公務員が副業で農業収入を得ても問題なし!ただ、おすすめしません

実は、公務員であっても平日は仕事をして、休日は農業をするといった兼業農家は多いです。

田舎であればあるほどその傾向は伺えます。

というのも、公務員の副業が原則禁止されているなかで、「農業」に関しては副業禁止の原則に含まれないからです。

しかし、なんでもかんでもOKだというわけではありません。

農業で副業収入を得ていたとして、懲戒処分をされた事例もあるからです。

本記事では、公務員が農業を副業として行う場合の許可基準や注意点をお伝えします。

公務員が「農業」を兼業していいのか

何も問題ありません。

ただし、ちゃんと許可を得ていればの話です。

許可を得ていない場合は、懲戒処分を受けることになります。

懲戒処分を受けた事例

さいたま市の男性職員(56歳)が、無許可で水田を耕作して収入を得ていたため、6か月停職処分となっています。

「農業を無許可で行い停職処分された事例⑦農業」

このことからわかることは、黒字か赤字かは関係なく、無許可で農業をすることはアウトです。

職員の話が本当なら、これほど悲しい事例はありません。

この自分のプライベートを削り、赤字になっても続ける意味とは何でしょうか?それは両親から相続された土地を守ることです。(田舎では当たり前に行われており、赤字でも頑張っている兼業農家の公務員は多いです)

確かに、無許可で20年以上という期間は長いでが、収支は赤字。親の土地を守ることは地域によっては死活問題。

となれば、停職6か月は少し厳しい気がしますね。

では、このような懲戒処分を受けないようにするために、許可を得る方法、つまりは許可基準とはどのようなものがあるのでしょうか。

公務員の副業「農業」をするための許可基準

前提として、公務員が副業を行うためには、許可を受ける必要があります。

許可基準は、人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)に定められています。

「公務員許可が必要な副業と許可不要でできる副業」において詳細な基準は記載していますが、農業だけを抜粋すると、

農業
大規模:兼業不可
※小規模:兼業可(第2種兼業農家)

となります。

つまり、

  • 大規模な農業の場合、自営業とみなし任命権者(内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長)の許可が必要
  • 小規模な農業の場合は、許可なく副業してもOK。ただし、第2種兼業農家のみ。

と規定されています。

大規模な農業の場合は許可が必要

「大規模」の定義はありません。

面積でいえば、都市部と田舎では許容値が異なるでしょう。

また、設備や建前の有無や規模によっても違います。

つまり、個別具体の事情を鑑みて判断されるということになります。

 

次に「自営業」とみなしの定義ですが、

「自ら営利企業を営む(自営)」農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等を大規模に経営し客観的に営利を主目的とすると判断された場合、副業の許可が必要です。

なお、名義が他人であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当します。

あくまで、主な目的とする場合ですから、販売額が大きかったり、販売量が多かったりすればアウトですが、逆の場合は該当しないかもしれません。

 

自営で行う場合、規定されている基準を満たさないと許可がおりません。

「公務員許可が必要な副業と許可不要でできる副業」において詳細な基準は記載してしますが、

承認または許可を得るためには、「当該事業が相続、遺贈等により家業を継承したものであること」が条件になります。

つまり、両親がもともとやっていた農業を継ぐなどで農業を副業とする場合は認められますが、

新規で農業を始める場合は許可されません。

小規模な農業の場合、第1種兼業農家は許可必要、第2種兼業農家は許可不要

小規模な農業の場合は許可なく副業しても問題ないとお伝えしましが、これは「第2種兼業農家」のみに適用されます。

  • 第1種兼業農家⇒農業所得が主となっている兼業農家のこと
  • 第2種兼業農家⇒農業所得ではなく兼業している職から主な所得を得ている家

という定義です。兼業農家とは、「世帯員が自家の農業以外の仕事から収入を得ている農家」のことを指します。

つまり、農業が主である場合は小規模であっても無許可で副業を行うことはできません。

公務員の副業「農業」を小規模でもはじめることが困難な理由

これまでの諸条件をまとめると、

公務員が副業として農業をするためには、

大規模な場合は、相続、遺贈等により家業を継承したものである必要があります。

小規模な場合は、農業所得ではなく兼業している職から主な所得を得ている家である必要があります。

相続の話になってくると、自分ではどうしようもありません。

両親がすでに農家であることは生まれもった運でしかないからです。

そもそも、両親が農家で継ぐことができても、実家と勤務地が離れていれば農業として経営していくことが難しく現実的ではありません。

とすれば、今から農業を副業として新しく始めるためには、

自分が農業を小規模で始めるほかありません(両親にさきに始めてもらって相続するという手段もなくはないですが・・・)

相続以外で農業を始めるためには、

  • 新規取得
  • 貸借

の2つしかありません。

しかし、ことはそう簡単ではありません。

農地法の制限があり、農地を新規取得できても必然的に大規模となってしまう

そもそも、新たに農地を取得したり、人から農地を借りたりするためには、農地法第3条に規定する許可を得なければなりません。

権利設定もダメなので、かなり厳しい制限となります。

農地法第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

(以下略)

当然、この許可を得るためには多くの要件を満たす必要があります。

農地取得等の許可要件

全部効率利用要件では、農地の全てを効率的に利用して耕作することが求められます。
下限面積要件では、農地の効率的な利用を確保するため、権利取得後の農地面積の合計が50a(または地域の実情に応じて農業委員会が定める面積)に達していることが求められます。

この許可を受けていない場合は、農地法違反となります。その場合は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。

農地法第64条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項、第四条第一項、第五条第一項又は第十八条第一項の規定に違反した者

二~三 略

新規に農地を取得したり貸借するにしても、権利取得後の農地面積の合計が50a(=5000m2)に達していることが条件ですが、

この規模はすでに大規模とみなされる可能性が非常に高いことから、必然的に「大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される」ことになります。

 

私も実業務で多少の経験がありますが、農地転用は非常に難しく、許可もなかなかおりません(平気で半年から1年かかります・・・)

農地に家を建てるにしても、本来の農地を宅地にするわけですから、

基本的には自分の家を増築したり、息子や娘、娘婿のために家を建てるといった家族に関することぐらいしか通りません。

まとめ

農地法上、公務員が新しく農地を取得したり、人に借りたり、権利設定をすることは非常に困難です。

また、その困難を乗り越えた先には、人事院規則の「大規模」の規定があり、5000m2の農地が小規模で副業には当たらないという判断は常識的に考えてもあり得ません。

つまり、公務員が農業を副業として許可を得るためには「相続」等以外ではできません。

相続で始めて小規模な小遣い稼ぎはできたとしても、公務員の平均給与以上を稼ぐことは難しく、現実的ではありません。

(というよりも、これは内緒話ですが、公務員の兼業農家の方に話を聞くと、だいたい赤字です。親から継いだ土地を仕方がなく守っている人が多く、時間外を費やしてまでやることではないですね)

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