地方公務員はサイドFIREを目指すことをオススメします。
FIREは早期退職してお金に不自由しない生活を送ることが目的です。できることならさっさとお金を貯めて退職したいところですが、公務員という職業はそれを許してくれません。若手時代は薄給ですし、副業で稼ぐことも法律で禁止されているからです。
だからといって、55歳でFIREする計画というのも個人的には疑問です。年齢を重ねるほどFIREの魅力がなくなりますし、その年齢までいくと公務員を辞めることのデメリットのほうが大きくなります。
必要な金融資産額と年齢を考えたときに、40歳でサイドFIRE、これが公務員の最適解です。
地方公務員と4種類のFIREの関係性
そもそもFIREとは、
- Financial(経済的な)
- Independence(独立、自立)
- Retire(引退)
- Early(早く)
の頭文字をとった略語です。
「Financial Independence,Retire Early」を直訳すれば「経済的な自立、早期引退」ですが、要は、これまでの一般的な引退の年齢である50代や60代ではなく、20代や30代という若い段階で引退を目指すという趣旨です。
そして、FIREには4種類、
- FatFIRE(ファットファイア)
- LeanFIRE(リーンファイア)
- BaristaFIRE(バリスタファイア)
- SideFIRE(サイドファイア)
があります。
それぞれ簡単に説明しながら、公務員のケースで考えてみます。
FatFIRE(ファットファイア)
Fatは「豊かな」という意味があり、FatFIREとは資産所得だけで生活を送るという意味です。元来のFIREの意味はこのファットFIREを指します。
例えば、日本高配当株に投資し配当金5%を受け取る計画として、1億円あれば年間400万円(税額約20%控除後)が使える計算です。手取り400万円と考えると年収は約500万円。
しかし、問題は、公務員で1億円貯めることがほぼ不可能である点です。仮に地方公務員の平均年収の660万円(手取り約500万円)として月約15万円で生活したとしても年間約300万円の貯金です。しかし、20代は年収約400万円(手取り320万円)程度、年間約100万円の貯金が限界でしょう。そう考えると、公務員は月15万円で生活して定年退職まで働いて貯めれる額が約1億円(退職金を含まず)ということになります。
月15万円となると一切贅沢はできません。趣味、娯楽に一切をお金を使わず質素倹約につとめて気が付けば60歳。そもそも早期退職でも何でもないですからFIREともいえません。
つまり、FatFIREは年収1000万円超えは当たり前の超稼ぐエリートサラリーマンでようやく到達しうるレベルであって、公務員がFatFIREすることは現実的ではありません。
LeanFIRE(リーンファイア)
Leanは「効率的」「限られた」という意味があり、LeanFIREとは資産所得で最低限の生活費を賄いながら、質素倹約に生活することを指します。
例えば、日本高配当株に投資し配当金5%を受け取る計画として、3000万円あれば年間120万円(税額約20%控除後)が使える計算です。月10万円と考えると、家賃6万、食費2万、通信光熱費1万円、雑費1万円が現実的なプランです。
地方公務員であればLeanFIREは十分に達成可能です。資産3000万円はそこまで遠いゴールではありません。しかし、あまりおすすめできません。
個人的にですが、40歳、50歳、60歳、死ぬまで生活費を切り詰めて生活するのであれば公務員を続けたほうが幸せのように思います。早期退職している分、年金もあてにはできませんし、FIREの根本である経済的自由を達成しているようで、実は達成できるレベルにまで生活水準を落としているだけで、本質的ではないからです。
BaristaFIRE(バリスタファイア)
Baristaとはカフェでコーヒーをいれる人を指し、時短勤務などを併用しながらFIREするスタイルです。イメージとしては、配偶者の扶養内で働くパートのような生活スタイルのことです。
LeanFIREと同じように基礎生活費は資産運用等で確保しておき、プラスアルファ分を稼いで生活するというスタイルです。自営業となると社会保険など諸々手続きがややこしいですから、アルバイトやパートタイマーでどこかの会社に雇用されたほうが会社の保険にも入れますし社会保険料も会社が半分負担してくれますし色々と便利だと考える人も少なくありません。
ただ、LeanFIREのギリギリの生活に月3万円ほどゆとり費がある生活を送ることになるだけでおすすめできません。そもそも、アルバイトやパートタイマーで働くのであれば公務員を続けて貯金したほうが効率的です。公務員を早く辞めたいという気持ちは否定しませんが、アルバイトで年間50万円を稼ぐなら公務員で働くことを3年ほど我慢してアルバイトで働く期間をカバーすべきです。
そもそも公務員として働くことが、要は雇われることが嫌でFIREしたのに、アルバイトで働いたんじゃ本末転倒です。公務員で働いていた給料の3分の一で働くことができるかという精神的な課題もクリアする必要があります。公務員の身分を捨てて一番下っ端から働けるような精神性でないと計画が破綻します。
SideFIRE(サイドファイア)
Sideは「副次的な」意味で、副業をしながらFIREするスタイルです。BaristaFIREが雇用される前提であることに対し、SideFIREは自営業を前提とします。
つまり、基礎生活費は資産運用等で確保しておき、プラスアルファ分は自分で稼ぐスタイルです。バリスタFIREとは違い、雇用される身ではありませんので、自分で稼ぐ必要がありますが、働くこと自体は嫌いじゃない人におすすめです。
これまでの4つのFIREについてまとめると、
ファットFIREに必要な資産を公務員は貯めることが相当難しく、質素倹約に努めて貯まった頃には定年退職を迎えるため、実質的にはFIREにならず、つまりは40年間一切の浪費をせず1億円を貯めて定年退職した公務員になることが現実的。
リーンFIREして死ぬまで質素倹約に努めて生活するくらいなら数年我慢し公務員を続けて貯金したほうが明らかに効率的。
バリスタFIREは雇われの身という現実は変わらないため、公務員として働くことが嫌なだけで、雇用されること自体は嫌じゃないという人でないと本末転倒。リーンFIREと同様に数年我慢し公務員を続けて貯金したほうが明らかに効率的。
サイドFIREは雇われの身ではなく自分で稼いでいく生活スタイルです。リーンFIREとバリスタFIREとの違いは、基礎生活費を完全に資産所得で賄う前提にある点です。自営業は1円も稼げない可能性があります。その前提でも生活基盤が揺るがないように計画する必要があります。
そのため、リーンFIREとバリスタFIREよりも退職時の資産を多く確保しておく必要があります。
地方公務員が40歳でサイドFIREすることは可能
まず、純金融資産を最低3000万円~5000万円貯める。これはスタート地点に立つための必須条件と考えます。
日本高配当株(配当金5%)に全額投資した場合、年間配当で手取り120万円~200万円になります。これで必要な基礎生活費を確保。これが経済的自立の前提条件であり、金額の幅は自身のリスク許容度によります。これがリーンFIREとバリスタFIREであれば5000万円も要らないということになると思いますが、サイドFIREであれば最低条件かと思います。
次にこの資産を形成する期間は40歳までと設定します。FIREの魅力は年齢の増加ととも減少するため、定年退職間際に早期退職するメリットはほとんどありません。だからといって貴重な20代をどこにも旅行に行かず好きなものも食べす一切の浪費をせず切り詰めて生活をすることはおすすめしない。その分、FIREすることが遅くなることは致し方ない。だからといって悠長に生活していると気が付けば50歳、55歳になってFIREする意味がなくなっていまいます。双方の間をとれば40歳が一定の目安になります。
では、実際に40歳で3000万円を貯めることができるのかという疑問については、誰でも十分に可能です。
20代は年100万円、30代は年200万円を貯蓄するイメージです。基本給の中で生活をやり繰りし、使わなかった生活費とボーナス、残業代は全て貯金にまわす。これで3000万円を貯めることができます
しかし、5000万円となれば上記の方法だけでは難しい。地域手当が高い自治体、残業が多い部署、係長への昇任、など上振れがないと到達は難しい。または株式投資で積極的に運用するほかありません。
株式投資を活用する
本記事では株式投資をせずに貯金メインの方法で解説したが、FIREにおいて株式投資は必須条件。であれば、現役時から株式投資を活用することは有利であることは間違いありません。
例えば、22歳で働いて40歳で辞めるとして、18年間を毎年6万円積み立てれば平均リターン約8.3%として3000万円に到達します。全世界株(オールカントリー)の年平均リターン大差ないことからも非現実的な想定でもありません。
月5万円を18年間積み立てた場合の年平均リターン6%と見積もると、元本1080万円に対し約1930万円になり、約2倍に資産が増えます。
また新NISAの非課税枠を利用することもできます。計1800万円の非課税と考えると、配当利回り5%とすれば18万円の所得増となる。360万円分目標金額を少なく計算できることは大きいですが、これはあくまで余裕しろとして考えておきたいところです。
つまり、株式投資を活用するかしないかで大きくハードルは変わります。私は積極的に株式投資を活用し5000万円を目標にして生活しています。
FIREを計画するときは前提条件を整理する必要がある
地方公務員がFIREするうえで一番重要なことは、FIREする「目的」を明確にすることです。
働くことが嫌なのではなく公務員として働くことが嫌なのか、そもそも労働自体が嫌なのか、それだけでも取る選択肢は変わってきます。
年齢はもちろんのこと、独身なのか、子供がいるのか、マイホームを買ってローンを組んでいるのか、それぞれ置かれている状況は違います。車や家のローンがあって、子どもがいるとなると、私の計画する基本給の中で生活をやり繰りし、使わなかった生活費とボーナスと残業代を全て貯金にまわす作戦はまず不可能でしょう。
私のプランを聞いて絶対に無理と思う人とそうでない人がいると思います。それは置かれている環境いわば前提条件が異なることが原因です。どちらにせよ、その人生を選んだのは自分自身です。今からできることを考えていければ、私は公務員であれば誰でもサイドFIREできると思っています。