公務員の将来性について、「暗い」「未来がない」と言っている人たちの主な主張は、
- 公務員の仕事はAIにとって代わられる
- 人口減少社会において公務員の給与は減らされる
の2点です。
しかし、現役の地方公務員として、そうは思いません。
なぜなら、
- AIがどれだけ発達しようとも使う側は人である
- 給与は民間の平均なので、相対的には現状維持
だからです。
それよりも、「仕事量は増え続けるが職員は増えず待遇も上がらない」ことが問題で、
今の20代~30代の若手・中堅職員には、不遇な未来がまっています。
上の世代は定年延長や再雇用で辞めないうえに、新規採用職員は減らされるため、そのしわ寄せが中間の世代にきています。
正直、暗い未来しか待っていません。
AIが公務員の仕事を奪うことはない
「人工知能(AI)の現状と未来 – 総務省」によると、
人工知能(AI)の研究は1950年代から続いているようです。
70年前から進められてきた技術革新について、
- そもそも、AIって何?
- AIにはどんなことができて、どんなことができないの?
と、私を含めて思う人は多いはずで、明確に答えられる人はそういないでしょう。
なんとなく”すごいことができそう”という人は多いはずです。
しかし、ここで私が伝えたいことは、AIができる仕事やその仕組みではありません。
どれだけ技術が発展しようと、どれだけ便利になろうと、それを扱うのもまた”人”であるということです。
具体的に、公務員の仕事に落としこんでみましょう。
自治体にもよりますが、住民票の発行は今やコンビニでできるわけです。
しかし、住民票の発行のために役所にくる住民は毎日絶えません。
- コンビニで発行できると知らなかった
- 知ってはいたがやり方が分からない
- めんどくさい
- 税金を払っているんだから自分でやる意味が分からない
- なんとなく怖い
といった理由で、みんな役所にくるわけです。
コンビニで発行できるシステムはAIを使っているものでありません。
別にAIといったなんとなくすごそうと思っている技術に頼らなくても、既に環境は整っているわけです。
どれだけ技術が進歩しようと、それを使う側の住民が使えないと、教えたり手続きをする公務員の仕事は減らないということです。
個人的には、技術の革新によって、公務員の仕事は増えると思っています。
>>>「【公務員不要論】古い体質で時代遅れでもAI化でリストラの可能性はない理由」
なぜなら、AIを扱う側は公務員であり、技術革新についていけない人を相手にするのも公務員の仕事だからです。
今や当たり前になったスマホも高齢者はまともに扱えません。
しかし、スマホが便利だという世代に対応するためデジタル化は進みます。
その両方に対応しなければならないのが公務員ですから、AIで減るというよりは、公務員を叩く世論によって減らされることが現実的だと思います。
人口減少社会は公務員格差を生み出す
日本は、超少子高齢化社会です。
2065年頃には日本の人口が1億人をきることは確実視されています。
早ければ2050年、あと30年後とも言われています。
労働人口の減少は経済の縮小を意味しますから、民間企業の業績が悪化⇒公務員の給与も減少
という未来はそう遠くありません。
しかし、現在の人口動態統計をみると、都市部に人が集中し、
北海道、東京、名古屋、大阪、福岡の経済圏を中心としてこの傾向が今後も続いていくことは確実です。
つまり、
- 地方部の地方公務員⇒不安定
- 都市部の地方公務員⇒安定
ともいえます。
地方の自治体は、北海道夕張市のように財政再建団体に転落し、リストラや給与カットなどの可能性は高くなりますから、
>>>「公務員は将来リストラの可能性はある?仕事ができない人はクビ?」
同じ地方公務員でも安定性は全然違います。
このように、今後は地方公務員といえど、勤める自治体によって格差は広がっていくことは確実です。
公務員の若手世代が不遇な理由
今から公務員になるのはあまり得策ではありません。
なぜなら、若手職員の負担は異常なほど重たく、これからも軽くなることはないからです。
今ですら、働かないベテランをカバーしているのが若手なわけですが、それに拍車をかけるのが「定年延長」と「再雇用制度」。
本音をいえば、使えない職員をさら雇用する最悪の制度だといえます。
>>>「公務員の定年延長【早見表】何年生まれから退職金や給料が段階的に減るの?」
>>>「現役の公務員が誰一人賛成していない再任用制度の問題点」
60歳で定年退職してくれていた人たちが、
定年延長で+5歳、再雇用制度で+5歳、結果的に+10年も居座ることになります。
これらの制度の最大の問題点は、管理職に居座るということです。
これらの制度には、役職落ちがなく(あっても1階級下がる程度)、
部長⇒課長、課長⇒係長、といった降級はあれど、部長⇒担当という降級はありません。
つまり、管理職の席が空かないわけです。
管理職のポストが空かないということは、多くの若手の優秀な職員が出世できないことになります。
公務員のなかでも、一番コストパフォーマンスが悪い「係長級」から上がれない職員は増えることでしょう。
要は、今後、公務員になり出世することで得られる権限や年収アップは見込めません。
少なくとも、氷河期世代(失われた世代)1970年~1983年とよばれる現在38歳~51歳の層より上の層が役所からいなくならなれければ不可能です。
公務員の出世は、仕事ができるかよりも、そこに席が空いているかが重要な要素ですからね。
裏を返せば、それまで粘れれば一気に出世できることになりますが、あと20年も待てますか?
また、
公務員の数を減らす政策を多くとってきたことで、災害時などで対応ができなくなってきています。
新型コロナだけでなく、日本は地震や台風といった自然災害によっておおくの人財が失われています。
台風で河川が氾濫して街が~といった大惨事を復旧するのも公務員の仕事です。
しかし、今、その人が圧倒的に足りていません。
これは、仕事をしていて実際に感じることでもあります。
つまり、若手職員の多くには、
- 財政縮減で採用数は減少
- 使えない職員も管理職として在席
- 出世ができないことで待遇は良くならない
という、あまり明るくない未来がまっています。
公務員はクビにならないということはメリットではない
「公務員はクビにならないからいいよね~」と嫌味を言われることも少なくありませんが、頑張って仕事をしている職員からすれば実はメリットではありません。
なぜなら、「クビにならない=クビにできない」ということは、どんな職員でも雇い続けなければいけないということです。
全く仕事ができない、そもそも仕事をしようともしない、生活残業ばかりする、パワハラ野郎、セクハラ野郎もみんな雇用する必要があります。
そのカバーは真面目に働いている職員がしなければいけません。
まとめ
公務員の将来性についてまとめると、
- 仕事量は増加の一途
- 公務員間の格差は確実に生まれる
- 出世して待遇を上げるのはかなり難しい
ということになります。
公務員の将来性については、
- 給与が安定して貰える⇒「将来性あり」
- 給与が減少していく⇒「将来性なし」
- 地方部の地方公務員⇒「将来性なし」
- 都市部の地方公務員⇒「将来性あり」
- 待遇アップ(この先20年)⇒「将来性なし」
- 待遇アップ(20年後)⇒「将来性あり」
このように、どこの軸をどう切り取るかにとって将来性は変化します。
つまり、これからは、公務員も自治体を選んでいかなければならい時代になったということです。
>>>「公務員も選ばれる時代?若手の公務員が辞めていく国や地方自治体は衰退確実!」