国家・地方公務員の初任給ですが、地域手当を除けば大卒でも20万円を超える自治体はありません。つまり、手取りで20万円を超えるなんて夢のまた夢です。
これを低いとみるか高いとみるかは人それぞれだと思いますが、公務員の初任給は「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」に最新のデータが公表されています。本記事では、このデータから、一般行政、大学卒枠、試験採用、での初任給を比べています。
教諭、警察、消防などの職種、また、高校卒、短大卒などの採用枠によって各自治体でランキングは変わりますので注意してください。
では、国家公務員の初任給、地方公務員の初任給のランキングをご覧ください。
国家公務員の初任給
2022年度の人事院勧告において、国家公務員の月給を平均921円(改定率0.23%)、ボーナス(勤勉手当)を0.1ヵ月分、引き上げる勧告(約30年ぶりの初任給の引き上げ幅)をしています。国家公務員の初任給は、
- 総合職 18万9,700円
- 一般職試験(大卒程度) 18万5,200円
- 一般職試験(高卒) 15万4,6000円
総合職ですら19万円をきる初任給です。
2023年度の人事院勧告によれば更なる賃上げを勧告していますから、20万円を超える未来はそこまで遠くないのかもしれません。
>>>「【2023年度】国家・地方公務員の給与の賃上げ(ベア)はいつから?」
地方公務員(都道府県、政令指定都市、市区町村)の初任給ランキング
「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果-初任給(総務省)」によると、一般行政職(大学卒)の場合、
地方公務員(都道府県)の初任給
都道府県ランキング
- 1位 岡山県 194,300円
- 2位 愛知県 193,200円
- 3位 福島県 193,100円
都道府県ワーストランキング
- 1位 秋田県 181,928円
- 2位 北海道、青森県、長崎県、宮崎県、沖縄県 182,200円
という結果に。
地方公務員(政令指定都市)の初任給
「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果-初任給」によると、一般行政職の場合、
政令指定都市ランキング
- 1位 浜松市 192,134円
- 2位 熊本市 190,500円
- 3位 岡山市 188,300円
政令指定都市ワーストランキング
- 1位 大阪市 169,600円
- 2位 横浜市 178,100円
- 2位 川崎市 178,900円
という結果に。
地方公務員(市区町村)の初任給
1,700を超える地方自治体があり、市区町村については総務省の公表資料「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果-初任給」にも個別市区町村については明記がありませんが、最高額と最低額なら読み取ることができます。
市の最高額ランキング
- 1位 大阪府 195,500
- ワースト1位 沖縄県 165,900
町村の最高額ランキング
- 1位 大阪府 195,500
- ワースト1位 沖縄県 163,100
という結果になりました。
「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」には地方自治体の給与等データが公表されていますので、気になる方はぜひ調べてみてください。
公務員の初任給は基本給×地域手当
注意していただきたい点は、これまで紹介したランキングはすべて基本給だということです。
定義上「初任給=基本給」ですが、実態としては基本給に地域手当を掛けた額が支給されます。地域手当とは物価差を埋めるもので、東京のど真ん中に住むのと田舎に住むのとでは家賃だけでも数万円の差が生まれますから、その是正というイメージをもってください。
東京都特別区は20%、大阪市や横浜市は16%と都市部ほど高い傾向にあり、主要都市のみに支給される手当です。(参照;「人事院規則」)
例えば、政令指定都市ワースト1位の大阪市ですが、基本給169,600円+地域手当16%=196,736円となります。
一方、政令指定都市トップの浜松市ですが、基本給192,134円+地域手当3%=197,898円と、大阪市とほぼ変わらない差になっています。
また、国家公務員(総合職)の場合、189,700円+地域手当20%=227,640円となり、大きく差をあけるかたちになります。国家公務員の場合、地方公務員にはない本府省業務調整手当があり、本府省勤務の新規採用職員は係員8,800円(係長級や課長級にも支給あり)が支給されますから、236,440円が初任給となります。
公務員の初任給の引き上げの動きもでてきている
公務員の人材不足は深刻です。特に、若手の人材不足は相当なもので、ここ数年では考えられなかった技術職は定員割れを起こすほどです。
初任給が全国で最も高いのは大阪府豊中市などの195,500円ですが、大阪府和泉市が職員の初任給を全国の自治体で最高額に引き上げる、大学卒は191,700円から222,300円、短大卒は175,300円から205,500円に引き上げました。
一方で係長級の給料は削減するとしていて、若年層をつなぎ留める施策といいながら中年層をないがしろにしていて、結局、10年経てば新規採用職員も係長級へと上がっていくわけですから、将来性に魅力がない自治体ともいえます。全体のベースアップであればよかったのですが。
ただ、公務員は給与以外で魅力を発信して迷走する国や自治体が多い中、思い切った決断です。他の自治体より月3万円も給料が高いとなれば誰もがその自治体を選びたくなりますから、周辺の自治体も初任給を上げる、その動きが全国的に広がることを祈っています。
地方公務員の給与は基本的に自治体が決ることができますが、国の人事院勧告、つまり、国や民間の給与水準との均衡を図るよう総務省からは求めている現状があるため、公務員の給与はだいたい横ならびになっています。
初任給を上げて昇給幅を少なくすることで職員の平均給与は一緒でしょ?と国への体裁のために変なことを考えださないかだけは心配ですが。