公務員もパワハラで退職する人は多い【処分事例と基準を解説】

公務員にもパワーハラスメント(以下、パワハラ)は普通にあります。
もちろん、セクシャルハラスメントも・・・
うつ病などの心身に支障をきたし、休職する人や退職する人も普通にいます。
悲しいことに、パワハラの相談窓口も機能していないように思えますし、
パワハラをしていた人は昇進するというのが悲しいかな公務員の世界です。
というのも、パワハラで懲戒処分される基準が明確に設けられたのは2020年6月の話・・・
それほど遅れているわけですから、これまでうやむやになってきた事も多いです。
退職理由はパワハラだけではないでしょうが、事実、私の同期でも何人か辞めていきました。
本記事は、
- なぜ、公務員のパワハラがなくならないのか
- パワハラの最新事例
- 公務員がパワハラをした場合の処分基準はあるのか
を解説します。
公務員のパワハラ相談窓口が機能していない
パワハラはあくまで内部の話。
公務員はその典型で、公務員が職場でパワハラを受けた際の相談窓口は、
主に国家公務員であれば人事担当部局や人事院、地方公務員であれば人事担当部局や人事委員会(公平委員会)です。
教員であれば「服務監督権限」を有している都道府県か市町村の教育委員会が一般的です。
もちろん、職場の上司や先輩に相談することもできますが、あまり効果は期待できません。
なぜなら、公務員の相談窓口は内部組織だからです。
(労働環境のストレス等は産業医などの相談窓口が用意されています。)
本来、パワハラかどうかを判断するのであれば、民間や第三者委員会など機関は多いのですが、
公務員の場合はすべて内部組織なんです。
これでは、パワハラを受けていると訴えても、まわりまわって自分の不利益になる可能性があり、
きちんとした通報機関として機能しているか不透明です。
基本的にパワハラやセクハラは職場内で行われるものですから、
本来は悪質でも内輪もめとして処理される可能性があります。
典型的な例として、
内部組織だということ、そして内部告発に当たること、そんな問題となった事例を紹介します。
内部告発した職員を「隔離」した事例
山口県田布施町が、固定資産税の徴収ミスを内部告発した職員を新たに設けた1人だけの部署に異動させたことが2020年6月8日、分かった。
これまでの業務とはまったくの畑違いでほかの職員と切り離された畳部屋。
職員が配置されたのは町役場とは別施設の約40平方メートルの和室。
それまでは町民にも貸し出す部屋などで使われており、畳の一部をはがして机を置いた。
文化的な調査や資料収集が仕事内容としているが、税務や外郭団体の財務に従事してきた職員は関わったことがない分野。
部下や同僚はいない。
はがされた畳が置きっ放しの部屋で職員は「この2カ月間、仕事中に他の職員と会わない日も多い」と打ち明ける。
職員は税務課に勤務していた2年前、相続時の手続きミスによる固定資産税の誤徴収を発見。
上司に報告したが、対応しなかったため町議たちに告発した。その年度の業務評価は「成果なし」の0点。
職員は「本来あるべき上司との面談もなかった」としている。
その年の夏に別部署へ異動。
さらに8カ月後に外部の一部事務組合に派遣された。この2年間で3回も異動させられている。
今回の異動について、ある町職員は「この職員を1人にするためにつくった部署と思われても仕方がない。人事権の乱用ではないか」と疑問視する。
国は1日、大企業にパワハラ防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法を施行。
地方公務員にも適用され、指針にパワハラの例として「意に沿わない労働者に対して仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離」と記す。
厚生労働省雇用機会均等課も田布施町の件を「法に抵触する可能性がある」と指摘する。
大手精密機器メーカーのオリンパスで不正を内部通報した社員を巡る配置転換訴訟で無効判決を勝ち取った中村雅人弁護士は「まさにパワハラ。組織に都合の悪い職員へのいじめだ」と断言する。
内部告発者たちでつくる「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」の串岡弘昭代表も「私とまったく同じ」と話す。自身もかつて運輸業界の闇カルテルを内部告発。報復人事で四畳半の部屋での1人勤務を強いられた。「隔離で精神的にも肉体的にも追い詰め、自ら辞めるよう仕向けているのでは」と憤る。
東浩二町長は「パワハラとの認識はない。職員全体がうまく仕事ができるよう考えての配置。段階的に増員する予定もある」と話す。
これに対し職員は「これまでのキャリアを生かすことができず、日々ほとんどやることがない」と話している。
このパワハラ問題は、公務員の世界のあるあるです。
それは、なぜか・・・
まず、あえて、パワハラを受けた職員の反論をしたいと思います
- 部下や同僚がいない⇒自分の係(班)によっては部下がいないこと、同僚がいないことは有り得ます。ただ、部署単位で同じ空間にいないというのは稀です。
- 2年間で3回の異動⇒有り得ます。1年間で1回の人も普通にいいます。多いことは確かですが、市の組織改正によっては全然あり得ます。
- これまでの業務とはまったくの畑違いで、これまでのキャリアを生かすことができない⇒普通です。税務部署の人が道路工事をやるのが公務員です。
- 日々ほとんどやることがない⇒普通です。仕事ができないと評価された人はとくに
- 業務評価は「成果なし」の0点⇒普通にあります。公務員の評価は成果主義ではありません。上司の鉛筆次第です。面談がないのはさすがに・・・とは思いますが、あってもなくても評価は同じです。
公務員の世界の独自性が影響していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
トップである町長も
- パワハラではない
- 職員全体がうまく仕事ができるよう考えての配置したまで
- 段階的に増員する予定もある
こう発言しています。
ね?何とでも言えるでしょ?
これが公務員の世界の怖さです。
このようなことが平気で行われているから、公務員という組織が是正されないわけです。
もちろん、このケースは全国的にみても稀(まれ)です。
しかし、「職員全体がうまく仕事ができるよう考えての配置したまでで段階的に増員する予定もある」と言われてしまうと、
返す言葉が難しいわけです。
バックグラウンドに「内部告発」がなければ、パワハラとみなせるか怪しいところです。
また、業務成果についてですが、
・東浩二町長は「通常0点になることはない。一部資料が提出されず、評価として成立していないということ」と職員側にも非があるとの認識を示したが、具体的な内容は話さなかった。
・川添俊樹副町長は「上司と部下で通常コミュニケーションがとれていたら面談しない場合もあった」と答弁。
・この職員の当時の上司だった堀川誠税務課長は「発言を差し控える」と詳細を答えなかった。
町の内規では面談は必須とされています。
成果はボーナスに反映されるわけですから、当然です。
しかし、これも公務員という成果主義ではない世界がややこしくさせます。
公務員の世界は契約や売上をどれだけ上げたかなんていう仕事は存在しません。
ほとんどの公務員は、常に、ミスをせず、淡々と仕事をこなすことが能力として求められる職業です。
なので、面談をしたからとって、評価が変わることはありません。
面談の前から、既に評価は決まっているわけですから。
なお、この町はこの職員だけではなく、他の職員にも同様の方法で評価していおり、
この職員だけという事実はないようです。
個人的には、この案件は完全なパワハラだと思います。
ただ、上記のような理由のため、公務員という職業柄、証明は少し難しいかもしれません。
このような事例は特殊ですが、ほかにも事例は多くあります。
兵庫県は、2020年12月22日、課長級の職員をパワハラで減給10分の1(4か月)及び人事異動の懲戒処分としています。
勤務時間外に緊急性の低い資料を複数回にわたり計数百ページ作られたり、こういう職員になってはいけないと発言したりするなどしたどうです。
体調不良などで計3人が1~3か月間休職したそうです。
処分基準:悪質なパワハラは懲戒免職処分
2020年6月1日に改正された人事院規則が施行され、各省庁には相談体制の整備が義務付けられました。
人事院によれば、
- 相談体制の整備とともに、相談を申し出た職員らが不利益を被らないよう意見。
- パワハラで相手を精神疾患に追い込む極めて悪質な事例には、免職を含む厳しい処分を科すなど、懲戒処分の指針も改正。
あくまで、国家公務員の動きではありますが、地方公務員も準じるのが一般的ですから、流れは加速してくものと思われます。
神戸市の東須磨小学校で教員間でいじめがあった(ヤフーのトップニュースにも何度ものった)事件の影響もあったのでしょうか。
その事件では、イジメていた4人の職員のうち、2人が懲戒免職処分、1人が停職、1人が減給となっています。
もちろん、この事件の処分は改正前ですが、世間からは相当バッシングを受けましたから、影響があったとみるのは自然です。
逆に言えば、これまで明確化されていなかったことが悲しいです。
パワハラをしても処分されたり異動があるだけでクビにならないことが問題なんですが、
ハラスメントは相手がどう思うかであって、相手の主張を100%とすれば、
教育や指導が全くできない環境になるかもしれませんから、なかなか難しい問題なんですよね。