、約4万5千人が回答。回答者の73・3%に転勤経験があり、4割近くがこれまでに5回以上の転勤を経験。転勤時に期待する配慮(複数回答)では、「早期段階での意向確認」が約7割と最も多く、「早期の内示」と「引っ越し費用の経済的な負担の軽減」が約6割で続いた。

令和4年度の調査でも同じような傾向が見られます。参考「令和4年度働き方改革職員アンケート結果について(内閣人事局)

公務員が人気のない職種になった原因と理由

国家公務員の人気低迷について解説しましたが、地方公務員においても同じ状況になっており、むしろ地方自治体のほうが危機的状況です。東京都庁ですら令和6年度のⅠ類B採用(行政・新方式)の倍率は1.5倍程度と圧倒的に人気がありません。

公務員離れが加速している理由について解説します。

原因その①少子化

まず社会的な背景である少子化が考えられます。単純に公務員試験を受ける母数が減少しているということです。採用人数が同程度であれば、倍率が低下するのは必然のことです。

しかし、公務員試験は基本的に誰でも受けることができます。地方自治体によって年齢制限はあるものの、受験する枠が変わるだけで、概ね40歳までは受験可能です。大卒22歳から30歳までと考えても8年間あるわけで、相関関係はあるにせよ因果関係とまでいえるかは難しいところです。

原因その②技術職の公務員離れ

近年の公務員試験は、一般職の減少よりも技術職の減少が目立っています。公務員試験は事務職に比べて技術職の採用は少ないですが、自然災害やインフラ(道路や上下水などの管理)整備を主とする土木職や、建築物の維持管理や許認可を主とする建築職、以外の機械、電気、化学などの技術職はほとんど採用がありません。規模が小さな自治体(人口が5万人未満)であれば技術職の採用はそもそもなく、すべて事務職で担っているところあるくらいです。

技術の分野は専門的な知識が要求され、技術力をつければステップアップの転職も可能な世界です。自分の能力に応じて年収を上げることも可能です。しかし、公務員は別です。技術職であっても年功序列で能力は関係ありません。技術士や一級建築士の資格をもっていても、給与には反映されませんし出世にも反映されません。むしろ事務職のほうが出世スピードは速いです。

土木・建設業界はある意味バブルのような状態で、人材不足や資材の不足に加え円安もあり施工単価が高騰しています。となれば、技術者は民間企業に勤めたほうが明らかにメリットが多い時代になっています。

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民間企業から公務員へ転職することは比較的容易なため、まずは民間企業で働いていみるという選択肢は往々にしてありです。技術系の人材が民間に流れたことが影響したことは間違いありません。

原因その③公務員はブラックだと世間が認識した

少子化、技術職の流出、確かに原因の一端ではありますが、それほどの割合を占めるとは言い難いです。公務員の職種が魅力であれば採用倍率が下がっている今は逆にチャンスです。昔は採用倍率10倍以上だったものが今や2倍、民間企業からの転職も容易な時代です。

正直、公務員が敬遠されている理由は、ブラック企業よりもブラックだということが世間に知られてしまったことだと考えています。

みなさんはコロナ禍の対応で亡くなった職員を覚えていますか?感染が理由ではありません。公務中の自殺です。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国・武漢市から帰国した日本人が滞在する埼玉県和光市の国立保健医療科学院で、帰国者の受け入れ業務を担当していた内閣官房職員(警視庁から内閣官房に出向)の男性(37)が2020年2月1日に死亡した、と県警が明らかにした。建物から飛び降りた可能性が高いとみて調べている。遺書は見つかっていない。1月31日から施設に泊まり込み、過酷な勤務状況が続き、帰国者のメンタルも限界に。怒号が飛び交い、恐怖さえ感じる現場だったという。

結局、政府も世間も今となっては誰も触れませんし話題にもしていません。森友・加計学園の公文書改竄(かいざん)問題で財務局の職員が自ら命を絶っています。公務員がうつ病や自ら命を絶っている事例は多いです。

それでも公務員に対する世間の認識は、本人の努力不足、安定で楽で簡単な仕事しかしていない、誰でもなれる、そんなイメージが先行し、うつ病は本人のあまえだと揶揄され、公務員という仕事をメディアも含め卑下してきました。

しかし、そのイメージもここにきて変わってきています。公務員という職業のつらさに若者が気が付きだしたためです。

  • 公務員の給料は低いし手当なんてない
  • 勤務する環境は悪く、未だに出退勤はハンコ
  • 何かあればすぐ公務員が批判され疲弊
  • 要望や苦情(仕事)は増えるが人員はカット
  • サービス残業当たり前、午前様も当たり前
  • 何もしない歳だけいっている人のカバーはすべて若手職員

あげればキリがありませんが、コロナ禍で明らかになったことは、公務員の仕事は国民のサンドバッグだということです。最前線で戦っている保健所では月の残業時間が200時間を超え、休みはありませんでした。それでも、毎日毎日、苦情、苦情、苦情。疲弊し休職する職員もでましたが、人員の補填はされないため、カバーするのは同じ職員になります。

年間360時間以上の残業は、民間では36協定を超える違法であり、過労死ラインの目安とされる720時間を超えて勤務する国家公務員が全体の8%もいます。その中には未申告、過少申告も含まれていますし、何が一番怖いかと言えば、国が堂々と36協定を超える違法をしていると宣言していることです。

国家公務員のサービス残業が問題視され、改革された今でもサービス残業をしている職員は多いです。働き方改革なんてうたっても現実はこの通り。公務員のうまみがあった時代を生きた人は、今の現状を伝えても嘘だとしか思わないだろう。しかし、今の若者は賢い。公務員はブラックだということに気が付きだしてしまった今、この流れは変えられない。

現役の公務員が辞めていく悪循環

公務員試験の倍率が下がるということは、それだけ優秀な職員が確保できないということです。それは、まわりまわって、国や地方自治体の運営自体が傾く可能性を示唆しています。

国家公務員(総合職)の自己都合による退職者数は、20代に限定すれば、2013年度に21人だったものが2019年度には87人と年々増価傾向にあります。

民間企業と比べればという話はいつも付きまといますが、優秀な職員が入ってこないとカバーするのは現役の公務員の負担は増すばかりです。

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このまま公務員試験の倍率が下がれば下がるほど、現役の公務員の負担の割合は増えます。ただでさえ、ギリギリのところで耐えている職員のさらなる離職を加速させ、雪崩式に組織が崩れる可能性も秘めています。

しかし、影響がでるのは何十年も先のことです。国民はそんなことはこれっぽちも気にしていません。公務員を批判してさえいれば議員が当選した2010年頃より幾分かはマシですがそのつけはいつか払うことになります。

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現役の地方公務員
とある地方自治体の行政職として10年以上働いています。FIREを目指して活動中。
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