公務員は試用期間中にダメだったらクビになります【事例あり】

公務員の試用期間は採用から「6か月間」です。この期間を設けることは国家・地方公務員法に規定されており、正式には「条件附(付)採用期間」といいます。民間企業の平均である3か月間と比べれば長いような気もしますが、この期間中は「仮採用」であり、6か月後に「本採用」となります。本採用が正式な採用です。
試用期間中は、有給休暇、病気休暇、産休・育休など、福利厚生は本採用されている正規職員と何ら変わりません。仮採用という身分が異なるだけです。
条件付採用期間の6か月間に公私ともに何かしらの問題をおこせば、問答無用で解雇する権利を国・地方自治体は有しています。採用されてからも公務員試験は続いています。試用期間中にクビになった人は極わずかです。
試用期間中にダメだった、、、と落ち込む必要はありません。先輩からは冗談交じりに不採用をちらつかされるかもしれませんが、よっぽどのことがない限りはクビにはなりません。
公務員が試用期間中にクビにならない理由
試用期間は、採用試験だけでは公務員として適当な人物かが分からないとする前提にたって設けられている制度です。国家・地方公務員法は、明らかに仕事ができない、コミュニケーション能力が欠如していると判断された職員は「分限免職」いわゆる強制解雇をしてもよいと規定しています。試用期間はその判断基準が厳しくなるという理解で問題ありません。

新規採用職員の採用人数は行財政改革を前提とした退職者数を考慮して決められています。新規採用職員は仮採用中でも職員数は1人とカウントされますので、クビにすると1人欠員の状況で仕事をしなくてはいけません。公務員は欠員がでたからといってすぐに会計年度任用職員やアルバイトを雇うことはできません。下手すれば1年間ずっと欠員になるわけです。そのため、ちょっとダメだったからといてクビになることはありません。
公務員が試用期間にクビになる場合【事例あり】
普通に仕事をしている限りは絶対にクビにはなりません。ミスをしようが、上司から住民から怒られようが、クビとはなりません。しかし、問題を起こした場合は別です。懲戒処分の対象となる行為(例えば、横領や飲酒運転など)をした場合は、問答無用で解雇となります。
学歴を詐称して受験していた場合などは論外、懲戒免職処分です。発覚が本採用後でも、さかのぼって処分されるためクビになります。公務員として働き続ける以上、懲戒処分に時効はありません。
試用期間の延長は3か月が一般的
ちょっと仕事ができない人でも6か月後には本採用となります。基本的に、試用期間は延長しません。しかし、あまりにも、、、というケースは本採用を見送り、3か月ほど延長する場合があります。4月から9月までの6か月間が4月から12月までの9か月間になります。
国家・地方公務員法には「延長可能」と明記されています。病気休暇などで勤務期間が短い場合は期間延長されるケースが多いです。試用期間の延長は個人個人で判断されるため、同僚は10月1日付で本採用されているのに自分だけ12月まで試用期間が延長されるケースもあります。
私の経験上、延長される職員は少なからずいるという印象で全くないわけではありません。
試用期間中に期間延長されたのち解雇された事例
試用期間が終わって本採用されないことは、まずありません。しかし、解雇される可能性は0%ではないとする理由は、解雇された事例があるからです。
- 高知県本山町の男性職員(24歳)
- 全体研修後、総務課に配属
- 試用期間は、2017年4月~2017年11月の計8か月※2017年9月に成績が「不良」として2か月間の延長
- 男性職員以外の新卒採用された同期5人は、2017年10月より本採用
- 2017年12月、解雇前日に上司から口頭で正採用をしない旨を伝えられ、その翌日に一通の文書で自治体職員の職を解かれた
記事引用⇒「新卒1年目で解雇された地方公務員の主張 有名ブロガーも住む”本山町”の横暴」
あくまで個人的にですが、上記記事の男性職員の発言がすべて真実だとすれば不当解雇レベルだと思います。しかしそうなっていないことを考えると・・・なんだか闇が深そうな話です。
法的には解雇可能なわけですから、クビになる可能性はゼロとは言い切れません。事実、私の経験上、1人だけ解雇となった人を知っています。よっぽどのことがあっても採用期間を延長して本採用してきた自治体でしたので私自身も驚きましたが、割合としては10年間で1人ですから可能性は非常に低いと思っていただいて構いません。
試用期間中に〇〇しても大丈夫?
試用期間中にやっても問題ないことを解説します。基本的に、条件付採用期間でも正規職員との違いはなく正規職員と同条件で勤務することになります。ボーナス、残業代などの各種手当や福利厚生は、正規職員と同じです。
運転中に事故を起こした場合は程度による
交通事故が故意ではないという前提で、業務中であれば事故を起こしたとしても、強制的にクビにまではなりません。職務中であれば職務命令で運転させられているわけですから。そのため、仮採用期間は新規採用職員にプライベートも含めて運転させてはいけないとする自治体もあるようです。
ただ、懲戒処分の対象です。懲戒免職、停職、減給など何かしらの処分は下ります。懲戒処分を受けた場合、昇給が遅れることはもちろんのこと昇進も遅れます。
プライベートで人身事故(死亡事故)といった社会的に影響のある事故レベルになるとクビという可能性はあります。また、スピード違反などの交通違反ならまだしも、飲酒運転などは当然一発アウト、公務内外によらず懲戒免職処分となります。
うつ病などの病気で休職してもクビにはならない
試用期間中にうつ病など病気になってしまったときに休職することは可能です。福利厚生は正規職員と同じですから、休職中に給与も支給されます。精神的、身体的なものに限らず、病気休暇の取得も可能です。

妊娠した場合も産休から育休取得可能
試用期間中に妊娠しても産休を取得できます。そのまま育児休暇、育児休業に入ることも可能です。
ただ、公務員の昇進は在籍と勤務評価によりますから、昇給が遅れたり出世が遅れたりする可能性は高いです。狙えるものなら誰も苦労しないわ!という話かもしれませんが、仮採用されてすぐ産休⇒育休⇒退職というケースは珍しいことではありません。
有給休暇は初日から取得可能
公務員は仮採用された日から年次有給休暇が付与され、いつでも取得できます。極論、仮採用初日から最初の給料日まで有給休暇をとって初任給だけもらって退職することも制度上は可能です。
新規採用職員の研修中に熱がでたりして体調不良のため有給休暇をとって休んでいる人は極わずかですがいます。仮採用期間に有給休暇を積極的に取得している新規採用職員はいませんが、制度的には問題はありません。

試用期間中に退職
試用期間中に退職することは何の問題もありません。理由にもよりますが、引き留められることはまずありませんので安心してください。やっぱり公務員は向いていないと別の道に進むのも早いに越したことはないです。