公務員に求められる能力は多く、
仕事をしていくうえで、パソコンスキル、コミュニケーション能力などは必須です。
ただ、これらを否定するつもりはありませんが、
仮にこれらの能力が完璧でも、公務員を続けるというモチベーションにはつながりません。
近年、とくに若手職員の離職が多くなってきています。
背景には、頑張って公務員になってはみたものの
- 給料が低かった
- 職場の人間関係が悪かった
- 労働時間が長かった
など、自分の想定と違うことでメンタルを病む人も多いようです。
ただ、給料が低いことに関しては、事前のリサーチ不足というところが大きく、
公務員の平均給与については国や自治体は公表していますので調べればわかっていたことです。
一方、人間関係や労働時間は公務員になってみないと分からないことも多く、
自治体や配属部署の雰囲気によって大きく影響されることになります。
しかし、こればかりは「運」でしかありません。
なぜなら、公務員には定期的に人事異動があるからです。
公務員人生を左右するのは「人事異動」といっても何ら過言ではありません。
人事異動によって、これまでの最高がこれからの最悪に変わる可能性はいつもそばにあるからです。
公務員の人事異動は、転勤や転職に近い
公務員の人事異動は本当に多岐にわたります。
国家公務員の場合、
キャリアでいえば北は北海道から南は沖縄まで、ノンキャリアでも関東圏や近畿圏などの異動は当たり前です。
地方公務員でも都道府県の場合は、東西南北の出先事務所に配属されることになります。
そうなると、もはや「転勤」です。
実際、単身赴任中の職員は多くいます。
人事異動は1年から3年でおこなわれますから、そのたびに家族を連れて引っ越しをするというのは非常に困難です。
子供がいる家庭では教育面でも転勤族はあまり良くないのかもしれませんね。
また、扱う仕事も多岐にわたります。
極端に言えば、道路工事をやっていた人が、生活保護(ケースワーカー)を担当するような人事異動もあります。
正反対どころか、全く分野の違う仕事を定期的にこなさなければ、公務員は務まりません。
人間関係が加わると滅茶苦茶
ただでさえ、公務員の異動は転勤を伴う転職レベルなのに、これに人間関係が加わるともう滅茶苦茶です。
あなたが異動しなくても、他の人が異動すれば、職場の雰囲気や働き方はがらっと変わります。
とくに、上司の仕事の仕方が変わることは非常にストレスですよね。
以前と同じ仕事をしているのに、上司が変わるだけで、定時ダッシュの毎日から終電の毎日へ
なんてこともあります。
これほど影響力があるにもかかわらず、人事異動は「運」です。
>>>「公務員の人事異動は本当に運!決め方と発表時期について」
イメージですが、結婚式をやっていた職場が一年後に葬式をやっているなんてこともザラです。
それほど、職員の質は職場の雰囲気や働き方に影響を及ぼします。
実は、多くの公務員が転勤は経験したくない
国家公務員の働き方に関する内閣人事局のアンケート(調査は各府省などに勤務する約3割の職員を無作為抽出して行い、約4万5千人が回答)によると、
キャリア(職業上の経験)としての転勤について、63.5%が「経験したくない」と答えている。
引っ越し費用や子どもの就学・受験、赴任後の経済負担の大きさなど、仕事と生活の両立の観点で重荷になっていることが主な理由。
回答者の73.3%に転勤経験があり、4割近くがこれまでに5回以上の転勤を経験。
転勤時に期待する配慮(複数回答)では、「早期段階での意向確認」が約7割と最も多く、「早期の内示」と「引っ越し費用の経済的な負担の軽減」が約6割で続いた。
つまり、国家公務員の多くが転勤したくないと思っているにもかかわらず、未だに人事異動という名の転勤が行われています。
適材適所の人事とはよく言ったもので、民間企業での実務経験とは何も関係のない部署への配属も多いです。
私の自治体で国から転職してきた人は、やはり家族をもつと転勤がネックなようで、仕事自体は嫌ではないが、定年まで転勤(単身赴任)生活を続けることはできないと思ったと言われていました。
仕事がつらいからといって勢いで退職するのはやめるべき
公務員は人事異動のたびに仕事内容や人間関係が変わります。
正直、つらいですよね。
同じことを上司が変わる度に何度も何度も説明するのも疲れます。
役所の人事異動は上を優先しますから、3年間のうちに上司は1年毎に変わったとかはよくある話です。
面倒くさいし、嫌にもなります。
今まで培ったノウハウや知識が全く使い物にならない仕事もありますから、またゼロから知識をいれていかなければなりません。
また、一から勉強か・・・と、
気持ちは分かりますが、その都度ストレスを抱えていたのでは、公務員として長くやってはいけません。
だからといって、すぐに退職を考えるのはナンセンスです。
具体には、
- こんな仕事やりたくない
- 公務員は自分には合わない
- 職場の人間関係が嫌い
などの理由で公務員を退職することはおすすめしません。
なぜなら、目的がない転職に意味はなく、転職先でも同じことを繰り返すからです。
- こんな仕事やりたくない⇒何ならやりたいのか
- 公務員は自分には合わない⇒自分に合う仕事はなにか
- 職場の人間関係が嫌い⇒転職しても人間関係のリスクは同じ
現在の何が嫌で、何を解決できるから転職するのかをよく考えてください。
例えば、20代で年収1000万円を達成したい!といった明確な理由があればいいと思います。
公務員では不可能ですからね。
>>>「公務員の最高年収は1000万円。嫌なら辞めるか転職するしかない。」
転職が正解か不正解かは自分でしか判断できません。
人から言われてどうこうなるものではありません。
なので、その評価基準をもって転職することが大切です。
目的が明確でなければ、公務員でいたほうが絶対にいいです。
誰しもないものねだりですし、隣の芝生は青く見えますから、
現役の公務員の人ほど公務員にネガティブイメージをもってしまうのは仕方がないことです。
しかし、冷静な目で世間的にどうかを考えたときに、やっぱり公務員は恵まれている職業だと思います。
もちろん、公務員として長く働くことが大切なことではありません。
嫌なら逃げ出すことには一定賛成です。
であれば、まず、自分がやれることをやってみてください。
>>>「公務員を転職して後悔する前に自分の状況を変える努力はしたの?」
確かに、公務員は人事異動によって、急に崖下に落とされることもあります。
しかし、バカンスになる可能性もあるわけです。
忘れないでほしいことは、
自分から動かずしてバカンスはやってきませんし、
崖下をバカンスにできるのも自分自身だということです。
転職レベルの異動を繰り返すのが公務員の世界です。
「慣れ」といわれればそれまでですが、耐性を養うことも大切な公務員としての生き方です。