公務員は景気に左右されず、クビにもならず安定して給与が貰える
世間のイメージが具現化したのは奇しくも新型コロナのせいではないだろうか
新型コロナの影響は民間企業の業績悪化を如実にし、サラリーマンは不安定という現実を再認識をした人は多いだろう
その結果、やはり、公務員人気は高まるものだと思われた
・・・が、現実はそうならなかった
公務員試験の倍率は低下し、公務員離れが加速した
そう、、、みんな気が付いてしまったのだ
国家公務員試験の申込者数が4年連続で低下
国家公務員採用試験は4年連続の減少となった
2020年度の国家公務員採用試験
- 総合職(大学院修了・大卒程度)の申込者数は、1万6,730人(前年度比3.3%減)
- 一般職(大卒程度)の申込者数は、2万8,521人(前年度比4.6%減)
- 専門職(大卒程度)の申込者数は、財務専門官が2,796人(5.6%減)、食品衛生監視員は351人(17.8%減)
ちなみに、女性の申込者数は総合職は6,373人、一般職は1万1,035人と前年度より減ったものの
一般職では全体の38.7%を占めるなど、女性の割合は過去最高を更新している。
この結果は、国家公務員の人気が落ちている証拠だ。
中央省庁の幹部候補となる、いわゆる「キャリア」である総合職までもが低下していることは驚きだが、
相対的にみるとそこまで低下していなともとれる
ちなみに、過去最高は1996年の国家公務員採用試験の総合職の申し込み者数で45,254人
そう考えると、かなりの減少数だといえる。
国家公務員の5.5%が「数年以内に辞めたい」と思っている
2020年6月20日に公表された「国家公務員の働き方の改善状況に関するアンケート」
の調査結果によると、回答者の5.5%が「数年以内に辞めたい」と考えている。
5.5%と聞くとあまり多くはないように思えるが、
(すでに辞める準備中+一年以内に辞めたい+3年程度のうちに辞めたい)数年以内に辞職の意向がある職員は30歳未満が最も高く、
男女を合わせると13.1%にものぼった。
つまり、公務員になった若手職員ほど退職したいと考えている傾向がみえ、
国家公務員試験の申込者数が4年連続で減少しているのもうなづける。
また、全体の59.3%が「定年まで継続して勤めたい」と答えており、
約4割の職員が定年までは勤めたくないと思っている。
公務員を辞めたい理由
2020年6月20日に内閣人事局が公表した「国家公務員の働き方の改善状況に関するアンケート」の調査結果によると、
- 長時間労働で仕事と家庭の両立が難しい
- 仕事と家庭の両立が難しい
- もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい
などが、公務員を退職したい主な理由だ。
とくに、仕事と家庭の両立については、
キャリア(職業上の経験)としての転勤を「経験したくない」と答えた職員は63.5%にものぼった。
理由には、引っ越し費用や子どもの就学・受験、赴任後の経済負担の大きさなどがあがっている。
また、働き方に不満もあるようで、
- 非効率・不要な業務が多い
- 国会を含む予定外の仕事が突発的に発生する
と、公務員の働き方改革が進んでいないことが明らかになった。
調査は昨年11~12月、各府省などに勤務する約3割の職員を無作為抽出して行い、約4万5千人が回答した。
回答者の73・3%に転勤経験があり、4割近くがこれまでに5回以上の転勤を経験。転勤時に期待する配慮(複数回答)では、「早期段階での意向確認」が約7割と最も多く、「早期の内示」と「引っ越し費用の経済的な負担の軽減」が約6割で続いた。
公務員が人気がない職種になった原因と理由
では、なぜ公務員離れが加速しているのか。
原因その①少子化
まず、社会的な背景である少子化が考えられる。
ことは単純で、公務員試験を受ける母数の減少だ。
採用人数が同程度であれば、倍率が低下するのは必然のこと。
しかし、これは国民全員が公務員試験を受けるなら成り立つ話。
民間企業に流れていないとの根拠にはならない。
また、4年連続で低下という事実をみても根拠としては難しい。
なぜなら、公務員試験は基本的に誰でも受けることができる。
自治体によって年齢制限はあるものの、
受験する枠が変わるだけで、概ね40歳までは受験可能だ。
一般的に22歳から30歳までと考えても、8年間あるわけだから、
少子化になったことで公務員試験の申込者数が減少したとは言い難い。
原因その②技術職の公務員離れ
2020年度の国家公務員試験の結果は、
一般職の減少よりも技術職の現象が目立っている。
そもそも、公務員試験において事務職に比べて技術職の採用はどこも少ない。
自然災害やインフラ(道路や河川などの管理)整備を主とする土木職や、
建築物の維持管理や許認可を主とする建築職、
以外の機械、電気、化学などの技術職はほとんど採用がない。
規模が小さな自治体(人口が5万人未満)であれば、技術職の採用はそもそもなく、
すべて事務職で担っているところある。
あっても、数年に1人しかとらない、そんなレベルだ。
技術の分野は専門的な知識が要求され、
技術力をつければ、ステップアップの転職も可能な世界だ。
自分の能力に応じて年収を上げることも可能になる。
しかし、公務員は別。
技術職であっても年功序列。
能力は関係ない。
技術士や一級建築士の資格をもっていても、給与には反映されないし、
出世にも反映されない。
ましてや、今は東京オリンピックや大阪万博を控え、土木・建設業界はある意味バブルのような状態だ。
人材不足や資材の不足などが原因で単価が高騰している。
であれば、技術者は民間企業に勤めたほうが明らかにメリットが多い。
>>>「【公務員vs民間】どっちがいいかと迷う就活学生へ、悩むなら民間優先」
民間企業から公務員へ転職することは比較的容易なため、
まず、民間企業で働いていみるという選択肢は往々にしてありだ。
技術系の人材が民間に流れたのが影響したことは間違いない。
原因その③公務員はブラックだと世間が認識した
少子化、技術職の流出、確かに原因の一端ではある。
しかし、それほどの割合を占めるとは言い難い。
正直、公務員が敬遠された理由は、「ブラック」企業よりもブラックということが、
世間に知られてしまったことだと考えている。
それは、ある意味で、新型コロナの功績ともいえるかもしれない。
新型コロナの対応で亡くなった職員を知っているだろうか。
感染者が理由ではない。
なにも亡くなるのは感染者だけではない。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国・武漢市から帰国した日本人が滞在する埼玉県和光市の国立保健医療科学院で、
帰国者の受け入れ業務を担当していた内閣官房職員(警視庁から内閣官房に出向)の男性(37)が2020年2月1日に死亡した、と県警が明らかにした。
建物から飛び降りた可能性が高いとみて調べている。遺書は見つかっていない。
1月31日から施設に泊まり込み、過酷な勤務状況が続き、帰国者のメンタルも限界に。
怒号が飛び交い、恐怖さえ感じる現場だったという。
結局、政府も世間も今となっては誰も触れない。
話題にもしない。
これまで、森友・加計学園の公文書改竄(かいざん)問題で財務局の職員が自ら命をたったことなど、
公務員がうつ病や自ら命をたったことは多い。
それでも、これまでの世間の認識は、本人の努力不足であった。
公務員は安定で楽で簡単な仕事しかしていない。
公務員には誰でもなれる。
そんなイメージが先行し、うつ病は本人のあまえだと揶揄され、
公務員という仕事をメディアも含め卑下してきた。
しかし、そのイメージもここにきて変わってきた。
公務員という職業のつらさに若者が気が付きだしたのだ。
- 公務員の給料は低いし手当なんてない
- 勤務する環境は悪く、未だに出退勤はハンコ
- 何かあればすぐ公務員が批判さえ、疲弊
- 要望や苦情(仕事)は増えるが、人員はカット
- サービス残業当たり前、午前様も当たり前
- 何もしない歳だけいっている人のカバーはすべて若手職員
挙げればキリがないが、新型コロナで明らかになったことは、
公務員の仕事は国民のサンドバッグ
だということだろう。
当たり前だが、何も新型コロナは公務員には感染しない特殊な感染症ではない。
(みんな分かっているから、うつるかもしれないから、看護師さんにも暴言がはけるのだ。)
最前線で戦っている保健所では月の残業時間が200時間を超え、休みはない。
それでも、毎日毎日、苦情、苦情、苦情だそうだ。
疲弊し休職する職員もでてきているが、人員の補填はされないため、カバーするのは同じ職員だ。
年間360時間以上の残業は、民間では36協定を超える違法であり、
過労死ラインの目安とされる720時間を超えて勤務する国家公務員が全体の8%もいることからも確からしい。
その中には未申告、過少申告も含まれているだろうし、
何が一番怖いかと言えば、国自体が堂々と36協定を超える違法をしていると宣言していることだろう。
それも、さも当たり前のように、当然のように。
働き方改革なんてうたっても、現実はこの通り、
公務員のうまみがあった時代を生きている人は、これを伝えても嘘だとしか思わないだろうが、
今の若者は正直、賢い。
公務員はブラックだということに気が付きだしてしまった今、
この流れは変えられない。
現役の公務員が辞めていく悪循環
公務員試験の倍率が下がるということは、それだけ優秀な職員が確保できないということだ。
まわりまわって、国の運営自体が傾く可能性もある。
それは、まわりまわって、国民に返ってくることは間違いない。
しかし、それは何十年も先のこと。(悲しいことに、国民はそんなことはこれっぽちも気にしてはいない)
今、心配すべきは、現役の公務員だ。
現役の、特に若手の公務員の未来は明るくない。
国家公務員(総合職)の自己都合による退職者数は、
20代に限定すれば、
- 2013年度 21人
- 2014年度 31人
- 2015年度 34人
- 2016年度 41人
- 2017年度 38人
- 2018年度 64人
- 2019年度 87人
と、年々増価傾向にある。
特に2018年からの伸びが凄まじい。
とはいえ、公務員の離職率は民間の半分程度
>>>「国家・地方公務員の離職率ランキング!民間企業より低い?高い?」
民間企業と比べれば・・・という話はいつも付きまとうが、
優秀な職員が入ってこないと、カバーするのは現役の公務員しかない。
このまま公務員試験の倍率が下がれば下がるほど、
現役の公務員の負担の割合は増える。
ただでさえ、ギリギリのところで耐えている職員には悲報だ。
さらなる離職を加速させ、雪崩式に組織が崩れる可能性も秘めている。
実際に経済産業省ではこの1年間で入省20年以内の若手官僚が23人も退職したそう。
これまでは1年間で15人辞めたのが最大だった。
公務員離れは加速しているとみなさざるを得ない。
個人的には、これまで仲の良かった友達が離れていくことが何より悲しい。